企画

優秀層学生採用の傾向と対策


〈クラスター別〉東大生から選ばれる企業になる方法

2018.08.23

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売り手市場と呼ばれる昨今、目標採用人数に届かず頭を悩ませている人事の方も多いだろう。株式会社マイナビが発表した「2019年卒 マイナビ大学生就職内定率調査」によれば、2018年7月末時点での内々定率は79.7%(前年同月より0.8pt上昇)となっている。特に就活に有利と言われる高学歴層の学生は、余裕を持って選考を受け、満足のできる入社先を選定している。

こうした状況を受け、@人事では、国立大学のトップである東京大学の19卒就活生に聞き取り調査を実施。どのような観点で会社を選定しているのかを分析した結果、東大就活生の行動が3つのクラスターに分類できることが分かった。

企業が取るべき対策も、学生の性格に応じて変わってくる。東大生の傾向を把握することで、優秀層の学生を採用するヒントが得られるはずだ。

調査概要

東京大学に在籍する19卒就活生に対して、就職活動においてどのような観点で企業選びをしたかどうかを中心に聞き取り調査を実施。回答時期は2018年5月下旬〜2018年6月上旬。回答方法はWebフォームへの入力による。

東大就活生 3種のクラスター

調査の結果、東大就活生は以下の3つのタイプに分類できることが分かった。

A : 天職さがし子

一生続けられる適職を見つけたい就活生。「一度入社したからにはそこで長く働きたい」と考え、安定性や待遇の良さも求めている。

B : ノリノリ体育会系

名のある企業で華のある社会人生活を送ることが目標。数多くの企業の選考に臨む。

C: 自分を貫く少数派

就職先の安定性や知名度よりも、自分の個性を生かせる職場を探す。将来のステップアップとして転職や起業を視野に入れていることも。

クラスター別 東大生に選ばれるためのアプローチ方法

それぞれのクラスターに選んでもらうために、企業はどのようなアプローチを取ればよいのだろうか。東大生への聞き取り調査から明らかになった、コミュニケーションのポイントを解説する。

【A】 天職さがし子には、一つひとつの接触を丁寧に

recruit-calling天職さがし子は、一生続けられる適職を見つけることを就職活動の目標にしている。ナビサイトや企業ホームページから得られる表面的な情報だけではなく、自身の適性と照らし合わせるのに必要な情報を集めて、企業を選んでいるのだ。そのため、キャリアアドバイザーによる人材紹介サービスや、メンター制度の整った就活サービスを使うことが多い。第三者からの客観的な意見は、天職さがし子にとって心強いものとなる。

このタイプの学生への効果的なアプローチは、丁寧な接触を豊富に設け、親身に相談に乗り、単なる「志望企業の社員さん」を超えた存在になることだ。実際に、「何度も会ってくれたことや、OB訪問を設定してくれたことで志望度が上がった」(文学部・情報通信志望)、「面接がすべて一対一で好印象を持った」(文学部・IT志望)という声が聞かれた。

1つの会社に長く勤め続けたいと考えている天職さがし子には、会社の安定性や待遇について、じっくりと説明をすることも大切だ。曖昧な説明は致命傷になりかねない。

余裕のある就職活動を行う東大生は、さまざまな観点で企業を選定している。例えば「面接、セミナーでの話し下手、無愛想な対応で志望度を下げた」(文学部・IT志望)という声もあがっている。一つひとつのコミュニケーションに気を抜いてはならない。

【B】ノリノリ体育会系へは、迅速で透明性のある選考ステップを

recruit-athleteノリノリ体育会系は、難関企業やネームバリューのある企業に就職し、華やかな社会人生活を送ることを目標にしていることが多い。彼らは数多くの大手企業にエントリーし、より有名な企業への内定を勝ち取ろうとする。そのため選考スケジュールや就活ノウハウなどの情報を素早く取捨選択し、次の行動につなげることを重要視するのだ。外資就活ドットコムワンキャリアなど、ハイレベルな求人情報が見やすく整理されたメディアを活用することも多い。

このタイプの学生に対しては、メールの返信の迅速さや、選考フローの透明性を意識して接触する必要がある。彼らは東大生の中でも積極的に多くの企業へエントリーするため、選考フローが円滑でないと、それだけで興味を失われる可能性がある。

また、接触の際に過度にかしこまった雰囲気を出すと、志望度を下げることもある。インターンシップで志望度を下げたという東大生に、その理由を尋ねてみると、「座談会で非常に硬い雰囲気を感じ、やっていけないと思った」(経済学部・商社志望)と答えた。迅速で透明性の高い対応に加え、明るく活気のある雰囲気で接触することも重要である。

【C】自分を貫く少数派には、個性を肯定せよ

recruit-minority自分を貫く少数派は、就職先の安定性や知名度よりも、自分の個性を生かせる職場を探している。そのため、逆求人サービスやベンチャー企業に特化したナビサイトを利用し、自分の個性を評価してもらえる企業を探すことが多い。建前で話すことは好まず、本当に自分の個性を必要としている企業に入りたいと考えている。

このタイプの学生は、将来的なステップアップとして転職や起業も視野に入れていることもある。企業という枠にとらわれず、自分のやりたい仕事を追求しているのだ。調査でも、「自分の考えを持ち、それに沿って行動する社会人を魅力的に感じた」(経済学部・IT志望)という声が聞かれた。

このような学生には、社内で優れた実績を持っている社員との接触機会を設けることが有効である。実際に「フランクな雰囲気での面談や食事会をセッティングしてくれた企業とは、率直に話ができたので印象が良かった」(経済学部・IT志望)という声が聞かれた。逆に「タバコはダメと言われ志望度が下がった」(経済学部・IT志望)など、個人の嗜好に言及されたことを不快に思う意見も出た。

企業側の何気ない言動が、学生が会社を選ぶカギに

調査で集まった意見は、企業にとってみればささいな言動のように思えるものも多かった。しかし、実際にはこうしたささいな言動が、学生にとっては大きな判断基準となっている。売り手市場の中で学生に選ばれるためには、上記のようなクラスターに合わせた接触の工夫がカギとなるだろう。

イラスト:齋藤茉美

執筆者紹介

鈴木彩実(すずき・あやみ) ライター。東京大学経済学部に在籍。社会保障に関心を持ち、貧困と教育格差、職業選択について研究。

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