リモートしながら主体性と対面スキルもアップするTIPS

2022年だからこそ改善、実施したい新入社員研修の3つのポイント

10月ということで多くの人材育成担当者にとって来年4月入社の新入社員研修を考える時期になりました。私が多くのお客様からお聞きしているのは、昨年の「リモート研修切り替えパニック」や、今年の「とりあえずリモート研修」とは違うより良い研修にしたいという声です。
しかし二年間を経ても、「リモートか集合か」「組み合わせたほうが良いか」「研修内容は今まで通りで本当に良いか」などの悩ましい点が山積みです。今回は2022年だからこそ改善、実施したい新入社員研修へのワンポイントアドバイスを整理してお伝えします。

目次

  1. NEEDS:リモート慣れの副反応→対面スキルの不足→対面/集合研修の必要性
  2. MIND:3つの解決策→主体性の向上、対面スキル強化、人間関係の強化
  3. BLEND:リモートと集合研修、リモートと対面の上手な組み合わせ
  4. まとめ

NEEDS:リモート慣れの副反応→対面スキルの不足→対面/集合研修の必要性

毎年、弊社の講師は数百人の新入社員の個別電話コーチングを行っており、新入社員の配属後の「本当の課題」を掴む貴重な機会となっています。そこから分かったことは、新入社員のニーズは去年からどんどん変わっているということです。

2020年入社:環境も心配、リモートでどうしようという悩みが大きかったです。
2021年入社:大学や就活でもリモートに慣れていて、リモートだからという特別な課題感はありませんでした。逆に研修も配属後もリモートが中心で、対面に苦手意識を持つ新入社員が増えました。
2022年入社の新入社員研修にむけて:まずリモートスキルを早いうちから身に付けさせましょう。それ以外の対面で大切かつ課題意識の強いテーマについては、なるべく集合研修(対面)でフォローしましょう。

具体的には次の3つです。

1)ビジネスマナー

挨拶、名刺交換、オフィスでの動き方など体で覚える内容は繰り返し反復練習で鍛えます

2)コミュニケーション

今年の新入社員の傾向として、リモートでできていても対面ではできないことが多かったです。先輩の話を良いマナーで一所懸命聞く、遠慮なく報・連・相する、わかりやすく簡潔に話す、といったスキルは配属直前に対面で強化したほうが良いです

3)スピード、柔軟性、回復力の強化

在宅勤務だと周りからずっと見られることがなくてマイペースで仕事を進められるので、最終的なアウトプットが良ければ途中経過はある程度許されます。しかしそれに慣れてしまった新入社員にとっては、クレームや上司やほかの社員からの相談など途中経過で起きうるオフィス勤務時の“刺激と変化”に対応することが難しいと感じている人が多いです。研修の中にインバスケット演習*1のような対面でプレッシャーと変化が激しい体験をさせておくほうが配属後はスムーズです。

*インバスケット演習:限られた時間内で当事者の立場になりさまざまな案件の処理を行い、問題解決全般を体験学習するプログラム。

MIND 3つの解決策→主体性の向上、対面スキル強化、人間関係の強化

数年前からスキルよりマインドが大切、特に主体性向上が必要という意識を持っている人材育成担当者が多いです。その上、パンデミックの影響でマインドがさらに注目されています。リモートワークの中で代表的な新入社員の悩みは

  • 質問がしづらい、相談するタイミングがわからない、遠慮してしまう。
  • 雑談や仕事以外の話をする機会がない。
  • 他の社員との関係構築ができない、仲間意識を感じない。
  • 新入社員の作業スピードが思っているより遅い、アウトプットだけでは良いかどうかがわからない。

解決策としてこの3つのアプローチをお勧めします

1) 主体性向上

研修も含めて新入社員に主体的に動いてもらいましょう。

例)一方的な講義ではなくて演習中心にする、部門紹介の代わりに新入社員が自分でアポを取って各職場の先輩にインタビューする、など。

2)  対面スキル強化対策

対面に対する不安と苦手意識をなくすためにオフィス ワークの直前に集合研修で対面スキルを集中的に練習します。解説や講義ではなくて実践演習やロールプレーが効果的です。

3) 人間関係の強化

職場メンバーの関係をよくするためのアセスメント(ストレングスファインダー®*2やDiSC®*3)が良い出発点やきっかけです。
そして新入社員同士の関係を深めるためのチームビルディング研修、ちょっとしたプロジェクト、プチ旅行などがリモート時代だから新鮮かつ効果的です。

*2 ストレングスファインダー®:Web上で177の質問に答えることで、自分の才能(強みのもと)を導き出すツール。米国Gallup社が開発。
*3 DiSC®:行動スタイルの違いを理解し、職場の関係性向上を可能にするアセスメントツール

BLEND リモートと集合研修、リモートと対面の上手な組み合わせ

2022年の新入社員研修を企画する前提としてはリモート中心で考えた方が安全です。と言いながら理想的なリモートと集合研修の組み合わせそしてリモートと対面の組み合わせは以下の通りと考えます。

1)インプット(自己学習)
個人や少人数でビデオ学習やeラーニングを行います。

2)リモート研修
一方的な講義でなく参加型の演習中心にします。

3)工場見学やツアー
大人数で行けない場合にライブ中継で実施がお勧めです。数人の新入社員が配信するなどの運営を任せるとさらに良いです。新入社員がリードすることで、新入社員目線で話をすることで聞く側の新入社員にとっても分かりやすく、受けが良いという利点もあります。

4)配属直前
対面スキル強化のため、インバスケット演習のようなロープレ中心のシミュレーション系集合研修が効果的です。入社直後に実施しても配属までに忘れがちなので、配属直前に体で覚えるようしましょう。

5)配属後の日常でのポイント
OJT:実際のプロセスを見る・真似する・学ぶために対面のほうが効果的です。
会話:雑談とフランクな会話は対面のほうが適切なチャンスを見つけることが簡単だし、誤解を招くことも少ないです

6)フォロー研修
一定期間後に集合研修でチームビルディングを実施しましょう。
「数カ月後」「半年後」「1年目の下期」「秋ごろ」のどれでも大丈夫です。多いのが、フォロー研修を9-10月に実施するケースです。

7)年度末
初年度の成果&次年度へ向けての発表会をリモートで開催しましょう。役員・幹部が出席するとさらに良いです。

各社の状況に応じて最適なチューニングが必要ですが、これが効果的なブレンド研修イメージです。

職場を巻き込んだ定着フォローが重要に

さらに大切なことは定着フォローで、その成功のポイントは「職場の巻き込み」です。

2022年ならではのポイントはリモートと対面の上手な組み合わせのはずです。
例えば、
日報:離れていても定期的コミュニケーションをとる習慣を身につけるため。
1-on-1:新入社員にとってリモートのほうが安全だと感じ、周りの人も意識 しなくて良いし、一人で準備やフォローができることが良いです。

まとめ

2020年に久しぶりの新入社員研修大変革がありました。来年度はそこまでのショックがなくても、リモートワークで学んだことを生かして、2022年ならではの研修企画を立てましょう。そのキーワードは「リモートと集合研修、リモートと対面の上手な組み合わせ」です。リモートしながら主体性と対面スキルもアップできるように頑張ってください。

*定着フォローの詳細については「【新入社員を見守る伴走者への提言】リモートだからこそ導入研修の定着フォローをしっかりしよう」を参照いただけるとより理解を深めていただけるでしょう。

【新入社員を見守る伴走者への提言】リモートだからこそ導入研修の定着フォローをしっかりしよう
https://at-jinji.jp/expertcolumn/295

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