人事・総務の仕事を映画から学ぶ
人事・総務担当者にオススメしたい映画5選
2018.08.10
人事・総務担当者は、時折「何でも屋」と称されるほど、業務内容が多岐にわたります。前回の記事では、「業務内容」に焦点を当て、ストーリーを楽しみながら業務理解を深めることができる漫画5作をご紹介しました。
今回は、「人事・総務担当者としての視野を広げる」ことを焦点に、映画という切り口で、@人事編集部がお薦めする5つの作品をご紹介します。
1.マネーボール
マネーボール(2011)
選手からフロントに転身し、若くしてメジャーリーグ球団アスレチックスのゼネラルマネージャー(GM)となったビリー・ビーンは、自分のチームの試合も見なければ、腹が立つと人や物に当り散らす短気で風変わりな男。
当時のアスレチックスは資金難のために優秀で年俸の高い選手を獲得することができず、チームは低迷。2001年のポストシーズンには、スター選手であるジェイソン・ジアンビをはじめ3選手が資金力で勝る他球団に引き抜かれ、チームはさらなる窮地を迎えます。
チームのスカウト陣はジアンビらの穴を埋めるべく選手の選考会議を設けますが、ベテランスカウトは「主観」による選手評価ばかりを繰り返します。これでは先がないと考えたビリーは、チーム強化の策を求め自ら各球団を回り始めます。
ある日、トレード交渉のためにクリーブランド・インディアンズのオフィスを訪れたビーンは、イエール大学卒のスタッフ、ピーター・ブランドに出会います。ブランドは野球経験はないもののデータ分析が得意で、統計データから選手を客観的に評価する「セイバーメトリクス」という手法で選手を評価していました。
ビリーは、セイバーメトリクスを公にできず肩身の狭い思いをしていたブランドを参謀として引き抜くことを決意。ブランドの分析により、他球団から評価されていない、埋もれた戦力を発掘することで、低予算でチームを改革・強化していきます。
実在のGMであるビリー・ビーンが貧乏球団から野球界に革命を起こす同作は、主人公が経営者である点、「データ」と「スカウト」の力でチーム全体を変えていく点など、人事担当者が見て参考になるシーンが多々あります。
ホームラン数の多い選手は目立ちやすく、高い評価も受けやすいですが、セイバーメトリクスでは、データを基に「得点にいかに貢献しているか」という観点で選手を評価します。結果として、ホームランは多くなく、出塁率も高くないものの、地味なヒットやフォアボールでもしっかり塁に出て、得点にからむ選手が評価されます。
セイバーメトリクスに対して、「野球は数字じゃない!」と激怒し、ベテランスカウトがチームを辞めてしまうシーンなど、ただの夢物語ではないチーム改革のリアルな模様も描かれており、人事担当者・経営者はぜひチェックしておきたい映画です。
2.ソーシャル・ネットワーク
ソーシャル・ネットワーク(2010)
2003年、ハーバード大学に通う19歳の学生マーク・ザッカーバーグは、彼女に振られた腹いせに、女子学生の顔を格付けするサイト「Facemash」を立ち上げます。サイトは2時間で2万を超えるアクセスを記録し、ハーバード大学のサーバーがダウン。マークは大学の委員会に呼び出され、半年間の保護観察処分を受けてしまいます。
ただ、この「Facemash」騒動によって良くも悪くも注目を集めたマークは、学内エリートである双子のウィンクルボス兄弟らに声をかけられ、ハーバード大学の学生専用コミュニティサイト「ハーバード・コネクション」の制作協力の依頼を受けることに。彼らの話から着想を得たマークは、親友のエドゥアルドと共に、学生たちが顔写真とプロフィールを掲載し、双方がコミュニケーションを取れるWEBサービス「The Facebook」を立ち上げます。
「The Facebook」は驚異的なスピードで広まっていき、その過程で、サービスに将来性を感じた起業家、ショーン・パーカーが、マークに接触してきます。シリアル・アントレプレナー(連続起業家)として著名なショーンのカリスマ性に魅せられたマークは、ショーンを仲間に引き入れますが、これは親友・エドゥアルドとの不和の始まりでもありました。
今や世界中の人々が利用している「Facebook」の創業時代を、マークとエドゥアルド、そしてショーンに焦点を当てて描いた同作。スタートアップ時代の採用や、新たに優秀で著名な人材が加入した際の不和など、ベンチャー企業がぶつかる障壁や、会社とサービスが成長していく高揚感を追体験することができます。
作中には、「プログラムを10行書くたびにストレートの酒を飲みながら、WEBサーバーへ侵入し管理者権限を奪い合うコンテスト」をはじめ、創業期特有の破天荒な採用試験のシーンも登場します。まねできないような内容も多数ありますが、スタートアップの組織形成を学べる作品となっています。
3.ドリーム
ドリーム(2016)
アメリカとソ連との間で、熾烈な宇宙開発競争を繰り広げていた1961年。NASAのラングレー研究所には、ロケットの打ち上げに欠かせない「計算」を行う優秀な黒人女性たちのグループの存在がありました。
白人男性ばかりの職場で、彼女たちに対する扱いは劣悪そのもの。キャリアアップも阻害されていました。それでも彼女たちは、国家的な一大プロジェクトに貢献するため、自らの手で新たな扉を開いていきます。
この時代のアメリカでは、まだ人種差別の風潮が強く根付いており、彼女たちは職場で理不尽な扱いを受けています。
職場では白人用と黒人用のトイレが分けられており、彼女たちがトイレに行くには、片道1キロ近くの距離を移動しなければなりません。また、優れたレポートを作成しても、そこに彼女たちの名前を出すことはできず、代わりに白人男性の名前が記されることもしばしばありました。
人種差別、女性軽視という二重の差別を受ける彼女たちですが、こうした差別は、2018年8月に発覚した東京医大入試における女性一律減点の問題など、今の日本社会や企業にも通じるものがあるのではないでしょうか。
属性による差別の不当性や、社員の属性に惑わされず、誰もが能力を発揮できる環境づくりをしていくことの重要さについて学べる作品となっています。
4.サンドラの週末
サンドラの週末(2014)
サンドラは、飲食店で働く夫と2人の子どもと共に暮らし、ソーラーパネル工場で働いています。体調不良でしばらく仕事を休職し、復職できることになった矢先、ある金曜日にサンドラは突然解雇を言い渡されます。
社員たちにボーナスを支給するためには、社員を1人解雇する必要があり、その対象としてサンドラが選ばれたのです。サンドラが復職するための条件は、16人の同僚のうち、過半数がボーナスではなくサンドラを選ぶこと。その週末、サンドラは同僚たちを説得して回ります。
サンドラの同僚の中には、彼女と同様に妻が失業し、ボーナスがもらえなければ生活ができない者、仕事で得る賃金だけでは足りずに、休日も別の仕事をしていた者など、さまざまな事情を抱える人が多くいました。
自身の生活苦により、サンドラを支援できずに葛藤する同僚や、リストラが迫り苦悩するサンドラの様子など、人事異動を巡る人間ドラマが展開されていきます。
リストラや左遷・転勤など、人事担当者が行う選択の先には、この作品に描かれているような苦悩や葛藤が待っているかもしれません。人事担当者にとって、多くのことを考えさせられる作品になるのではないでしょうか。
5.十二人の怒れる男
十二人の怒れる男(1957)
舞台は法廷。17歳の少年が起こした殺人事件に関する陪審員の審議が始まります。誰が見ても彼の有罪は決定的なものでしたが、1人の陪審員だけは無罪を主張。すると、白熱する議論と説得の中、やがて1人、また1人と無罪へ心が傾いていきます。
12人の男性が1つの部屋にこもり、事件の有罪・無罪を議論する様子が描かれた密室劇。12人の議論により評決が二転三転するさまがスリリングで、「密室劇の金字塔」と称されるほど、世界中で愛されています。
被告の少年が黒人でスラム街出身というだけではじめから有罪と決めつける者や、反対意見が多い中で冷静に異論を唱える者、人の意見にすぐ流される者など、12人の陪審員の考え方はさまざまです。
複数の人間が1人の人間を評価するというこの行為は、会社の人事評価と似通った部分があるのではないでしょうか。
人事評価制度の公平性や正当性を問題視する声は多く上がっており、アデコ株式会社が行った調査では、6割以上が勤務先の人事評価制度に不満を持っている一方で、評価者(上司)の約8割が「自分の評価は適切」と自負しており、両者の認識にずれが生じていることが明らかになりました。
12人の陪審員の審議の様子からも、客観性を持って人を正しく評価することの難しさを痛感させられます。
映像作品から、新たな視点を取り入れる
映画やドラマをはじめとする映像作品では、登場人物の心の動きが多く描かれています。普段とは違う視点から物事を見ることで、人事・総務の仕事を行う上での視野を広げるきっかけになるかもしれません。
仕事のリフレッシュも兼ねて、これらの映像作品に触れてみてはいかがでしょうか。
【文・@人事編集部】
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