ライフワークス調べ
「70歳までの雇用」、大企業人事担当の約8割が「現実的」と回答
2019.06.13
大企業で働く40代、50代社員のキャリア開発支援などを手掛けるライフワークス(東京・港)は6月11日に、従業員1,000名以上の企業を中心とした、人事担当者へ実施した「70歳就労社会に関する調査」の結果を発表した。
同調査によると、調査対象企業の約8割が70歳までの就労受け入れを「現実的」だと回答していることがわかった。以下、リリースより抜粋して紹介。
「65歳定年」を実施済、または近々検討する企業が半数以上
高年齢者雇用安定法により、現在企業には65歳まで従業員の雇用を確保する義務があります。このたび、政府は2019年5月15日の未来投資会議で、希望する従業員の70歳までの雇用継続について企業に努力義務を課す案を示しました(※1)。
こうした中ライフワークスでは、従業員1000名以上の大企業を中心とした人事担当者に「70歳就労社会に関する調査」を実施し、55名から回答を得ました。その結果、調査対象企業のうち約8割が「70歳までの就労受け入れは現実的」と回答しました。
更に、本アンケートでは70歳就労社会を見据え、大企業における50代社員に対する期待と活躍に向けた課題についても調査しました。
70歳就労社会とは、50代から20年働く社会です。つまり、企業で働く社員はこれまでより長い期間、戦力として活躍することが企業から求められます。実際に、昨今はバブル期に大量採用した世代が50代になって人件費が深刻化していることもあり、企業は50代社員に戦力として利益を生み出すことを求めはじめています。
一方で、様々なアンケート(※2)では役職定年などの転機をきっかけとして、50代社員のモチベーョンは下がりがちであることが分かっています。ライフワークスでは、このような背景から、本調査をもとに70歳就労の現実味や50代社員が新たな価値を生むための課題や解決方法について発表致します。
調査結果サマリー
調査1:調査対象企業の約8割が70歳までの就労受け入れを「現実的」だと回答。
調査2:70歳までの就労受け入れをする場合の雇用形態については、短時間or少ない日数での勤務促進が現実的との回答が半数以上(58.2%)。人材をできる限り抱えず、社会で分かち合うイメージを持っている企業が多い。
調査3:「65歳定年」を実施済、または近々検討する企業が半数以上(50.9%)。
調査4:調査対象企業が、50歳以上の社員に対して、社内ではなく社外での活躍を期待する割合は、非管理職:12.7%、技能職・専門職:6.1%、役職定年前管理職:18.2%、役職定年後管理職:17.2%。
50代社員に対して企業が感じている課題まとめ
社内に活躍できるポストが少ない。周囲や上司との関係がうまくいっていない。
50代社員活躍のための解決案まとめ
個人は、早めの準備と手に職を得ること。企業は、活躍する50代を評価するシステムの構築、風土とロールモデルづくりが急務。
【調査1】70歳までの雇用を見据えている企業の割合
質問:70歳まで社員の就業を受け入れる事について、どのようにお感じになりますか。
結果:調査対象企業の約8割が70歳までの就労受け入れを「現実的」だと回答。
【調査2】70歳までの就労受入れをする場合の雇用形態イメージ
質問:仮に65歳以降も社員を就業させる事が義務化されるとしたら、どのような就業形態が現実的だとお感じになりますか。
結果:短時間or少ない日数での勤務が現実的だとの回答が半数以上(58.2%)。
人材をできる限り抱えず、社会で分かち合うイメージを持っている企業が多い。
【調査3】大企業が定年延長に向かっている
質問:65歳までの定年延長について検討状況をお聞かせください。
結果:「近々検討する」との回答まで含めると、全体の半数以上(50.9%)が定年延長を検討している。
考察:高年齢者雇用安定法第9条(※3)により、現在、定年年齢が65歳未満の企業は、「65歳までの定年の引上げ」「65歳までの継続雇用制度の導入(再雇用制度など)」「定年廃止」のいずれかの措置が義務付けられており、現状、雇用確保措置を実施済企業のうち従業員が301名以上の企業の90.6%は「継続雇用制度の導入」を選択している(「定年の引き上げ」8.9%、「定年廃止」0.5%)。(※4)
しかし、今回の調査結果では、全体の半数以上(50.9%)の企業が、65歳までの定年延長を「検討中」「近いうちに検討」と回答している。この結果から、企業は従業員に今よりも長く社内で活躍することを期待していると考えられる。
(※1)未来投資会議(第27回)配布資料1
(※2)一般社団法人 日本経済団体連合会「ホワイトカラー高齢社員の活躍をめぐる現状・課題と取組み」(2016年5月17日)_P8
(図表8:ホワイトカラーの高齢社員の活躍にあたっての問題)
(※3)厚生労働省 高年齢者の雇用1.(2)高年齢者雇用確保措置
(※4)厚生労働省 平成29年「高年齢者の雇用状況」集計結果_P4(雇用確保措置の内訳)
調査概要
実施期間:2019年2月26日~3月5日の8日間
調査対象:人事担当者
(従業員1000名以上:43名、従業員500名以上1000名未満:7名、従業員300名以上500名未満:3社、300名未満:2社)※連結での従業員数
回答者数:55名
調査方式:インターネット調査
【プレスリリース『「70歳雇用は現実的」、調査対象企業の約8割の人事担当者が回答!
ライフワークス、大企業人事担当者向けに「70歳就労社会に関する調査」を実施、結果を発表』より|株式会社ライフワークス・2019年6月11日】
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