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キャッチアップ「人事トレンド」


文章能力検定を研修に?  多くの企業が導入する「文章検」とは

2015.12.16

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IT業界や製造業など業種・規模問わず、今年だけで60社以上、のべ1,000人弱のビジネスパーソンが受検した、文章能力を測る検定である「文章読解・作成能力検定」(略称:文章検)。新入社員研修や管理職登用試験への利用などを目的に、2013年秋のスタートから急激に申し込みを増やしている。

なぜ、いま企業が「文章能力」に注目するのか。どのようなメリットがあるのか。検定を主催する公益財団法人 日本漢字能力検定協会の花本直和氏に話を聞いた。(2015年10月18日取材、聞き手:編集部)

目次
  1. 文章力は『センス』ではなく訓練で向上可能な『能力』
  2. 学校教育、社員研修では鍛えきれない「文章力=考える力」

文章力は『センス』ではなく訓練で向上可能な『能力』

公益財団法人 日本漢字能力検定協会リーダー企業・法人担当の花本直和氏

リーダー 企業・法人担当 花本直和氏

――「文章検」とはどんなものなのか

「現在、世の中にある文章力を鍛えるためのテキストや研修は、特定のシーンやシチュエーションで『こういう書き方が良い』という手法を教えるものであることが多いです。それに対して『文章検』が目指しているのは、いかなるシチュエーションでも対応できる、『相手に伝わりやすい文章を書く基本的な能力』を身につけることです。キレイなレトリックや思わずうなるようなオチがある文章は、ほとんどの場合ビジネスでは必要とされないと人事の皆様から伺います。

ビジネスで必要な文章は、誤解なく読み手に伝わること、さらに言うならば構造が論理的で説得力のある文章なのではないでしょうか。私たちは、文章能力とは『センス』ではなく適切な訓練によって向上可能な『能力』であるという捉え方をしています。検定の問題自体は難しいものではなく、論理的な文章を書くためのコツさえ理解できれば誰でも合格できるものです」

――「能力」とは具体的にどういうものか

「具体的には細かく分類されます。例えば、ある問題を取り上げるレポートを書くとき、『どのようなテーマで書く必要があるのか(問題把握力)』『そのテーマに対してどのような解答を導けるのか(問題解決力)』『情報が足りない場合は、どうやって集めるのか(情報収集力)』『情報をどのように説得力を持って表現するのか(論理構成力)』など多くのプロセスがあり、それに対応した様々な能力を用いて文章を書くことになります。つまり文章能力とは、それら複数の能力が組み合わさってできているのです(図参照)。

日本漢字能力検定協会の文章能力の図

よく、『自分は文章能力がない』という人がいますが、これら全ての能力が劣るという人はいません。いずれかの能力に苦手な部分があるため、文章を書くことに苦手意識ができてしまい、それを『できない』と認識してしまっている人が多いのだと思います。自分に欠けている能力は何かを把握し、育成することができれば、文章力を向上させることができます。何が足りないのかを明確にすることが、文章力を向上させるための第一歩となります」

学校教育、社員研修では鍛えきれない「文章力=考える力」

――企業が導入するようになった経緯は

「もともと文章検は、『論理的な文章を書けるようにしたい』という学校教育現場のニーズを受けて開発されました。検定が始まって、大学生を含む多くの生徒の文章力に課題があることがわかりました。就職先の企業での状況を確かめるため企業を訪問したところ、多くの人事担当者が『若手社員が論理的な文章を書けない』『どうやって教えたら良いのかがわからない』という悩みを抱えていました。

社員の文章能力を向上させたいというニーズに的確に応えられるということで、導入する企業が一気に増えました。大手企業が導入する際は、新入社員の研修の一環として受検させることが多いです。採用レベルは高くても文章能力は鍛えられていないことが多いようで、訓練せずに文章検を受検すると合格率は3割を切ります(200点中70%程度で合格)。

受検者はどの能力が足りないのか客観的に把握できるため、文章能力を向上させることの動機付けになっていると伺います。不合格だった方も公式テキストを用いて勉強し、再受検すると約7割が合格します。新卒研修以外では管理職登用試験の課題として導入したり、人事評価のひとつとして課すケースも出てきたりしています」

――企業はどんな点にメリットを感じているのか

「『考える力』が身につくという点です。相手に伝わりやすく、論理的な文章を書くための基礎となる『考える力』は、あらゆるビジネスシーンで役立ちます。また、具体的な効果として『1度のメールでやりとりが済むようになって業務効率が上がった』『質の良い提案書を作成できるようになり、営業成績が上がった』『曖昧な表現や齟齬のない契約書が作成できるようになりクレームが減った』という声をいただいています。

さらに、人事担当者が直接、添削・指導をしなくてすむことや、自社で受けられる※という手間の面でメリットを感じる企業も少なくありません。コスト面でも、1人4,000円の受検料はアウトソースの研修と比較して安いと感じていただけているようです」

――これほど企業が導入するようになった理由をどう考えているのか
「基礎の重要性を感じているからではないでしょうか。業務上必要な専門知識は経験とともに蓄積されていきますが、効果的にそれを活用できるかどうかは考える力や伝える力が土台となっているはずです。昨今、企業ではロジカルシンキングなどの研修を多く活用されていますが、それも基礎の重要性を感じているからではないでしょうか。文章検も基礎能力の向上にご活用いただいていることが多いです」
――今後の展開は
「多くの企業で文章能力が向上し、業務効率や生産性、業績が上がることは日本全体の公益につながりますので、さらに推進していきたいと考えています。来年は、企業の人事担当者向けに、文章能力を向上させるための効果的な指導法をレクチャーする無料セミナーを全国で開催します。ぜひ参加していただきたいと思います」 ※自社や指定の場所を会場として受検ができる。受検日時も自由に選べるため、業務時間外に受検する企業も多い。
【セミナー情報】
「文章能力アップで業務効率アップ!」 ~より効率的かつ効果的な文章指導とは~

▼講師:公益財団法人 日本漢字能力検定協会 現代語研究室 室長 佐竹秀雄 氏(元 武庫川女子大学 言語文化研究所長)
▼会場と日時(すべて平成28年)
①【大阪】1月14日19:00~21:00、②【名古屋】1月21日19:00~21:00、③【東京】1月28日19:00~21:00、④【福岡】2月4日19:00~21:00
▼定員:各会場50名(先着順)、▼参加費:無料
▼対象:人事担当者、研修担当者(部下の文章指導に携わる方も含む)
▼締切:各開催地当日午前中まで
▼参加者の声「文章指導のポイントは日報や報告書など日々の業務指導に役立つと感じた」「指導する側の自分が文章能力の必要性とその効果を具体的に知ることができたのが収穫。指導する前に自分が受けてみたいと思った」「文章はセンスではないことを早く若手に伝えたい」

申し込み:公益財団法人 日本漢字能力検定協会 担当:花本)
TEL:03-6385-8736 E-MAIL:n-hanamoto@kanken.or.jp

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