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@人事編集部 × イーディアス採用コンサルティング事業部

いまさら聞けない「大学訪問」の基礎知識と実際の訪問にむけた基本の10ステップ

効果的な大学訪問が実施できるよう、基礎知識から実際の訪問に向けたステップまで解説

大学訪問があらためて注目されています。背景には、関係性が構築できた大学からは、安定してターゲットに近い学生を紹介してもらうことや、そうした学生との接触機会をコストをかけずに得られるメリットなどが企業側に浸透してきたためと考えられます。

今後、コロナが収束していくことで大学が企業の訪問を受け入れやすくなることが予想されるため、新たに大学訪問を初めて試みる企業にも好機です。

このコラムは、主に大学訪問をこれから始めようとする企業が効果的な訪問を実現するための基本の10ステップを紹介しています。
大学訪問を始めてみたいが、「忙しくて手が付けられていない」「やり方が分からずに優先度を下げてしまっている」といった採用担当者のほか、より効果的な大学訪問の実施をしたいと考える企業にも役立つ内容です。

※この記事は、企画・制作を@人事編集部と株式会社イーディアスの採用コンサルタントが担当した、2021年11月26日公開の@人事e-book「大学訪問の手引書〜基本の10ステップから中級・上級編まで」の内容を編集して構成しています。

目次

  1. 大学訪問とは?/大学訪問はこんな企業におすすめ
  2. 大学訪問は本当に必要なのか?
  3. 大学訪問を行うメリット/デメリット
  4. 大学訪問「基本の10ステップ」(初級編)
    ステップ1.ターゲットを設定する
    ステップ2.大学訪問を実施する目的(ゴール)を明確にする
    ステップ3.ターゲットと出会える大学を選定する
    ステップ4.アピールポイントを決める
    ステップ5.訪問の準備をする
    ステップ6.訪問する
    ステップ7.訪問の御礼と社内情報の蓄積・共有を行う
    ステップ8.定期的な連絡を継続する
    ステップ9.振り返りを行う
    ステップ10.次年度の準備を始める

大学訪問とは?/大学訪問はこんな企業におすすめ

なぜ、大学訪問が採用活動において重要なのか。基本情報から、大学訪問が活用できる企業、逆に相性が悪い企業について紹介します。

大学訪問とは?

  • 特定の大学のキャリアセンター担当者または就職担当の教授宛にアポイントを取り、企業のアピールや求人情報の伝達を行うこと。
  • 定期的な接触を図ることにより良好な関係を築くことができ、「大学からの紹介」という安定した採用基盤を獲得できる可能性がある新卒採用手法の1つ。

大学訪問はこんな企業におすすめ

  • 採用予算が限られている
  • 特定の大学からの採用実績が多い
  • 採用人数が少ない
  • 知名度が低いことが課題ではあるが接触後の離脱や辞退が少ない
  • リクルーターが充実している/社員が採用に協力的

一方でこんな企業とは相性が悪いことも…

●人気私立大学のみをターゲットにしている
学生紹介や学内セミナーへの定期参加など、取引のある企業が一定程度揃っている大学の場合、新規の企業の訪問は受け付けず、まずは求人票の提出を求めるケースもあります。

●とにかくたくさん学内セミナーに参加したい
大学主催の学内セミナーに就職支援サービスを行う企業が提携しているケースが増加しており、セミナー参加に費用がかかる場合もあります。とにかく接触数を増やしたい場合にはコスト面も含め他施策の方が効率が良い場合も。

大学訪問は本当に必要なのか?

大学訪問が採用活動に必要な理由は? 「マイナビ 2021年度キャリア・就職支援への取り組み調査」によると背景にはコロナ禍の影響もあり、キャリアセンターを積極的に活用しようとする学生の動向などが影響しています。

理由1.学内セミナーの参加学生が増加している


【図:「マイナビ 2021年度キャリア・就職支援への取り組み調査」をもとに作成】

理由2.キャリアセンターへの相談が増えている


【図:「マイナビ 2021年度キャリア・就職支援への取り組み調査」をもとに作成】

オンライン化によってキャリア/就職相談がしやすくなったことにより、学生がキャリアセンターを利用しやすくなっていると予測できます。キャリアセンターでの企業情報の開示がコロナ前よりも効果が期待できる状況になりました。

理由3.求人票を送る企業数が減っている


【図:「マイナビ 2021年度キャリア・就職支援への取り組み調査」をもとに作成】

競い合う企業が減っておりこれまでチャンスがなかった大学も効果が期待できます。

大学訪問を行うメリット/デメリット

メリット:学生の動き=生の情報を仕入れられる

  • 普段、学生と直に接しているキャリアセンター担当者や就職担当の教授と話ができるため、どんな活動をしているのか?どんなことに関心があるのか?どんな悩みを抱えているのか?などさまざまな学生の様子を聞くことができる。
  • ターゲット学生の動向が分かるため、情報交換を目的として実施するだけでも十分な価値が期待できる。

メリット:ターゲット含有率が高い母集団形成のチャンスがある

  • 「採用実績がある学校」「自社で活躍しているOBOG社員がいる学校」「内定者がいる学校」などを対象とすることが多いため、自社にマッチしやすい学生が多く在籍している大学に対してアプローチができる。
  • 自社に興味を持ち、熱意のある学生からアプローチしてもらえることもある。

メリット:安定した採用基盤の構築が期待できる

  • キャリアセンター担当者または就職担当の教授宛に訪問するため、良好な関係が構築できれば自社にマッチする学生を学校側から紹介してもらえるようになる。
  • 人数は少ないが採用市況の変化の影響を受けずに有効な母集団形成や接触経路の確保が期待できる。
  • 新型コロナウイルスへの会社としての対応をはじめ、採用市況に関わる自社の取り組みや方針などの最新情報を、関係性のできている大学に随時共有することでいち早く他社との差別化を図ることができる。

メリット:認知拡大の効果が期待できる

  • 自社を知らなかった学生に対して、キャリアセンター担当者または就職担当の教授を介して、自社を紹介してくれることがある。
  • 大学訪問時に提出が求められることが多い求人票が、提出後に大学の求人票データベースに掲載され、学生が検索して自社を見つけてくれる可能性もある。
  • 大学訪問時に採用パンフレットなどを提出することで、学生に知ってもらう機会を増やすことができる。

メリット:大学で企業説明会に参加できる可能性が高まる

  • 大学が開催する学内企業説明会(通称:学内セミナー)は参加企業枠が限られており、関係性が持てていない企業には参加を断っているケースも多い(特に首都圏では企業数が多いこともあり、その傾向が強い)。
  • 大学と良い関係が構築でき、自社が学生にとって良い就職先であるとみなされた場合には、学内企業説明会に優先的に招待されたり、参加申し込みがしやすくなることがある。
  • 大学によっては個別の企業説明会(合同説明会ではなく一社単独で開催する説明会)の開催や学生の集客を対応してくれることもある。

メリット:低予算で始められる

  • 大学内企業説明会の参加が有料である大学もあるが、採用につながった場合の成果報酬費用や広報費用(求人票やパンフレットの掲示)は無料で行うことができる。大
  • 学訪問時にかかる費用は、交通費や宿泊費が主だが、新型コロナウイルスをきっかけにキャリアセンターでもオンライン対応が進んだため、初めての訪問(オンライン)であれば採用担当者の人件費のみで実施可能である可能性が高い。

デメリット:人件費がかさむ

  • キャリアセンター担当者または就職担当の教授と良好な関係を築くためには定期的な接触が必要となるため、採用担当者の時間的な負担が増えてしまう。
  • 現在はオンラインでの訪問も増えてきているものの、特に地方大学では直接学校を訪問した方が関係構築がしやすい場合も考えられる。
  • 地方の場合、大学の数も限られ、大学間の距離も離れている場合が多いため移動コストがかかる。

デメリット:すぐに効果が得られる施策ではない

信頼関係構築には時間がかかるため、1~2年で大きな成果が期待できる施策ではない。

デメリット:単発で採用実績までつなげられる施策ではない

大学訪問によってキャリアセンター担当者からの紹介や学内企業説明会の参加など、ターゲット学生との接触機会増加は期待できるが、一方で選考に進んでもらえるか、内定承諾をしてくれるかは別の施策との関連が強いため、大学訪問のみで単純に採用実績を増やすことは難しい。

大学訪問「基本の10ステップ」(初級編)

大学訪問は数年間かけて成果が出てくる施策です。では、どのようなステップを踏むことで成果につなげられるのか。
このコラムでは初級編(基本)の10ステップのうち、訪問までの6ステップを紹介します。

初級編:こんな企業が当てはまります
状況:初めて大学訪問を実施する
課題:大学訪問で得られる効果や、効果が見込める大学がわかっていない
目指すべきゴール:対策すべき大学が分かるようになる。自社の改善点を明確にできる。

ステップ1  ターゲットを設定する

  • 過去の面接の評価結果や入社社員の活躍状況、配属部署に求められるスキル、人柄、自社の雰囲気との相性などから採用活動で獲得すべき人材像を明らかにします。
  • 理想的な人物像が確定したら、大学訪問によって接触できる学生の人物像へ具体的に落とし込みます。例えば、理想とする人物は学生時代にどのような分野を専攻し、サークル活動や部活動、アルバイトではどのような経験をしているのかなど、どんな学生を自社が求めているのかが採用活動に関わる全員が具体的にイメージできるようにします。モデルとなる社員を数名ピックアップするのもよいでしょう。

ステップ2  大学訪問を実施する目的(ゴール)を明確にする

  • 設定したターゲットと接触し、入社してもらうためには大学訪問においてどのような活動が望ましいかを考えます。以下は例です。
  • 知名度がなく学生に知ってもらいさえすれば入社してもらえる可能性が高い企業であれば、学内企業説明会の参加権利獲得がゴールになります。
  • 採用人数が少なく、理系学生の採用を行っている場合には研究室の教授との良好な関係構築と自社の魅力を知ってもらうことがゴールになります。
  • 自社の事業状況や経営課題に合わせた採用方針に沿った目的(ゴール)設定をすることで、この後の工程を迷わずに進めることができます。

ステップ3  ターゲットと出会える大学を選定する

  • 設定したターゲットが在籍していそうな大学を選定します。選定基準はさまざまありますが、初めての場合「採用実績のある学校」「活躍しているOBOG社員がいる学校」「内定者がいる学校」などからだと選定しやすいです。
  • 初めて大学訪問を実施する場合には、訪問数が多すぎても少なすぎても効果検証がしにくくなるため、2~5校程度に絞るとよいでしょう。
  • 採用目的と大学の在籍学生数やキャリアセンターの活動状況などの情報を照らし合わせて大学を選定しましょう

ステップ4  アピールポイントを決める

  • 他社との違いや強みとなる部分を明らかにする:過去入社した社員が自社に入社を決めた理由をもとにアピールポイントを絞ると良いでしょう。さらに、選考途中で離脱した学生や内定辞退をした学生が他社に決めた理由から自社の弱みを把握し、強調して伝えるべきポイントを見つけることも効果的です。
  • キャリアセンター担当者や教授が知りたいことを盛り込む:こちらから一方的に情報を伝えるだけでは信頼関係を構築することはできません、大学のキャリアセンターや教授は“自校の学生が活躍できる職場なのか?安心して働くことができる会社なのか?” を特に知りたいはずです。労働条件や過去入社した卒業生の活躍状況など根拠となる情報を盛り込み、安心してもらう情報提供を心がけましょう。
  • 誰が伝えるのが効果的か考える:自社の強みや安心材料を伝えるのに適した人材が訪問して大学側にアピールする必要があります。例えば研修体制に強みがある会社ならば、配属される可能性がある部署の責任者に話してもらうのが最も効果的です。若いうちから活躍できる環境があることが強みなのであれば、入社2~5年以内の若手社員から具体的なエピソードを話してもらうのがよいでしょう。採用担当者以外にも同席してもらい、大学訪問の効果を最大化できる方法を考えましょう。

ステップ5 訪問の準備をする

  • 求人票を用意する:大学訪問のアポイント獲得や学内企業説明会の申込には求人票の提出が必須である場合もあります。採用条件など基本的な情報が記載されたものです。早めに準備しておくとよいでしょう。近年は大学にWEB求人票システムが普及しており、システムに当該年度の求人票を登録しておけばシステムを導入している複数の大学から任意で選択した大学に一括で求人票の情報を配信できます。独自で自校のシステムを用意している学校もあるため、まずは訪問先の大学校がどのように求人票の提出を受け付けているのか調べて準備をしましょう。
  • ターゲット校について調べる:キャリアセンターの活動状況や大学訪問の受入状況、学内企業説明会の開催有無/開催時期など、設定した目的(ゴール)を達成するために必要な情報を集めておきます。また、新卒入社、中途入社を問わず自社にOBOG社員がいないかも把握しておくとよいでしょう。
  • アポイントを取る:設定した目的(ゴール)に基づいて訪問する担当者を決め、アポイントを取ります。大学によって連絡が取りやすい時間帯や連絡方法をホームページなどで公開している場合があります。特に首都圏の大学は多くの問い合わせが集中するため、担当者が忙しい時間・時期が発生しやすいです。初めての大学訪問の場合、第一印象が重要になるため、しっかりと事前に調べて相手に配慮した連絡を心がけましょう。
  • 訪問する担当者をアサインし目的や内容を共有する:アピールポイントを伝えるために最適な人員をアサインしたら、当日の目的(ゴール)や話してほしい内容について擦り合わせを行います。特に待遇や残業時間などの労働条件など、デリケートな情報は嘘をつかず正確に伝えるように確認しておくなど、協力する社員の立場も踏まえつつ情報共有をしておきましょう。

ステップ6 訪問する

  • 準備した内容を伝達するだけではなく、次回連絡するとよい時期や学校で開催される就職支援イベントの日程、他に会っておくとよい学校関係者など、設定した目的を達成するために必要な情報を収集することも忘れずに。
  • 当日、タイミングが合えばその場で学生と話ができることもあります。学生にも魅力的に映る身だしなみを心がけましょう。
  • アピールポイントや先方が聞きたいであろう要素については準備していったものの、相手が十分納得できるような回答を用意できていなかった、という失敗もよくあります。過去の企業説明会や選考時に学生からよくあがった質問などをもとに想定問答集を用意しておくと安心です。

【おわり】


e-bookでは、今回紹介しきれなかった、「ステップ7.訪問の御礼と社内情報の蓄積・共有を行う」「ステップ8.定期的な連絡を継続する」「ステップ9.振り返りを行う」「ステップ10.次年度の準備を始める」のほか、「中級編・上級編~実行時のポイント~」を紹介しています。

記事企画:株式会社イーディアス、制作:@人事編集部

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今回コラムで紹介したe-bookはこちらよりダウンロードできます。
https://at-jinji.jp/library/377

・株式会社イーディアスの「採用コンサルティング」(@人事サービスガイド)
https://at-jinji.jp/service/1/1

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