組織能力向上エンジンとしての人財部門へ
「セマンティック組織開発」のすすめ~インフラ整備後の人財部門の在り方~
連載初回では、「企業の課題を全社的に(各部門を統合した視点から)捉える人財・組織部門には、『企業の成長や持続的な繁栄』を可能にするため、表1に挙げた3つの取り組みが期待されるようになってきている」と書いていました。
【参照】表1:人財・組織部門の戦略的役割
[出所:「人事部、不要!」とはどういうことか?を基に改変]
インフラ整備後は、特に、「種々の管理業務および役割Aの業務負担の大幅な減少」が見込めます。 そのため、「役割B・Cに注力するという人財部門の在り方」に変貌を遂げるのであれば、引き続き人財部門は必要かつ重要ですが、「管理業務が中心のままの人財部門は不要」(少なくともまとまった人数から成る「部門」は不要)と判断される事例が増えるでしょう。 以下、「役割B・Cに注力するという人財部門の在り方」について、もう少し掘り下げて考えていきます。
「デジタル化の推進」は、「個別のアナログ対応の拡充」を可能にするため!
「長期的視点に立った人財戦略」や「階層・部門・地域・世代といった『境界』を越えて、『組織能力』を高めようとする動き」は、「短期的視点が優勢で、内部競争に終始しがちな縦割り組織」の中で自然に発生するものではありません。
「少子高齢化」や「グローバル化」に伴って「優秀な人財の採用が困難化」し、また、部門を超えた取り組みが増えるなど「仕事内容が複雑化」し、さらに、介護と仕事の両立や在宅勤務が増えるなど「ワーク/ライフスタイルが多様化」するといった環境変化の下では、リテンションやメンタル・ヘルスなどを意識した「守り」の姿勢だけでなく、働き甲斐を感じて主体的に働く社員を増やすなどといった「攻め」の姿勢からも、「さまざまな境界を越えて組織能力を高める動き」や「今いる人財を最大限に活かすための個別対応」が極めて重要になってきています。 「顧客から個客へ」という「個別対応に向かう流れ」は、自組織内の人財対応にも当てはまるのではないでしょうか?
標準化や効率化、管理業務は必要ですが、それだけでは、「独自価値の創出」や「独自能力の向上」、「エンゲージメントの向上」などには貢献しません。 一方、「インフラ整備」といった形で「デジタル化」を進めることは、これまで管理業務に充てていた時間や労力を「他社が模倣困難な『独自資源』の育成・維持に貢献する業務、すなわち、『個別対応』に充てること」を可能にします。 例えば、タブレットを持って歩けば、全社員の情報を「その場で確認」しつつ話すことも可能になるわけです。
ヒト、モノ、カネ、情報といった経営資源の中で、「伸びしろが大きく、他社が模倣困難なのがヒト」です。 デジタル化の流れを活かし、人財部門として「個別のアナログ対応の拡充」に努めるというのはいかがでしょうか?
「機械と共存する、豊かな働き方」の実現を支援する人財部門へ
今後、私たちがAIやロボットと共存共栄して働いていくには、表2で示した内容を意識することが大切です。
そして、人財部門としては、以前の記事:「組織開発」視点で「育成」するのが、「戦略的人財部門」の内容を踏まえつつ、「個別のアナログ対応の拡充」に努めるといった形で、「個人にとっての意味を協創し、個人を組織にとっての資本とする『セマンティック組織開発』(Semantic Organizational Development)」に向かう意識・行動変革を興さなければならないのではないでしょうか?
インフラ整備後の人財部門の在り方について、あなたはどのようにお考えになりますか?
この連載は今回で終了となります。これまでお付き合いいただき、ありがとうございました
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