第14回HR EXPO春(人事労務・教育・採用)|RX Japan株式会社第14回HR EXPO春(人事労務・教育・採用)|RX Japan株式会社

組織能力向上エンジンとしての人財部門へ

「開発」と「発達」をどのように織り交ぜ、コンピテンシーを高めていくのか?

前回記事「今後は、行動定着よりも相互作用!キーパーソン・人財部門の役割は?」 では、「『状況認識』の違いによって、『組織能力を向上させる取り組み』の内容は変わる」(「状況や相手にかかわらず『特定の行動』を取ればよい」という場合も、「相手から『望ましい反応(相互作用の結果や成果)が得られるまで、柔軟にアプローチを変える』のが大切」な場合もある)といった内容についてもお伝えしていました。 引き続き、「今後は行動定着よりも、相互作用が重要な場面が増える」といった認識に基づき、今回は「コンピテンシー※1」について考えていきたいと思います。

人事担当者や経営者に求められるのは『組織としての学習能力の開発』

人財部門・経営陣として、「今後は行動定着よりも、相互作用が重要な場面が増える」「状況に応じて求められる言動・態度は変化する」といった認識に基づいてコンピテンシーについて検討するのであれば、次の4つの側面について意識しておくことが重要です。

コンピテンシーの4側面

①コンピテンシーの評価は、状況や判断基準次第で変化する

②業績達成に有用なコンピテンシーは、予め一通りに決定できない

求められるコンピテンシーは変化する

④組織にとっては、個々人のコンピテンシーよりも、集団としてのコンピテンシーが重要

[ 出典:合同会社5W1Hニューズレター第134号「成り行き任せのリーダー育成;人財の有用性≠コンピテンシー」 を基に改変 ]

すなわち、『組織の成長や持続的な繁栄』を可能にする『組織能力向上エンジン』としての人財部門・経営陣には、『組織としての学習能力の開発』、すなわち、『状況変化に応じ、その時々に適したコンピテンシーを、組織として獲得していく能力を高めるための取り組み』が求められるということです。

以前、米国スタンフォード大学のX講座の教授が亡くなり、後任選びをする際の話を聞いたことがありました。 今もそうなのかはわかりませんが、その時の大学は、世界中のX分野を牽引する著名な研究者宛てに「スタンフォード大学のX講座の後任には誰がふさわしいと思われますか?」といった問い合わせを行う形で第一次審査をした(大学内の人事について、専門家コミュニティからの推薦・研究現場の意見を重視した)ということでした。

「専門分野のことは、専門家が詳しい」のであって、「専門分野に詳しくない人財部門・経営陣だけで、採用や評価に用いるコンピテンシー項目を定め、ずっと同じ指標を用い続けるのは、マズイ」のではないでしょうか?

日常業務において直面する仕事/作業をこなすために必要な「断片的で即時利用可能な知識や技術の学習」(個々のコンピテンシー向上)については現場や本人に任せ、人財部門・経営陣としては、

A)全社員向け・幹部候補向け・特定の役割に必須の体系的知識・技術を習得する機会の創出

B)主体的な自己開発および相互啓発を支援する環境・仕組みづくり

C)個人および組織としてのコンピテンシー獲得能力※2の向上

など、『組織としてのコンピテンシー向上』に取り組むのが大切なのではないでしょうか?

これは、表:「『開発』と『発達』を織り交ぜる」で示した、人財育成分野でよく登場する「Development」という概念の2つの側面に配慮して、「『組織が求める成果への貢献』と『個人の育成やキャリアの発達』の両方を実現させる道」をそれぞれの組織で独自に確立するのが重要なのではないか? という提言です。

組織能力を高めるためには、「個々のコンピテンシー向上については、現場や本人の意向を重視」し、「人財部門・経営陣は、A)体系的知識・技術の習得、B)環境・仕組みづくり、C)コンピテンシー獲得能力の向上に取り組むなど、主に『組織としてのコンピテンシー向上』に注力する」のが大切ではないか?という考え方について、あなたの所属組織では、どういった判断をするのが良さそうでしょうか?

 

※1 コンピテンシー(Competency)とは、「特定の仕事において、安定的に高い業績をあげている人財に共通して見られる行動特性」あるいは「成果創出能力」として用いられる言葉・概念です。

※2 コンピテンシー獲得能力とは、例えば『観察力』や『質問力』、『コミュニケーション能力※3』のように、「変化に適応する過程で、新たな能力を自ら学習していく能力あるいは行動特性(他の分野にも適用・応用可能なスキル)」のことで、「『事業内容や事業環境の変化に応じて求められる新しい能力』を身につける能力」であるとも言えます。

※3 「コミュニケーション能力の定義」については、目的や状況に応じたものを設定することが大切ですが、例えば、合同会社5W1Hニューズレター第101号「それは、『新・π型人財』を見据えた『質問力』ですか?」 では、次のような表現を紹介していました。

・公表された情報源から、目的や目標の達成に有用な情報を引き出す能力
・会話や文章を通して、意思疎通を図る能力
・対話やインタビューを通して、学習する能力
・個々の情報のつながりや概念を、図解する能力
・立場や意見の違いを基に議論を行い、全体最適の問題解決や意思決定に導く能力
・コンピューターやインターネットをはじめとする、情報処理機器を扱う能力
・言葉だけでなく、態度や行動を通して、周囲に影響を与える能力
・目的や目標の達成に向けて、適切な「意味のやり取り」を行う能力

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