人事のキャリア【第10回】
会社と就活生をつなぐ「学生人事」の挑戦(ミクシィ・江藤かなさん)
2017.10.10
さまざまな会社の人事担当者に、仕事のやりがいや想いを聞く連載企画「人事のキャリア」。今回登場するのは、株式会社ミクシィ人事の江藤かなさん。就活生に向けた情報発信に取り組む江藤さんは、2018年新卒採用の内定者でもあります。
2017年5月から人事部のメンバーに加わり、週2回のペースで働いている江藤さん。現役大学生の目に、人事の仕事はどのように映っているのでしょうか? 学生人事としての活躍と、これからの挑戦について聞きました。(2017年7月取材:編集部、撮影:仲村介架)
内定者から就活生へ SNSで情報を発信する
―江藤さんは2018年新卒採用の内定者でありながら、人事部のメンバーとして働かれています。いま取り組んでいる仕事の内容を教えてください。
現在は、Twitterアカウントの運用や、学生団体と協力したビジコンに携わっています。Twitterでは、「えとかな@mixiGROUP」というアカウント( @kana_mixigroup )で、就活情報やミクシィグループが提供するサービスの情報、オフィスの様子などを発信しています。また、秋以降に実施予定の2019新卒採用のイベント企画にも携わっていく予定です。
―どんなきっかけで人事として働き始めたのでしょうか?
内定承諾後に担当の人事の方から、人事でアルバイトをしてみないかと相談をもらいました。わたしは人と人とをつなぐコミュニケーションサービスに携わりたい、新規事業をやってみたいという想いがあり、ミクシィグループでもサービスを作りたいと思っていました。そのため、人事というポジションを提案されたときは驚きました。
ただ、学生時代にゼミをまとめる団体の代表をしており、そこで組織や人を動かす難しさを実感し、組織作りの大切さを学んでいました。この経験から、組織作りに関心を持っていたため、人事部でのアルバイトを決断しました。
―ゼミの代表経験についてもう少し詳しくお話いただけますか?
大学のゼミを統括する団体で、ゼミ対抗の球技大会や、プレゼンテーション大会の運営をしていました。50人ほどのメンバーの代表として、チームマネジメントに取り組んでいました。
わたしは、代表を務めるなら組織をもっと活性化させたいと考え、新しい取り組みを行おうと試みました。しかし、あまり賛同が得られず、「絶対に取り組んだ方が良いのに、なんで分かってもらえないんだろう」と悩んでいました。そうするうちに、どんどんメンバーが離れてしまったんです。
このままではまずいと思い、チームの動かし方やマネジメントについて、本を読んで勉強しました。そこで「人を大事にすること」が組織をまとめるうえで、とても大切だと気付いたんです。それからは「人を大事にすること」を心がけ、メンバーの考えを尊重しながらタスクをお願いしたり、こまめに感謝の気持ちを伝えるようにしました。その結果、組織の人間関係をきちんと修復でき、以前よりも柔軟で協力し合える、活気がある組織になったんです。
この経験を通して、組織のマネジメントには「人を大事にすること」が重要だと学び、組織作りにも興味が湧きました。
―学生時代の体験がいまの仕事につながっているんですね。団体の代表以外にも、学生時代に経験されたことはありますか?
トラベル系のキュレーションサイトを運営しているベンチャー企業で、人事を担当していました。スタートアップの段階では、記事の質も大切ですが、量も必要になります。そこで、社長から「ライターを集めてほしい」と頼まれました。
最初は、なかなか人が集まらず、どうすればよいか試行錯誤の日々でした。どうしたらライターの方々に、自分の会社で記事を書きたいと思ってもらえるか考えた結果、「相手に合った提案をすること」に行き着きました。
たとえばマーケティングが得意な人には、「記事を多くの人に届けるには、マーケティングの視点が必要だから強みを活かせる」ということを伝え、またライティングスキルを高めたいと思っている人には、「毎記事添削してもらえ、フィードバックがもらえる」というように伝えました。
このように相手のニーズを考え、一人ひとりに合わせた提案をすることでライターが集まり、結果として、目標を上回る人数を集めることができました。
就活生とのコミュニケーションも「ユーザー思考」がポイント
―団体でのリーダー経験やベンチャー企業での人事経験は、いまの仕事にもいきていますか?
はい。Twitterでも、会社が伝えたいことを発信するだけなら、「ミクシィグループはこんなに良い会社だ」という内容を発信すればいいと思います。ただ、就活生が興味を持つのは「どうすれば就活はうまくいくのか?」という点だと思うので、そうした情報を織り交ぜながら発信しています。
人を大切にするというのは、相手の気持ちを考えること、つまりユーザー思考を持つことだと思います。
―学生に会社の情報を発信する際には、工夫をしていることはありますか?
情報のリアリティが出るよう工夫しています。企業情報や就活アドバイスとともに、情報発信者であるわたし自身のパーソナリティが伝わる内容を発信することで、情報のリアリティが増し、投稿に目をとめてくれる人が増えるのではないかと思います。
ここ数年、Twitterで就活用のアカウントを作る学生が多くおり、就活に関するアカウントをフォローして情報を集めることが主流になっています。「えとかな」アカウントも就活情報を集める際、学生に有益な情報を多く発信していきたいです。
―採用広報としての施策で、印象に残っていることはありますか?
印象に残っているのは、LIVE配信を行ったときのことです。就活の相談を受け付けたところ、200人以上が見てくれたので驚きました。質問も多くあり、返答すると「ありがとう」「がんばります」などの反応がありました。
わたしも就活の大変さや不安な気持ちを知っているので、少しでも就活生のためになることができ、背中を押すことができたのは嬉しかったです。
現役大学生から見た人事とは?
―就職活動中は、人事の方にどんな印象を持っていましたか?
自分のキャリアについて相談に乗ってくれた方には、とても感謝しています。ミクシィの人事の方とは、就活中の悩みについて、長電話で相談したこともあります。とても親身に話を聞いてくださり、「この会社は良い人が多いんだろうな」と感じていました。
またミクシィグループは、面接のフィードバックをしっかりしてくださりました。自分を客観視することができたので、とてもありがたかったです。
―今後、やってみたいことはありますか?
総合職向けイベントの企画にチャレンジしたいと考えています。社内の新規事業を引っ張っていける人材にアプローチできるよう、その層に向けたイベントを考えています。ミクシィグループで「新規事業に挑戦できる」というイメージをもっと持ってもらうために、わたしが学生とミクシィグループのハブになり、オンラインだけでなく、オフラインのイベントでも、会社と就活生をつないでいきたいと考えています。
―ありがとうございました。
江藤さんの「ある日のスケジュール」
7:00 起床。
8:00 電車で移動。シェアハウスから1時間30分。
9:45 今日のやることを整理する。
10:00 出社。朝礼でメンターと今日1日の流れや業務内容の確認。
10:30 Twitterのコンテンツ作成。
13:00 先輩社員と気になっている表参道のお店でランチ。
14:00 学生団体との打ち合わせ。
16:00 Twitter用の先輩社員インタビュー、ツイート作成。
17:30 イベント企画、打ち合わせ。
19:00 メンターとの今日の振り返り、日報の作成。
20:30 帰宅。
21:00 ゼミの課題やアンプティサッカー大会の運営。
23:00 就寝。
企業プロフィール
会社名:株式会社ミクシィ
所在地:東京都渋谷区東1-2-20 住友不動産渋谷ファーストタワー7F (本社)
設立年:1997年
従業員数:646名(連結・正社員のみ) ※2017年3月末現在
事業内容:ソーシャル・ネットワーキング サービス「mixi」、ひっぱりハンティングRPG「モンスターストライク」など。
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