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インターンシップは最低5日から! 夏から変わったルールと企業の事例を紹介

株式会社Works Human Intelligence WHI総研の井上翔平です。

就活生の約9割が参加する*インターンシップ。インターンシップとは、学生が在学中に自らの専攻や将来のキャリアに関連した就業体験を行うことです。企業にとっても採用活動において重要なものとなりつつあります。

本記事では、インターンシップの最新動向や現状の問題点、そして2023年度から適用された国によるインターンシップの4類型のポイントをご紹介。また、実際に企業がインターンシップを実施する上で重視すべき点について、事例を交えながら解説します。

*出典:インターンシップ特別調査 株式会社ディスコ(2022年4月)

※こちらの記事は下記の人事業務・人事トレンド解説コラム「選ばれるインターンシップとは?企業の受け入れ事例と活用へのヒント」を@人事の読者様向けに一部編集させていただいております。
https://www.works-hi.co.jp/businesscolumn/internship

目次

  1. インターンシップのメリット・デメリット
  2. インターンシップの現状
  3. 近年のインターンシップの課題
  4. インターンシップで得た情報を採用に活用するには
  5. 企業のインターンシップ受け入れ事例
  6. 学生に選ばれるインターンシップを実施するために

インターンシップのメリット・デメリット

インターンシップとは、「学生が在学中に自らの専攻、将来のキャリアに関連した就業体験を行うこと」*です。

アメリカを発祥とするインターンシップですが、日本においては1997年にはじめて公的文書でインターンシップという言葉が出てきました。その頃からインターンシップは行われていましたが、まだ導入企業は多くなかったようです。

*出典:「インターンシップの推進に当たっての基本的考え」文部科学省、厚生労働省、経済産業省

学生にとってのメリット

学生にとってインターンシップは企業の業務内容をよく知れるだけでなく、その企業の従業員とも交流できるチャンスです。最近の就職活動はインターンシップから開始するといっても過言ではないでしょう。

受け入れ企業にとってのメリット

インターンシップは企業にとってもメリットのある取り組みです。学生に自社の業務内容を知ってもらうだけでなく、インターンシップを通じて入社したいと思ってもらえるようにアピールするチャンスでもあります。

インターンシップによって学生の志望度が上がることもあり、株式会社ディスコの調査*ではインターンシップ参加前と後で、「この企業に就職したい」という回答が25.4%から46.1%まで増加しています。

*出典:インターンシップ特別調査 株式会社ディスコ(2022年4月)

インターンシップの現状

ここ最近では、インターンシップは学生の就職活動において欠かせないものになりつつあります。

株式会社ディスコの調査*によれば2023年卒学生の約90%がインターンシップに参加しています。2013年卒学生のインターンシップ参加率が44.2%であることを考えると、10年でほぼ倍増している状況です。

また、企業のインターンシップ実施率は2023年卒向けで68.8%です。7割弱の企業が学生を受け入れており、2013年卒向けの実施率23.3%と比較すると、約3倍と大幅に増えています。

最近では対面だけではなく、オンラインで完結するインターンシップも増えています。

*出典:インターンシップ特別調査 株式会社ディスコ(2022年4月)

近年のインターンシップの課題

学生の参加率も高く、受け入れ企業にとっても自社をアピールできるインターンシップですが、下記の問題もあります。

【1】単なる企業説明会もインターンシップと呼称されている

インターンシップの定義が各社で異なるため、単なる企業説明会や業務に直結しないグループワークもインターンシップとして開催されています。そのため、学生からすれば、「就業体験だと思って参加したら、ただの企業説明会で期待外れだった」というケースもあるようです。

マイナビが実施したインターンシップに参加した学生への調査*では、「もっと実際の仕事を体験したかった」「もっと働いている人の雰囲気を知りたかった」という意見が上位2つを占めています。

*出典:2024年卒 大学生インターンシップ・就職活動準備実態調査(9月) 株式会社マイナビ(2022年10月)

【2】内定につながることをオープンにせず、学生の評価をしている

優秀な学生を早期に確保したい企業では、インターンシップを通じて学生を評価して高評価の学生に内々定を出したり、インターンシップ参加者だけのルートで選考を行ったりすることもあります。

株式会社学情の調査*によると、「インターンシップ内で選考・内定出しを行っている」企業が5.4%、「インターンシップ参加者は通常選考で優遇する」企業は31.3%です。

*出典:2023年卒の採用状況 株式会社学情

インターンシップ中になんらかの評価を行っていることを明示している場合はよいですが、学生に伝えずに評価している場合もあります。学生からすれば、「選考だと思っていなかったのに、実は評価をされている」こともあり得ます。

内々定や今後の選考につながるのであれば、それを学生にオープンにすべきですが、個々の企業の判断に任されているのが現状です。

インターンシップで得た情報を採用に活用するには

4種類のインターンシップ

インターンシップに関する問題を受け、文部科学省、厚生労働省、経済産業省は3省合意のもと、2022年6月に「インターンシップの推進に当たっての基本的考え方」を改正しました。その結果、インターンシップは4つに類型化されています。(2023年度以降から適用)。

大きくわけると、就業体験を必須とせずに「インターンシップ」とは称さないタイプと、就業体験を必須として「インターンシップ」と称して実施するタイプがあります。

この考え方によると、単なる企業説明会はタイプ1「オープン・カンパニー」に分類され、インターンシップとは呼べません。

参考:令和5年度から大学生等のインターンシップの取扱いが変わります 厚生労働省

※〇は必須、△は任意
※就業体験とは「業務同行や事業所・研究所・工場等で実務を体験すること」を指します
※出典:経済産業省 採用と大学教育の未来に関する産学協議会 2021年度報告書「産学協働による自律的なキャリア形成の推進」(2022年4月)を元に作成

【1】オープン・カンパニー
オープンキャンパスの企業版で企業による会社説明会が該当します。事業、業務内容の説明、従業員への質問会等を実施し、就業体験はありません。目的は個社の情報提供です。

【2】キャリア教育
企業がCSRの一環で行う学生向けの教育プログラムが該当します。座学や研修のほか、グループワークや発表会等、学生が主体的に参加するものもありますが、必ずしも業務に直結するものでなくても構いません。

【3】汎用的能力・専門活用型インターンシップ
学生の適性、汎用的能力、専門性を見極めるために実施する就業体験です。業務同行や実務を体験できるグループワーク等である必要があり、就業体験終了後に現場の従業員から学生に対してフィードバックをすることも必須です。

【4】高度専門型インターンシップ
大学院の博士過程(理系対象)、修士過程(主に文系対象)の学生を対象にした研究型の就業体験で、より実際の業務に近い長期の就業体験です。企業は事前にジョブディスクリプションを提示することが求められます。

※現在試行段階であり、要件の詳細は試行終了後に決定されます

採用目的でインターンシップを行うには5日以上のプログラムが必要

インターンシップで得た学生の情報や評価は、採用活動や採用の広報活動に使用する事ができます。実施する際は、タイプ3「汎用的能力・専門活用型インターンシップ」で定められているとおり最低でも5日以上の期間が必要です。

しかし、5日以上のインターンシップは、内容設計はもちろん、もう一つの必須要件である「人事部以外の現場の従業員の同席」についても、協力を得るハードルが高くなります。

現在、5日以上のインターンシップを実施しているのは夏季インターンシップで28.0%です。一方1日のプログラム(1Day仕事研究プログラム)を行っている企業は61.9%と大半を占めます。*

1日のプログラムしか実施しない企業が多いことから、5日以上のインターンシップを組めるかどうかが高い壁になりそうです。

*出典:新卒採用に関する企業調査(2022年10月調査) 株式会社ディスコ

企業のインターンシップ受け入れ事例

では実際企業で行われているインターンシップはどのようなものでしょうか。ここでは株式会社Works Human Intelligenceと株式会社日立製作所のインターンシップを取り上げて、その特徴を解説します。

1.株式会社Works Human Intelligence

※出典:【24卒向け】Works Human Intelligence|WEB会社説明会 〜40分で企業研究〜|2022年4月ONE CAREER LIVE (YouTtube 公式ワンキャリアライブチャンネルの動画より抜粋)
 

Works Human Intelligence(以下WHI)のインターンシップでは採用直結型であることをオープンにしています

エンジニアとして入社したい方のためのエンジニアコースと、入社後に適性を判断したうえで配属を決定するキャリアコースがあり、エンジニアコースは、経験者はもちろん、未経験でもチャレンジ可能なコースです。

WHIのインターンシップはキャリアセミナー、1st Stage、2nd Stageと合わせて5日行われます。1st Stageで選考をクリアした学生だけが、2nd Stageに進める仕組しくみで、インターンシップに合格した学生は、その時点で内々定を獲得できます。

▼実施内容
<1st Stage>
組織力学の観点から企業の課題解決に向けた戦略をグループで提案
<2nd Stage>
課題を解決するためのソリューション企画を行い、開発に携わる現場の従業員が学生に対してフィードバックを実施

また、WHIのインターンシップは、自社で掲げるバリュー(7Values)に基づいて学生の能力を総合的に評価しています。たとえば、バリューの1つであるSolveでは「本質を追求し、問題を解決する」という能力を見極めています。

1st Stage、2nd Stageともに実際にWHIで働いていると起こり得るようなシチュエーションが想定されており、実際の業務に近い提案やソリューションの企画体験が可能です。

※本記事に掲載しているインターンシップは2022年時点のものです。最新のインターンシップ情報については別途ご確認ください。

参考:Works Human Intelligenceのインターシップ募集ページ(ONE CAREER内)
https://www.onecareer.jp/events/internship/34747

2.株式会社日立製作所

日立製作所ではジョブ型人事制度の導入が進んでおり、新卒採用でもジョブ型採用を進めています。同様に、インターンシップにおいても職務、部署ごとに就業体験を行う「ジョブ型インターンシップ」を実施しており、体験する業務や必要なスキルはあらかじめジョブディスクリプションによって公開されています。

日立製作所のジョブ型インターンシップは、職務別に就業体験を行い業務の理解を深めてもらうしくみで、技術系だけでなく、事務系職種でも行われています。期間は約3週間と長期にわたり、リアルな業務体験が可能です。

NHKの取材*に対し、日立製作所の人事勤労本部、大久保健一郎部長代理は「職種で仕事を選びたい学生が増えている。やりたいことが明確に決まっている場合は、モチベーションも高く、ミスマッチのない配属ができ、その後の活躍も期待できる」と話しています。

インターンシップは学生に入社してもらうことがまず第一の目的ですが、最終的な目標は入社後も学生がギャップを感じることなく、その企業で活躍し、働き続けることです。そのためにはリアルな現場をいかに見せるか、体験できるかがインターンシップを作るうえでの重要なポイントとなるでしょう。
 
*「ジョブ型」採用が拡大 インターンシップにも導入の動き NHKニュースウェブ(2022年9月)より抜粋

参考:日立製作所のインターンシップ募集ページ
https://www.hitachi.co.jp/recruit/internship/index.html

学生に選ばれるインターンシップを実施するために

インターンシップの重要性は今後ますます高まっていくと想定され、多くの企業が工夫を凝らして、さまざまなインターンシップを実施しています。

そのような中、学生に選ばれるインターンシップの条件として、実際の業務に近いリアルな就業体験が求められています。

自社のよいところだけを見せようとするのではなく、自社の仕事の大変な部分も含めて、リアルな現場を学生に伝えられるかどうかがインターンシップを実施するうえでの鍵となるでしょう。

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