ファーストキャリア調べ
平成最後の新入社員は『成長意欲あるが協調性重視』。フィードバックへの欲求も強い傾向に
2019.04.26
ファーストキャリア(東京・渋谷)は4月24日、平成最後の新入社員を対象とした職場での育成についてのアンケート結果を発表した。同調査によると、昨年より協調性を重視する新入社員が増加していることが分かった。以下、リリースより。
参照:大手企業が優秀層をつなぎとめる3つの施策とは。研修設計からはじめる若手社員の離職防止
「積極的で自分基準重視の自己偏重型」との二極化の構図は維持しつつも、減少傾向に
大手企業を中心に、毎年4月に約17,000人の新入社員研修を担当する、ファーストキャリアは、2019年度の新入社員や人事・研修担当者、研修担当講師へのアンケート、研修現場での行動調査をもとに「新卒・若手層育成研究所」調査速報をまとめましたので、その内容をお知らせいたします。
「平成最後」である今年の新入社員は、『自己の成長意欲も自信もあるが、周囲との協調性を重視する』傾向が強まってきていることが分かりました。昨年増加した「積極的で自分基準重視の自己偏重型」との二極化の構図は維持しつつも、減少傾向にあるようです。
昨年は、積極的で活発な新入社員が増加し、「おとなしく同調重視型」と「積極的で自分基準重視型」への「二極化」が進んでいましたが、2019年度の新入社員を対象にした今年の調査では、一転して、指示されたことや周囲の状況に素直に自然体で同調する新入社員が増加しています。一見「おとなしい」と見えても、「個」で関われば喜んでコミュニケーションし、パフォーマンスの場を提供すれば、ポテンシャルを発揮、フィードバックへの欲求も強い傾向にあります。ファーストキャリアでは新入社員自身に、自分たちの「特徴」「プラス面・マイナス面」「望む育成方法」を作成してもらい、収集しています。
今年の本人たちが自覚しているプラス面の項目は、
・1位「協調性がある、チームワークを大切にしている」(38%)
・2位「素直、真面目」(25%)
・3位「成長力がある、成長に対して意欲的」(20%)
という結果で、協調性がストレートに表現されました。
一方、マイナス面は、
・1位「行動力に乏しい、率先して動くことができない」(38%)
・2位「基本的に周囲の動きを待つ、受け身・受動的」(30%)
・3位「自らの発信が弱い、自身の意見を出せない」(18%)
となっています。
■実際の研修の場での代表的な同調型行動例
・講師・事務局からの指示に対し、元気に明るく、言われたとおり行動する
・空気を読みながら、周囲の様子を伺い行動するが、場を提供すれば活発になる
・まず思考して、自分達の考えを共有してから行動するが、自信を持ってアウトプットする
※全体として、「自己肯定感」「自分視点軸(相手視点の欠如)」が変わらず強まっており、研修中に行う仮想の仕事でも、仕事の目的やゴールより「自分基準」が優先され、「自分の考える120点の品質を目指し、納期遅れ」のような反応が見られます。
■育成上でのポイント:「自己肯定感を大切にしてあげながらも、少しハードルを上げた目標・役割を提供して伴走する」
新入社員は、「気持ちは前向き、成長意欲も自信もある。良さを引き出して欲しい」という思考を持っています。そのため、自己肯定感を活かし、期待役割を明確に伝え、少しハードルを上げた目標・役割を与えることが効果的と思われます。また、同時に内省のサポートを行い「自分視点」だけでなく「相手視点、全体視点」をも取り入れてもらう育成や、会社の成長への貢献、必要能力の習得といった軸でだけではなく、「自己成長」の視点を入れた機会・経験、成長実感・貢献実感が得られやすい身近な対象者への価値提供の機会を与えて行くことが有効と思われます。
■新卒・若手育成研究所所長 加藤博司の見解
①協調性重視新入社員増加の背景:【フルゆとり世代×デジタルネイティブ】
協調性重視の新入社員が増えている背景として、「デジタルネイティブ世代」であり数多くの情報を取捨選択することに慣れているため、ネット上の意見や他者の意見を参考にしたり、それに同調することに抵抗が少ないと言えます。また、ほめて伸ばすゆとり教育を受けてきたことや、就職の売り手市場の中で就職先を「選ぶ立場」であったことからも、自己肯定感を得やすい環境と言えます。一方、大企業に勤めても安泰と言えない中での先行き不透明感や、AIに仕事が人間の仕事が取って代わるといった不安感から、自分自身の成長にも貪欲な新入社員が増えていると言えます。
②積極的で自己偏重型新入社員減少の背景:【安心よりも自己実現・早期活躍を重視】
昨年と今年で採用コンセプトを変更する動きが複数社で見えました。昨年は「多様性」「積極性」などを重要なコンセプトとしていた企業が、今年は元の採用コンセプト(地頭+コミュニケーション力+チーム活動の適性)に戻したり、「積極性」の重要度を下げており、その理由として、「積極性」重視のコンセプトに惹かれ入社した本人が、入社後に現場文化にうまく馴染めない、受け入れ側もうまく育成できないことがあげられます。
また、「自己偏重型」人材は、大企業を選ばずにメガベンチャーや外資系コンサルティング会社を志望しているという声も聞きます。自己実現欲求が高いため、大手企業に属している安心よりも、自己成長・早期活躍による自己実現が遠いことへの不安が先立ってしまうことが理由として挙げられます。
【プレリリース「平成最後の新入社員は『成長意欲も自信もあるものの、協調性を重視』~情報・繋がりの取捨選択に慣れた「デジタルネイティブ」世代、「売り手市場」で自己肯定感を得やすいことが背景~」より|2019年4月24日・株式会社ファーストキャリア】
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