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平成28年度新入社員の意識調査結果(東京商工会議所調べ)


仕事の内容ややりがいよりも、安定的に働けることを重視

2016.06.16

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東京商工会議所は、「新入社員ビジネス基礎講座」(3月31日~4月12日開催)に参加した中堅・中小企業の新入社員929名を対象に行った意識調査結果を6月15日に発表した(有効回答929名、男性572名、女性356名、不明1名)。
安定志向を求める傾向が強まったほか、説明会への参加率に比べ、インターンシップや座談会、OB・OG訪問などの参加率が少ないことがわかった。

6割が「就職活動は順調だった」と回答。2010年度以降6年連続で改善

「Q.あなたの就職活動の感想は、いかがでしたか」
リーマン・ショック後初めて、「順調だった」と「ほぼ順調だった」の合計が2009年度の割合(53.6%)を超え、59.9%となった。学生の立場では就職環境が改善しており、売り手市場化がますます加速していると言える。
属性別に詳しく見ると、学歴別では、特に大卒で改善傾向が顕著。昨年度との比較で、大学(文系)卒(41.3%→48.0%)、大学(理系)卒(40.7%→56.2%)となっており、大学院卒(47.0%→55.1%)も回復傾向。また、男女別では、男性(52.9%→60.7%)、女性(47.0%→58.4%)と女性の方が改善幅が大きく、男女の差が小さくなりつつある。

就職・採用活動後ろ倒しの影響かスケジュール調整に苦労

「Q.就職活動で苦労したことは何か(3つまで選択)」
Q1の結果からも分かるように、売り手市場化が進行し「採用枠が少なく競争が厳しかった」が減少(38.6%→33.2%)した。一方で、「説明会や面接の日程・時間の調整」が増加(43.8%→52.0%)し、選考開始時期の変更により昨年度までの動きが参考にならず、混乱が生じたことが予想される。
「内定が遅く活動期間が長かった」は微減(34.6%→33.5%)し、結果として活動が短期間化したことが読み取れる。最も多かったのは、5年連続で「自分のやりたいことがわからず悩んだ」(60.4%)であり、就職環境の変化に関わらず、自己分析に頭を悩ませる傾向は変わらない。

過去5年間で仕事内容よりも、安定性を求める傾向が強まる

「Q.入社した会社を選んだ理由(3つまで選択)」
「仕事の内容がおもしろそう」(49.8%)、「自分の能力・個性が活かせる」(47.7%)、「職場の雰囲気が良かった」(46.0%)の上位3回答に変動はない。
昨年度と比較すると、全体としても顕著な変化はないが、2012年度から「安定性がある」が増加(22.1%→29.0%)し、「仕事の内容がおもしろそう」が減少(55.1%→49.8%)傾向にある。学生が企業や仕事を選びやすい環境になっている中、仕事の内容ややりがいよりも、自分が働きやすい環境の中で、安定的に働けることを重視する傾向が見受けられる。

説明会への参加率に対して、インターンシップ、座談会、OB・OG訪問など双方向型の就職活動への参加は少ない

「Q.就職活動~入社までに参加・経験したもの(入社企業で)」
「インターンシップ」(13.1%)、「座談会」(12.8%)、「OB・OG訪問」(8.6%)と1割前後に留まっており、学生が企業側へ質問するような双方向のやり取りが可能なイベントへの参加が少ない。
Q3で、仕事の内容がおもしろそう」、「自 分の能力・個性が活かせる」、「職場の雰囲気が良かった」が上位を占めている中、採用時からミスマッチによる内定辞退や離職を防止する策を講じる必要がありそうだ。また、「内定者懇談会」(39.7%)、「内定者研修」(27.4%)と、内定辞退の増加が危惧される中での、内定後のフォローを手厚くしようという企業側の努力もみられる。

就職活動は後ろ倒しで動く。影響は大卒に顕著、高卒には及ばず

「Q.就職活動の開始と内定の時期」
就職活動の開始時期は、7 割以上が2015年3月以降(75.3%)となった。内定時期についても、選考開始の8月1日以前に内定を得た割合が減少(42.0%→27.0%)し、10月以降の内定が増加(36.6%→45.6%)しており、後ろ倒しの傾向が顕著に表れた。
影響は特に大卒で著しく、就職活動を2014年12月末までに開始した割合は、「大卒(文系)」(52.1%→14.5%)、「大卒(理系)」(35.9%→12.3%)。内定時期についても7月末以前に得ているのは、「大卒(文系)」(43.8%→26.2%)、 「大卒(理系)」(50.3%→37.1%)。いずれも大幅に減少している。
前回の「採用選考に関する指針」は大卒の動きに大きな影響を与えたが、高卒には、影響が及ばなかった。

入社した会社で働き続けることにはこだわらない

「Q.今の会社でいつまで働きたいか」
「特に考えていない」(36.7%→38.2%)と「定年まで」(36.3%→34.9%)が上位で昨年度までの傾向と変わりがないが、2014年度より3年連続で「特に考えていない」が微増しており、特に女性(35.9%→44.7%)で顕著。また、転職等しやすい環境になりつつあるものの、「チャンスがあれば転職」(11.6%→11.3%)はほぼ変わりがなかった。

「仕事に対する自分の能力」への不安を感じる新入社員が引き続き8割弱

「Q.仕事をしていく上での不安(3つまで選択)」
今年度も引き続き「仕事に対する自分の能力」(75.8%)が群を抜いて多い結果となった。「パソコンなどの情報機器の操作」(23.4%)は昨年から連続で2割を超え、高卒(20.1%)よりも、大卒(文系)(28.6%)が不安視。

記事に関するデータ

「調査結果概要」
「質問別集計データ」
「調査用紙」

「平成28年度 中堅・中小企業の新入社員の意識調査結果について」【東京商工会議所・2016年6月3日】

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