ジェック調べ
新入社員意識調査「仕事より私生活の充実」「自分が大事」の傾向続く
2018.07.20
ジェックは、2018年7月6日、新入社員の「企業人としての意識」に関する調査結果を発表した。
同調査によると、今年度の傾向としては、仕事での充実より、私生活重視の回答割合が昨年度よりも更に上昇。過去5年間の傾向としては、組織内のモラルやルール、職場での人間関係など多方面の質問において、「自分が大事(判断基準が自分の好み)」の傾向が見られることがわかった。以下、リリースより。
2018年の結果
Ⅰ.職業人の意識
地道な努力を大切にし、言われた通りまずやってみようとする意識
Ⅱ. 自己実現の意識
能力や個性を思う存分発揮しよとする意識
Ⅲ. 貢献・報酬の意識
百の知識よりも、一つの成果、業績を重んじ ようとする意識
Ⅳ. 組織活動の意識
規則に従い連絡を密しようとする意識
Ⅴ. 人間関係の意識
相手を尊重し礼儀作法を配慮しようとする意識
傾向1 今年度の傾向
2017年に、仕事と私生活(ライフとワーク)を想起させる言葉を使用している設問の回答傾向をご報告しましたが、2018年もその傾向が顕著となりました。
設問「仕事も大切だがむしろ家庭を大事にしたほうが、人間らしい生き方ができる」に対して「家庭」重視の回答割合はさらに上昇し、2017年から3.6ポイント上昇しています。
設問「給料や週休2日制も大切であるが、働き甲斐を求めることの方がより人間らしい生き方ができる」に対して「働き甲斐」重視の回答割合は、2017年より上昇したものの、「家庭」重視の回答割合との差が広がっています。
入社動機でみると、「休日」「転勤がない」を理由に挙げた割合は、2012年ごろから徐々に増加しており、重要視する傾向が強くなっていると考えられます。
働き方改革に関連する様々な報道により、ワークライフバランスに対する意識は、強まってきていると推察されます。企業も、休日を増やしたり、サテライトオフィスやテレワークの導入などにより、通勤環境、仕事環境を改善する努力をしていますので、今後、入社希望企業の選択には、それらの施策の有無が影響してくると思われます。
新入社員研修を担当したインストラクターの所感にあるように、あるべき行動や正しい考え方を理解する力や模範的行動を再現する力は大変高いようです。
一方で、自ら気づき修正する力がまだ弱く、結果として、例えば、一度行えた行動が継続しない、自らを振り返るときには、意識面の振り返りまでには至らず、行動面のみになってしまうということが起こっているようです。
コース現場より 新入社員研修を担当した弊社インストラクターの意見
<行動に関する特徴>
・理解力が高く、指示されたことは素直に実行しようとする。
-テスト基準を見せると、すぐに吸収して、行動できる。
・グループ内でのコミュニケーションを積極的に行う。ただし、注意しあうような関係に至らないことが多く、仲良し集団を形成してしまう。
・習ったことをすぐに再現することはできるが、身につけるところまで継続せずに元に戻ってしまう。
・話を聴く際の反応や少し考えさせる質問をした時の反応が薄い。
-話す人のほうを見ているが、表情が変わらず、感情や理解度がわかりづらい。
-問いかけた際に、表情の変化や返事といった反応をせずに相手をじっと見ている。
・電話応対に慣れていない。
-SNSなどで文字コミュニケーションに慣れているためか、電話の応対で言葉が出てこないことが見受けられた。
・正解ややり方を探そうとする。
-自分の誤った行動理論に対する正しい行動理論について、正解を聞こうとする。
・説明後に質問を募っても出てこないが、後で個別に質問してくる。
<自己の振り返りに関する特徴>
・自分の言動が周りにどのように映っているのか、という振り返りをすることに慣れていない。
-振り返りのレベルが行動や知識になっている。指摘すると行動の修正はできるが、自己を振り返って気づく、ということが少ない。
-インストラクターがなぜそのような行動を取ったのかと質問すると、黙り込んでしまうことがある。
オブザーバーの所感
・売り手市場のため思い通りの採用ができなかった。
・昨年より元気が良い。
・懇親会の場で、役員と話をしたりせず、同期で固まって盛り上がっている。
傾向2 最近5年間の傾向
次に、2014年以降5年間で回答傾向の変化が大きい設問を取り上げます。
設問「職場のモラル(道徳)は、職場のモラール(やる気)以上に重要なことだ」、設問「個々人の努力や成績を無視して、生活必要経費を基準にボーナスを支払うことは誤りである」の回答傾向にあるように、モラル(道徳)やルール順守、公平性を求める傾向が表れています。
一方で、「遅刻とかルール違反など、小さなことでうるさく言う会社は官僚的(規則にとらわれすぎ)だ」という自分に関わる可能性のある設問については、そう思わないと答えた割合は減少傾向にあり、どちらかというと寛容さを求める傾向が表れています。
これらの傾向には、自分には緩く周りには厳しいという「自分が大事、自分が中心(判断基準が自分の好み)」という意識が背景にあることが推察されます。弱点を克服するより、個性を伸ばすことを奨励されてきた世代ですので、上司や同僚に対しても、いかに自分を大事にしてくれるかを付き合いの判断基準に置く傾向があるようです。
「民主的経営では、会社の方針は従業員に対する命令ではなく、お願いである」、「民主主義の社会では、上役が部下を叱るのは行き過ぎだ。注意を与える程度にとどめるべきである」といった、方針・命令に関する意識を問う設問でも、そう思わないと答えた割合が減少しています。
これらも、縛られたくない、自分なりにやりたいといった「自分が大事」という意識からくるものと推察されます。学校などでも叱られた経験は少ないため、上司や先輩が注意やアドバイスのつもりで話しかけたことを、叱られたと感じる新入社員がいたという話を聞きます。これらのことから、本音で話をすることが少なく、ぶつかり合うことを避ける傾向が強いと考えられます。
「上役との関係は仕事上のつながりである。したがって、仕事以外の付き合いはできるだけ避けた方がよい」、「会社の仲間と仲良くやっていくためには、多少いやな付き合いも我慢して付き合う必要がある」といった、職場での人付き合いに関する意識を問う設問では、できるだけ職場の人間とは交流を持たずに社会人生活を送りたいという傾向が表れています。
これらの設問には、まだ全体の80%近くは正答しており、上司や仲間と付き合っていくことが重要であることは理解はしていると考えられます。しかしながら、学生時代までは、同質的な集団に属してきたことが多く、意図的に異質な集団との接点をもつことに苦手意識を抱く新入社員が多いことが推察されます。
設問「上役と若い部下が断絶状態になる場合は、世代のギャップだからという認識も必要である」に対して、「そう思う」と答えた割合は、この5年間で21.6%から29.3%に上昇しています。世代の異なる集団に属したことが少なく、抵抗感を持つ新入社員も多いと推察されます。
このように、組織内の人間関係に関する考え方について、気の合う人とだけ付き合うという学生時代の思考から抜け切れていない新入社員が、徐々に増えてきていることが推察されます。これらも、「自分が大事」という思考からくるものと考えられます。
社員意識調査の概要
【調査名称】2018年 新入社員 企業人としての意識調査
【調査対象】ジェック主催「新入社員基本能力体得コース」およびジェックが担当した各社新入社員研修の受講者
【設問概要】
・本調査は、ジェックが考える“企業人としてもつべき考え方・意識”の傾向を調査するものです
・設問数50問、結果を5つの意識に分類し各25点満点
・回答は、マークシート形式
【調査時期】2018年3月~5月に実施、データ数1,800名
【プレスリリース『ジェック2018年 新入社員「企業人としての意識」調査報告』より|株式会社ジェック・2018年7月6日】
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