カオナビ調べ
人事評価に「満足している」人はわずか2割程度 不満を感じるポイントとは
2019.10.17
カオナビ(東京・港)は10月16日、「人事評価」についてのアンケート結果を発表した。
同調査によると、人事評価に満足している人は2割にも満たず、不満点は「評価結果」「評価者への不信」「評価理由」など、多岐にわたっている現状が明らかになった。以下、リリースより。
共同研究結果/サマリー
調査結果1:人事評価に満足している人は20%以下
調査結果2:人事評価に満足している人は、職場満足度が高い傾向
調査結果3:不満点は、「評価結果」「評価者への不信」「評価理由」など多岐にわたる
本調査実施の背景
「人事評価」は、社員にとっては昇給や昇格に繋がる一大イベントであり、企業にとっても、給与、ポジションといった経営資源の配分に関わる重要な意思決定の手段です。つまり「人事評価」をきちんと行うことは、企業の成長や、社員の生産性や幸福感に関わる重要なテーマなのです。 当総研では、その重要な「人事評価」の実態を把握するため、満足度や不満の原因についてアンケートによる調査を行いました。
アンケート調査概要
・調査対象:20代から60代の社会人、600名から回収 ・調査内容:
1、Web上で職場についての質問項目に、選択・記述式で回答してもらう
2、結果の集計・分析:回答結果を集計し、t検定による分析を実施 (レポート中にとりあげている2群の差異は有意を検定したものです)
調査結果1:人事評価に満足している人は20%以下
【結果】<SA><n=599> 会社の人事評価結果について満足しているか聞いた所、「満足している」と答えた人は19.0%と2割以下でした。一方、「どちらでもない」39.7%、「満足していない」41.3%と何らかの不満を持っている人が8割を超えました。 人事評価に「満足している」人は2割もおらず、「満足していない」人の半数以下と非常に少数と言えます。
調査結果2:人事評価に満足している人は、職場満足度が高い傾向
【結果】<SA><n=599> 現在の職場への満足度はどの程度かとの質問に対し、「人事評価に満足している」人の85%以上が「職場に満足している」と回答しています。 一方で、「人事評価に不満」だと回答した人は、17%程度しか満足しておらず、人事評価に満足している人の方が、職場満足度も高い傾向にあると言えます。
調査結果3:不満点は、「評価結果」「評価者への不信」「評価理由」など多岐にわたっている
【結果】<MA><n=247(図1満足していないと回答した41.3%)> 会社の人事評価について、「あまり満足していない・全く満足していない」と答えた人に、どの点が不満か聞いた所、「結果に納得感が無い」が55.9%と最も多く、「評価者が信用できない」「理由に納得感が無い」「項目・目標設定が不適切」が全て40%弱に固まっています。
また「期中での状況変化が考慮されていない」と回答した人は16%程度と、他の項目の半分以下にとどまっており、環境変化による目標設定のズレは、問題になることは少ないことが分かります。 突出したポイントがないことから、不満点は多岐にわたることが分かります。
<実施詳細>
■配信:2018/12/17
■サンプル回収数 : 600サンプル
■配信・回収条件 (年齢:20歳~69歳 、性別:男女 、配信地域:全国 、対象条件:取締役クラス~ 一般社員(正社員)の方で、部下を持つ人・持たない人300名ずつ)
本調査結果を踏まえた、「人事評価」の満足度を高めるポイント カオナビHRテクノロジー総研 所長・内田壮による分析
人事評価に取り組む価値を認識する 調査結果2に示したように、人事評価結果の満足度は職場満足と強い関係性が有りました。因果関係が証明出来ているわけではありませんが、人事評価の改善が、ある程度職場満足の向上に寄与することは間違いなさそうです。また、調査結果1に示したように人事評価に満足している人は少数に留まります。重要かつ伸びしろが大きいことから、人事評価は取り組みがいのあるテーマと言えるでしょう。
人事評価の満足度を高めるためのヒント 今回の調査結果から、人事評価の満足度を向上させるための答えを導出することは困難です。ここでは、データに基づいた推測と、近年の潮流から2つのヒントを挙げさせて頂きます。
1、ミドル層の強化
調査結果3の通り、人事評価への不満点は多岐に渡っており、対症療法的に個別の不満点に対処してもキリが無さそうです。全ての不満に共通するポイントとして「上司」が考えられ、ミドルのマネジメント能力向上が有効な対策となりそうです。従来から、研修や経営層による指導などが行われてきたテーマですが、近年は「1on1ミーティングをルール化し、部下の状況を把握する」「タレントマネジメントシステムを用いて部下の情報を把握する」などのように、制度やシステムを使ってマネジメント能力を補完する取り組みも行われています。
2、給与と評価の分離
「B評価なら3%昇給」のように、評価結果と給与の関係性が明確な企業も多いでしょう。その場合、日々の努力と給与の関係性が明確な反面で、給与原資のことを考えた結果、評価が歪んでしまうことも多々あります。
そこで、給与と評価を分離させる取り組みが始まりつつあります(その場合は、市場価値や委員会での総合評価などで給与を決めることが多いようです)。給与と評価を分離することで、給与原資を気にせず、納得感に焦点を当てて、評価を行うことができますし、従来より多少インフレ気味(誉め言葉多め)に評価することもできます。
「評価と給与の関係性が分からないとモチベーションに悪影響では?」との議論がもちろんあると思います。しかし、社会が豊かになり、金銭的な欲求よりも承認欲求の重要性が高まりつつあるのだとすれば、給与と評価を分離し、より承認欲求に焦点を当てる制度は、社会変化に沿っており、今後増えていくのかもしれません。
【プレスリリース:人事評価に「満足している人」は2割以下! ― 人事評価と職場の満足度には高い関係性。ポイントは上司にあり?(PR TIMESより)|2019年10月16日・株式会社カオナビ】
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