【新入社員を見守る伴走者への提言2022】
リモート新入社員研修の3年目:変わったこと、変わっていないこと
新入社員研修の時期に入っています。私は今月(2022年4月)、すでに1,500人以上の新入社員と接してきました。2020年から大半はリモート形式で実施されており、これまでの企業側・受講者側の変化を見てきました。その経験をベースに、新入社員研修がこの3年で変わったこと、変わっていないこと、今後注意すべきことをお伝えします。
目次
-
- この3年で変わったこと:受講者の意識の違い・リモート研修の進化
(1)リモート研修に対する意識が違う
(2)リモート研修が充実しており進化している
(3)進化の例:基本スキルxリモートスキルによる一石二鳥効果 - この3年で変わらないこと:リモートがメイン・研修内容と研修の流れ
(1)リモート研修がメイン 対面、ハイブリッドはリスクが大きい
(2)研修内容と流れが大きく変わっていない
(3)チームビルディング強化の想いはあるが、あまり取り組んでいない - 今後注意すべきこと:ケアとフォローとチームビルディングの必要性
(1)リモート研修と対面のオフィス・現場との差が激しい・・ケアが必要
(2)2種類のフォローが必要 配属直前のリマインドとスキル定着をしっかり
(3)チームビルディングが必要(いつか)
- この3年で変わったこと:受講者の意識の違い・リモート研修の進化
この3年で変わったこと:受講者の意識の違い・リモート研修の進化
(1)リモート研修に対する意識が違う
新入社員にとって、リモート研修は新しいものでも不慣れなものでもなく、むしろ学生時代に経験してきた2年間のオンライン講義と就職活動の自然な延長になっています。研修後アンケートに「対面研修ができなくて残念です」とか「プラットフォームに慣れるのが大変でした」のようなコメントはもうありません。
一方、人材育成担当者はこの2年間の経験で、過剰なストレスを感じないで実施できているし、受講者からの研修の質に対する不満もないそうです。
(2)リモート研修が充実しており進化している
受講者と人材育成担当者もリモート操作に慣れて、ネットワークも以前より安定してきたので、テクニカルオリエンテーションの必要性が減りました。研修内容に集中できて、研修ツールのいろいろな機能やツール(投票、絵描き、ブレイクアウトルームでの画面共有など)もスムーズに使えるようになりました。何より講師がようやく研修内容をリモートに合わせてチューニングしていて、解説も分かりやすく演習も無理なく機能しています。
このお陰で研修に対する満足度が対面形式と変わらないほど高いです。参考までに同じ企業で実施した、新入社員研修の対面とリモートの評価をまとめたアンケート結果を紹介します。
(3)進化の例 基本スキルxリモートスキルによる一石二鳥効果
1つ面白いポイントは、リモート研修で実現された基本的なビジネススキルとリモートスキルの組み合わせです。新入社員はデジタルネイティブでITに対する抵抗感が低い上に様々なアプリやソフトを使ってきました。ただし、ビジネス経験がないし、企業のIT環境とツールに慣れていません。そう考えると一石二鳥を狙える効果的な研修や体験が可能で す。例えば、
- 論理思考 x eメールライティング:
普段SNSには慣れているが短いメールしか使わない新入社員に、比較的長くロジカルな全体構成が求められるメールライティングを練習させると、彼らに不足しているロジカルシンキングの力を鍛えることができます。 - 報・連・相 x MS Teams:
学生生活では本格的に触れることが少なかったチームズで、タイムリーに簡潔かつわかりやすい報告を練習させると、報告のスキルとチームズの知識を同時に身につけることができます。 - 敬語とビジネスコミュニケーション x ビデオ会議:
敬語とビジネスコミュニケーションは学生に縁がなく、新入社員の戸惑う課題でした。毎日のリモート研修のブレイクアウトルームで、コミュニケーションスキルを少しずつ強化することができます。
この3年で変わらないこと:リモートがメイン・研修内容と研修の流れ
(1)リモート研修がメイン 対面、ハイブリッドはリスクが大きい
「今年こそ対面研修に戻る」とこだわるというお客様もいて、リモートだけではなくてハイブリッドを挑戦するというお客様もいらっしゃいます。しかし最終的に弊社が担当する新入社員研修の90%はリモート、対面が10%、ハイブリッドは0%です。簡単に考えると 対面が良さそうですが、実際にやるとマスク、フェイスシールド、ディスタンスの感染防止対策が必要で、1人でも感染者が出ると急な対応が大変です。ハイブリッドは良さそうに見えますが、会場、機材、人員配置、運用が異常に複雑になってしまいます。やはり今の環境で数日間の終日研修をするならリモートが一番安全だし楽です。
参考:研修スタイルの比較
【関連コラム】
・久しぶりの対面集合研修が失敗する4つの原因と解決ヒント
・ハイブリッド研修のよくある問題と失敗しないための解決ヒント
(2)研修内容と流れが大きく変わっていない
2020年に研修をガラッと変えたお客様もいましたが、去年と今年は以前とほぼ変わらない研修です。入社式、部門紹介、ビジネスマナー、仕事の進め方、部門研修、OJTという定番コンテンツが中心になっています。
(3)チームビルディング強化の想いはあるが、あまり取り組んでいない
この3年間の新入社員研修の代表的なパターンは、以下の通りでした。
・2020年 いきなりリモートシフト。ついていくのは精一杯
・2021年 リモート研修を安定させて研修の質を高める
・2022年 新入社員同士の繋がり、一体感、関係構築を強化したい
今年のテーマは新入社員のチームビルディングを強化するのがポイントのはずでした が、実際にはリモート研修のグルーピングを固定させる、リモート飲み会を入れる、1日を使った工場見学(*1)のような細かい工夫以外の取り組みがあまり見えてきていないのが実情です。
*1 工場見学 大人数で行けない場合にライブ中継で実施がお勧めです。上記コラムに詳細の進め方の例が紹介されています。
【関連コラム】
・【リモートしながら主体性と対面スキルもアップする】2022年だからこそ改善、実施したい新入社員研修の3つのポイント
今後注意すべきこと:ケアとフォローとチームビルディングの必要性
ここまで変わったことと変わっていないことを見てきましたが、最後に今後気をつけた方が良いことを一緒に考えましょう。
(1)リモート研修と対面のオフィス・現場との差が激しい・・ケアが必要
配属により研修モードから仕事モードに切り替えるのが難しいことは以前から当たり前ですが、2022年の新入社員にとっては、このギャップはとても大きいです。学生から社会人、学ぶから働くへのシフト、そして何より大きい変化はリモートから対面のシフトです。
2年前からオンライン授業とリモート就職活動には慣れていますが、リアルなインターンシップや海外留学をしていない2022年の新入社員にとって、通勤ラッシュや対面のオ フィス・現場は新鮮ですが強い刺激の連続です。個人と環境によりますが、刺激が多すぎて簡単に慣れない新入社員もいるはずです。日常から彼らの状況に注意を払う必要があります。
(2)2種類のフォローが必要 配属直前のリマインドとスキル定着をしっかり
① 研修期間には練習できないから配属直前に教育した方が良いこと。
代表選手はビジネスマナーです。通勤マナー、挨拶、身だしなみ、名刺交換、訪問などはリモート研修期間中に使う機会がないので習っても忘れてしまいます。配属直前にリマインドして、出社と訪問する時に使えるようにしましょう。
② 頭でわかっても体はできないスキル定着
スキル系はぜひ反復練習で身につけてもらいましょう。
例えば、
・ロジカルなコミュニケーション:日常コミュニケーションで強化する
・アクティブリスニング:先輩と上司から定期的にフィードバックをもらう
・PDCA:毎日の振り返りでサイクルを回して体で覚える。
【関連コラム】
・【新入社員を見守る伴走者への提言 2021】リモートだからこそ導入研修のフォローをしっかりしよう
(3)チームビルディングが必要(いつか)
今の環境を考えると新入社員の導入研修をリモートにしたほうが総合的に一番良いと思います。ただし、合宿や対面に比べて横のつながりと同期との一体感が弱いのは確かで
す。2-3年目でも良いので、いつか仲間意識を高めるためのチームビルディング的な研修を是非実施しましょう。
今年の新入社員研修はリモート中心でうまくいっています。今後のちょっとしたフォローすると新入社員はさらに成長するし、良い成果が出せそうです。頑張りましょう。
===============
企業向け専門 研修会社
アイディア社
IDEA DEVELOPMENT株式会社
https://ide-development.com/
@人事では『人事がラクに成果を出せるお役立ち資料』を揃えています。
@人事では、会員限定のお役立ち資料を無料で公開しています。
特に人事の皆さんに好評な人気資料は下記の通りです。
下記のボタンをクリックすると、人事がラクに成果を出すための資料が無料で手に入ります。
今、人事の皆さんに
支持されているお役立ち資料