研修マスターの6つ星“指南術”第9回

部下の自立を促すために、リーダーは「聴くこと」に集中せよ!

「会議やミーティングでほとんど意見が出ない」「自分から提案してこない」「自分から報告や相談に来ない」という部下や後輩を持つ上司やリーダーから、「自分で考えて動けるようにするにはどうしたらいいでしょうか?」という相談を受けることがあります。

実は私も似たことで悩み、試行錯誤しました。今でも100%解決したかというと、そんなことはありません。日々、トライ&エラー中です。しかし昨年、キャリアコンサルタントの資格取得に向け「カウンセリングスキル」の基本を学んだ際、その問題を解決するきっかけを得ました。そこで今回は、部下や後輩の自立を促すコミュニケーションのポイントについて紹介します

きっかけはカウンセリングのトレーニングの中にあった

私が体験したカウンセリングのスキルトレーニングは、カウンセラー役、相談者役、オブザーバー役に分かれ「自分の悩み(実際に困ったこと)をカウンセラーに聞いてもらう」というスタイルでした。悩みは、キャリアコンサルタントを目指す人を対象にした講座なので、仕事に関係する悩みが中心です。例えば、会社の方針に納得できない、上司とうまくいっていない、成果が上がらず先行きが心配、職場での人間関係、自分や家族の健康、介護など、誰でも直面する可能性がある悩みです。

そのトレーニングで、私が相談者になる場面がありました。トレーニングが目的なので、悩みはすでに解決している過去の出来事が題材です。そのとき私が取り上げた悩みは、「上司とうまくいっていない」というものでした。私の中では(上司とうまくいっていないのは、今思えば自分にも問題があったので、結果的にそこに行きつくんだろうな……)と思いながら相談に乗ってもらいました。

さて、トレーニングがスタートし、自分の悩みを伝えると、カウンセラー役は、私が話すことにただただ耳を傾け、私が話しやすいように「それで」「もう少し詳しく聞かせてください」「そのときどんなお気持ちでしたか?」と、私が話しやすいように促していきます。すると、話しているうちに自分でも気づかなかったこと(「あっ、自分は本当はこうしたかったんだ」「こんな風に感じていたんだ」など)に気づき、自分の中から解決の糸口が見つかる体験をしました。そして、「この人だったら、いろんなことを話してみたい」と心から思ったのでした。

良いも悪いもなく、ただ「聴く」ことの大切さ

この経験で強く感じたことは「聴いてもらえることの効果」です。自分の話を肯定も否定もせずに、耳を傾けて一心に聴いてもらえる。これだけでずいぶん気持ちが楽になり、前向きな気持ちで物事を捉えることができる効果を実感しました。そして「聴く」ことは、相手との信頼関係を築く効果があることも体感しました。

部下や後輩からコミュニケーションを取ってこない大きな要因の1つに、上司や先輩に対して「成果につながる話をしなくてはならない」という思い込みがあります。そのため、本当は自分なりの意見や考えがあっても、上司や先輩に話しかけるときは「まとめてから話さなければいけない」と思っています。そのため、話しかけることそのものを躊躇してしまいます。

では、躊躇している状態の部下や後輩に、一歩前に進んでもらうために上司や先輩の側から何ができるか。それは、一度でよいので、相手の話に良いも悪いもなく、ただ「聴く」こと。話したいように話させてみることです

といっても、この「聴く」というのが、誰でも出来そうに見えてとても難しいことです。ついつい口を挟みたくなったり、頭の中で相手を評価しそれが態度に表れたり(例えば、机の上をコツコツ叩く、貧乏ゆすりをする、時計を見るなど)してしまいます。これをしてしまうと、元の木阿弥なのでご注意ください。

3つのポイントを意識することで、聞き上手になれる

なお、(「聴くこと」はハードルが高そうだ……)という方に朗報です。職場で簡単にできる方法があります。それは、「手をとめて」「相手のほうに身体を向けて」「目を見る」これだけです。

これを、声をかけられたときに意識的に繰り返すことで、部下からの報告や相談は格段に増えます。報告や相談が増えれば、お互いに考えていることがかわるので、意見やアイデアも出やすくなります。

職場を眺めてみると、ながら作業で人の話を聞いている人、多くないでしょうか? コミュニケーションを取るほんの数分間、ながら作業を止めるだけで、コミュニケーションは大きく変わります。PC見ながら、スマホ見ながらのコミュニケーションに心当たりがあったら、試してみてはいかがでしょうか。

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