株式会社ニューロスペース
会社員の7割以上が睡眠不足 原因は「帰宅時間」「通勤時間」「ながらスマホ」
2019.01.23
テクノロジーで人々の睡眠課題を解決するSleepTech(スリープテック)事業を展開する「ニューロスペース」(東京・墨田区)は、1月21日、会社員500名を対象に実施した「睡眠実態調査」の結果を発表した。
同調査によると、回答者の7割以上が睡眠に不満を抱いており、理想と実際の睡眠時間では1.2時間のギャップがあることが分かった。以下、リリースより。
【調査概要】
睡眠課題による経済損失の額は15兆円(2016年11月ランド研究所調査)と発表されており、2018年5月に産業医科大学の研究(Nagata T, et al., J Occup Environ Med.(2018))では、日本企業のプレゼンティーイズム損失の内訳は肩や首の凝り(14%)に続いて、睡眠不足が2番目に大きい損失(11%、1人あたり年間約3.4万円)となっており、企業成長や企業価値の向上においても睡眠課題が大きく影響を及ぼすことが判明しています。
本調査では会社員の7割以上が睡眠に不満を持っていることが明らかになりました。自身が考える理想の睡眠時間平均7.37時間に対し、実際の睡眠時間は6.18時間とマイナス1.2時間の差が生じていることが明らかになりました。
また、睡眠状況と仕事への影響について聞くと、仕事中も頻繁に眠気を感じる会社員は約3割、約6割が生産性への影響があると回答しました。
約半数の会社員が「仮眠を取ることは不可能」と回答し、会社員にとって仮眠はまだハードルの高い睡眠改善策であることが明らかになりました。また、性別対比では女性の睡眠課題が大きく、未だ変わらない家庭での役割分担が影響を及ぼしている可能性が示唆されました。
主な調査結果
1.ビジネスパーソンの7割以上が睡眠に不満、理想と実際の睡眠時間のギャップは1.2時間。睡眠不足の理由トップ3は仕事からの帰りの遅さ・寝ながらスマホ・通勤時間
2.仕事中に眠気を感じているのは8割、うち2割は毎日眠気を感じている。しかし仮眠をとることは不可能と約半数が回答。6割近くが生産性への影響ありと回答。
3.日勤のビジネスパーソンの三大睡眠課題は「慢性睡眠不足」・「熟睡困難」・「起床困難」
4.性別対比では、女性の課題割合が大きい。
5.睡眠の質に影響する生活習慣トップ3は寝る前の光、休日の寝だめ、寝ながらスマホ
6.全ての年代で睡眠に対する不満は女性の方が高く、30代女性では9割が睡眠に不満。未だ変わらない働く女性の家庭での役割分担が原因か
1.ビジネスパーソンの7割以上が睡眠に不満、理想と実際の睡眠時間のギャップは1.2時間。睡眠不足の理由トップ3は仕事からの帰りの遅さ・寝ながらスマホ・通勤時間
睡眠に対する満足度は「全く満足していない」(14%)「あまり満足していない」(60%)と、合計74%のビジネスパーソンが睡眠に満足していないことが明らかになった。
理想とする睡眠時間は平均7.37時間だが、実際の睡眠時間は平均6.18時間とマイナス1.2時間の差が生じていた。ビジネスパーソンは十分な睡眠が取れておらず、睡眠負債が溜まっている状態にある。
睡眠を妨げる原因は、1位「仕事による帰宅の遅さ」(33%)、2位「ベッドでのスマホ」(21%)、3位「通勤時間」(18%)と、仕事による影響が大きいことが分かった。
2.仕事中に眠気を感じているのは8割、うち2割は毎日眠気を感じている。しかし仮眠をとることは不可能と約半数が回答。6割近くが生産性への影響ありと回答。
仕事中の眠気を約8割が感じており、うち約3割が、週3回以上〜毎日と頻繁に感じている。13〜15時の時間帯だけでなく、午前中や15時以降も眠気を感じていることが分かった。
また、眠気による仕事への影響として、約6割が業務効率の低下を挙げている。
仮眠をとることの可否について聞くと、「とることは不可能」(47%)と約半数が回答。眠気による生産性の低下を自覚しているビジネスパーソンは多い一方で、眠気の解消に有効である仮眠について、まだ企業では導入が進んでいない実態が明らかになった。
仕事中の眠気を週3回以上感じる人の夜の睡眠満足度は「全く満足していない」(27%)「あまり満足していない」(60%)であり、調査対象者全員の傾向(「全く満足していない」(14%)「あまり満足していない」(60%))と比べて低くなっており、日中の眠気の発生と夜の睡眠課題は密接に関係があることがわかる。
3.日勤のビジネスパーソンの三大睡眠課題は「慢性睡眠不足」・「熟睡困難」・「起床困難」。性別対比では女性の課題割合が大きい。
「熟睡困難(たくさん寝たはずなのに、疲れが取れずだるく感じる)」(49%)
「慢性睡眠不足(就寝時、意識を失うようにあっという間に寝てしまう)」(46%)
「起床困難(起床時、眠気がありスッキリ起きることが難しい)」(43%)が日勤のビジネスパーソンの三大睡眠課題であることが判明した。
上記三大睡眠課題において、課題1位の熟睡困難(男性44%に対し女性55%)課題3位の起床困難(男性36%に対し女性51%)ともに、女性の課題割合が上回っている。
4.睡眠の質に影響する生活習慣トップ3は寝る前の光、休日の寝だめ、寝ながらスマホ
睡眠の質に影響する生活習慣割合のトップ3は「寝る前の明るい光」(83%)「休日の寝だめ」(65%)「ベッドでのスマホ」(55%)であることが明らかになった。
トップ3のいずれの習慣においても、女性の割合が男性を上回っており、睡眠の質の低下に繋がっていることがわかる。特に休日の寝だめの割合は男性59%に対し、女性は74%となっており、寝だめによるリズムの乱れが、女性の課題割合が大きい起床困難等の睡眠課題に繋がっていると推察される。
5.全ての年代で睡眠に対する不満は女性の方が高く、30代女性では9割が睡眠に不満。未だ変わらない働く女性の家庭での役割分担が原因か
睡眠に不満を持つ回答者を男女別で比較すると、全年代において女性の方が睡眠に不満を持っている。特に30代女性においては9割が睡眠に不満があると回答した。
女性の睡眠時間の分布にバラつきあり、男性は6時間に集中している一方で、女性は5時間にも集中していることがわかる。女性の方が時間の確保ができていないもしくは睡眠時間を大きく削って生活している人が多く存在すると推察される。
睡眠を妨げる原因を男女別で見ると、「家事」と挙げたのが、男性6%、女性17%と男女で大きく差が生じた。共働き世帯の増加や女性活躍が推進されつつも、女性の家事負担は軽減されておらず、睡眠時間の減少や睡眠への不満につながっていることが推測される。
調査概要
調査名:睡眠に関するアンケート
対象条件:日勤企業に勤務する従業員(男女)
調査期間:2018年7月1日〜12月10日
調査方法:ニューロスペース睡眠改善プログラムでの従業員睡眠課題アンケート
有効回答数:504
本調査の考察(ニューロスペース代表取締役社長 小林孝徳)
本調査を通じて、日本の日勤企業で働いているビジネスパーソンの睡眠課題に留まらず、その背景にある現在の社会が直面している本質的な課題について把握することができました。
ビジネスパーソンの約7割以上が自身の睡眠に不満を抱えており、その要因は仕事に起因する項目が多くを占めていましたが、その他にも、家庭における家事や育児などの夫婦での役割分担や、今後急増が予想される介護なども要因として挙がってきています。
今回の調査で特に注目したポイントは下記の3つです。
1.従業員の睡眠課題は企業成長や企業価値の向上に影響を及ぼす
1つめは、従業員の睡眠課題は企業成長や企業価値の向上にも影響を及ぼす要因となり得るということです。
夜の睡眠課題は日中の眠気を誘発し、業務効率の低下など生産性にも大きく影響を及ぼすことが判明しました。頻繁に眠気を感じる自覚がある社員は3割、6割が仕事の生産性低下に影響が出ていると回答しています。
実際に、弊社が企業へ睡眠改善プログラムを導入する際にも、日中の眠気にどうしようもなく困っている、会議で寝てしまう、仕事に集中できない、というような悩みの声がよく挙がってきます。
このように日中の眠気の課題が顕在化している一方で、パワーナップ(仮眠)を推奨している企業は未だ少なく、今回の調査でも約半数の方が取ることは不可能との回答をしています。
適切な仮眠は、眠気を解消し集中度を高める効果があることが実証実験(*1)でも明らかになっており、今後、仮眠を企業成長のための戦略的な手段として推奨する企業が増えていくよう、引き続き啓発して参ります。
(*1)2018年8月、『三菱地所との「仮眠室を活用した仮眠効果検証実験」結果報告』:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000032.000020114.html
そして、日中の眠気は夜の睡眠課題が要因となることからも、仮眠による対処療法だけでなく、夜の睡眠の改善を行っていくことが、本質的な改善に繋がって参りますので、昼と夜の両面からの睡眠改善取組みが企業成長の鍵となると考えます。
2.女性の睡眠課題は「過程内の家事負担」
2つめは、働く女性の睡眠課題についてです。調査では女性の睡眠課題割合が男性より高く、また睡眠への満足度は著しく低いことが明らかになりました。
これは、日本社会における共働き世帯の増加と、企業における女性の活躍推進・女性のキャリアアップなどが進む一方で、本人および配偶者が従来と変わらない長時間労働を是とした働き方を取らざるを得ない背景や、女性を取り巻く外部環境は変わる一方で家事や育児など家庭内での役割は見直されず女性に未だ負担がかかっている状態のままであり、そのしわ寄せが女性の睡眠に現れているということが推察されます。
様々なライフステージを迎える中においても、女性がいきいきと働き続けていけるよう、家庭では夫婦がお互いを思いやり、抱えている負担を見つめて、役割分担の見直しや家庭内だけの解決手段だけに頼らず、外部へのアウトソーシングや連携方法などまで積極的に踏み込んで考えていくことが求められていると考えます。
3.睡眠課題の解決には「企業における働き方」を変えることが必要
3つめは、本質的な睡眠課題解決を目指していくためには、個人や家庭の取組みだけでは限界があり、弊社調査でも睡眠を妨げる要因の大半を占めている「企業における働き方」を変えていくことが必要になるということです。
経済産業省は健康経営優良法人2019の認定基準(*2)に「女性の健康保持・増進に向けた取り組み」を追加しており、女性が働きやすい環境整備を進め、健康課題に対する施策を推奨しています。
2019年4月からは勤務間インターバル制度導入の努力義務化や年5日の年次有給休暇の取得義務化が施行されます。働く人の十分な休息や心身のリフレッシュに焦点を当てて、多様なワーク・ライフ・バランスを実現できるような働き方ができるように、社会も企業も変わりはじめています。
(*2)「健康経営優良法人2019の認定基準」経済産業省
ニューロスペースでは、今後も、1人ひとりの睡眠を尊重し、多様な人材が活躍していくことができる社会の創造に向けて、SleepTechを活用した睡眠改善プログラムを通じて企業の働き方改革を支援して参ります。
【プレスリリース「【2018年度「企業の睡眠負債」実態調査】ビジネスパーソンの働き方に起因する3大睡眠課題が判明、7割以上が自身の睡眠に不満、働き盛りの女性の睡眠課題大」(PR TIMES)より|2019年1月21日・株式会社ニューロスペース】
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