エン・ジャパン調べ
「時間外労働の上限規制」、企業の認知度が昨年より20ポイント上昇
2019.06.07
エン・ジャパン(東京・新宿)は6月5日、企業の「時間外労働の上限規制」についての調査結果を発表した。
同調査によると、「時間外労働の上限規制」法の認知度は96%で昨年と比べて20ポイント上昇したことがわかった。以下、リリースより。
調査結果 概要
・「時間外労働の上限規制」法の認知度は96%。
・66%が「時間外労働の上限規制」法に賛成。一方、3社に1社は懐疑的。
・「時間外労働の上限規制」法の対応策が決定しているのは58%。具体的な対応策のトップは「業務分担やフローの見直し」「管理職への教育」。
・1ヶ月あたりの平均時間外労働時間は、83%が40時間以内。時間外労働が発生する理由は「仕事量の多さ」「人員不足」。
調査結果 詳細
1:「時間外労働の上限規制」法の認知度は96%。(図1、図2、図3)
大企業は2019年4月、中小企業は2020年4月から施行される「時間外労働の上限規制」法について、96%が「知っている」(内容も含めて知っている:44%、概要を知っている:52%)と回答しました。施行1年前の昨年と比較すると「知っている」と回答した企業は20ポイント増加しており、認知の拡大が伺えます。
※時間外労働の上限規制…「働き方改革関連法」の1つ。従来、36協定の特別条項につき、規制がなかった残業時間に上限を設けるもの。
参考:「働き方改革法」ポイントと対策(人事のミカタ)
https://partners.en-japan.com/special/hatarakikata_kaikaku/
【図1】「時間外労働の上限規制」法についてご存知ですか?(前年比較)
【図2】「時間外労働の上限規制」法についてご存知ですか?(企業規模別)
【図3】「時間外労働の上限規制」法についてご存知ですか?(業種別)
2:66%が「時間外労働の上限規制」法に賛成。一方、3社に1社は懐疑的。(図4、図5、図6)
「時間外労働の上限規制」についての見解を伺うと、66%が「良いと思う」(非常に良いと思う:18%、まあ良いと思う:48%)と回答しました。一方、31%が「良くないと思う」(あまり良いと思わない:23%、良くないと思う:8%)と回答。
特に反対の意見が目立ったのは、企業規模別では「1~49名」(同:23%、9%)、業種別では「広告・出版・マスコミ関連」(同:43%、19%)でした。それぞれ理由も紹介します。
【図4】「時間外労働の上限規制」法について、どのように思いますか?
【図5】「時間外労働の上限規制」法について、どのように思いますか?(企業規模別)
【図6】「時間外労働の上限規制」法について、どのように思いますか?(業種別)
「非常に良いと思う」「まあ良いと思う」と回答された方の理由
・だらだらと居残ることを制限できるし、残業が多い社員に法的理由をもって対応できる。(商社/50~99名)
・最低限のワークライフバランスの維持や、ブラック企業の撲滅、労働者の命を守ることに繋がるから。(メーカー/100~299名)
・社員の過労を削減できる。結果リフレッシュや休息に充てる時間が持て、良い仕事ができるため、生産性向上に繋がると期待しています。(IT・情報処理・インターネット関連/100~299名)
・長時間労働が常態化している業界のため、この規制を通じて業界全体が変わるきっかけになるといい思う。(IT・情報処理・インターネット関連/100~299名)
・精神疾患に過重労働(長時間労働)の因果関係が認められている以上は、上限規制するのは当然。(メーカー/1000名以上)
「あまり良いと思わない」「良くないと思う」と回答された方の理由
・時間外労働が発生している根本理由は、自社だけでは解決できない。本制度の提唱者である官庁自身が業務発注の仕組みを変える必要があると思う。(設備設計/1~49名)
・労働時間が減ったところで、従業員の負担が減るわけではない。(広告・出版・マスコミ関連/50~99名)
・上限規制を設けても、取締りを強化しないと意味が無い。まずは取り締まりを強化すべき。(メーカー/100~299名)
・人員不足を解決してこその制度であり、その対策のほうを優先すべきだと思います。(運輸・倉庫業/300~999名)
・稼ぎたい人と無理に働かせられてる人を一緒に考えてはいけない。(サービス関連/300~999名)
※()内は業種/従業員数
3:「時間外労働の上限規制」法の対応策が決定しているのは58%。具体的な対応策のトップは「業務分担やフローの見直し」「管理職への教育」。(図7~図10)
「時間外労働の上限規制」の対応状況を伺うと、58%が「対応策が決定している」(既に必要な対応が完了:22%、現在取り組んでいる最中:30%、対応が決まり、これから取り組む予定:6%)と回答しました。企業規模別では「1000名以上」(同:41%、36%、2%)、業種別では「金融・コンサル関連」(同:50%、33%、0%)で対応が進んでいるようです。
「対応策が決定している」と回答した企業に具体的な対応策を伺うと、トップは同率で「業務分担やフローの見直し」(58%)、「管理職への教育(時間管理)」(58%)、次いで「時間外労働の上限目標を厳格化」(53%)、「時間外労働の事前申請制度」(52%)が続きます。
【図7】「時間外労働の上限規制」法の対応状況を教えてください。
【図8】「時間外労働の上限規制」法の対応状況を教えてください。(企業規模別)
【図9】「時間外労働の上限規制」法の対応状況を教えてください。(業種別)
【図10】「既に必要な対応が完了」「現在取り組んでいる最中」「対応が決まり、これから取り組む予定」と回答した方に伺います。「時間外労働の上限規制」法に、どう対応しますか?(複数回答可)
4:1ヶ月あたりの平均時間外労働時間は、83%が40時間以内。時間外労働が発生する理由は「仕事量の多さ」「人員不足」。(図11~図14)
時間外労働時間(1ヶ月)の平均を伺うと、83%が40時間以内(0時間:1%、1~20時間:45%、21~40時間:38%)と回答しました。1ヶ月あたりの時間外労働時間が多かったのは、企業規模別では「300~999名」(41~60時間:16%、61~80時間:9%、81~100時間:1%)、業種別では「流通・小売関連」(同:20%、13%、2%)でした。
時間外労働が発生する理由を伺うと、トップは同率で「常に仕事量が多いから」(72%)、「人員不足だから」(72%)でした。
【図11】現在の平均時間外労働時間(1ヶ月)は何時間程度ですか?
【図12】現在の平均時間外労働時間(1ヶ月)は何時間程度ですか?(企業規模別)
【図13】現在の平均時間外労働時間(1ヶ月)は何時間程度ですか?(業種別)
【図14】時間外労働が発生する主な理由は何ですか?(複数回答可)
【調査概要】
■調査方法:インターネットによるアンケート
■調査対象:『人事のミカタ』( https://partners.en-japan.com/ )を利用している企業
■有効回答数:724社(1~49名:262社、50~99名:143社、100~299名:161社、300~999名:114社、1000名以上:44社)
■調査期間:2019年3月27日~5月14日
【プレリリース「企業の「時間外労働の上限規制」実態調査 企業の認知度は96%と、昨年より20ポイント上昇。 「時間外労働の上限規制」に3社に1社が懐疑的。」より|2019年06月05日・エン・ジャパン株式会社】
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