拝啓、吉本興業様。「社員幸福度研修」をさせてください!

@人事の「吉本闇営業騒動。芸人を敵に回した社長会見に学ぶ企業崩壊の落とし穴」を興味深く読ませていただきました。また、それに続いての「吉本社長発言はアウト⁉パワハラ防止法を佐々木亮弁護士が徹底解説」も学び満載!

いよいよパワハラ防止法が設立され、会社によるハラスメント対策が義務化されることで、これからパワハラは本当に減っていくのでしょうか? そして吉本興業は、真の「芸人ファースト」を実現させることができるのか?

芸人ファーストも、社員ファーストも、やるべきことは同じなのではないでしょうか?

目次

  1. 笑わせる相手が違うんじゃないのか!
  2. 「パワハラ防止法」の施行と抜け道
  3. ハラスメントの「認識度チェック」で違いがわかる
  4. 笑わせてナンボ、笑ってナンボ!

笑わせる相手が違うんじゃないのか!

これまでも所属芸人がギャグにしていたほどの会社のパワハラ体質が、一連の事件や話題の記者会見で冗談では済まないレベルに格上げされてしまった吉本興業。さらにここにきて、パワハラ対策ではなく、なぜか「経営アドバイザリー委員会」なるものを立ち上げ、さらにはその委員には経営者や経営学者がいないという不思議な状況が、さらなる批判と疑問を呼んでしまいました。

果たして6,000人の所属芸人たちは、この経営アドバイザリー委員会の立ち上げ企業改善をどう受け止めているのか。まずはそこを拾い上げていくことが、芸人ファーストの第一歩なのではないでしょうか…と、外野だからこそ好き勝手なことが言えるものですが。

吉本興業様、是非「社員幸福度」ならぬ「芸人幸福度研修」をやらせてください、と大声で言いたい! 長年の悪しき習慣からの企業改革をするのであれば、経営改革と同時に、会社や業務に関わる全ての人の幸福度向上の対策を取ることを必ず施策の中に入れていただきたいと強く思います。

社員が心から笑える環境を創り上げてナンボ! 笑わせる相手はお客様の前に社員であり、社員幸福度とは、社員エンゲージメント(芸人エンゲージメント?)を健康にかつ高く保つのに、必要不可欠な要素なのです。

「パワハラ防止法」の施行と抜け道

吉本興業の一連の騒動は、闇営業を生む企業文化や「芸の世界なら当たり前」的なハラスメント体質にあったと言えるでしょう。

今年成立したハラスメント防止法は、大企業は2020年4月、中小企業は2022年4月から施行されます。パワハラ防止法では、ハラスメントを未然に防ぐための対策が義務づけられたわけですから、一見これで社会が変わるような錯覚を持たれるかもしれません。

しかし、本質的な、いわば個人の精神レベルでの改善が行われない限り、今後は義務に対する巧妙な抜け道が確立してしまう危険性も感じえずにはいられません。「義務」…解釈が面倒なアレですね。義務さえ果たしておけば安全、という勘違いが生まれては危険です。ハラスメントは「個人の受け取り方次第」という超個人的感覚が、最終的な決め手となってしまうからなのです。

ハラスメントは義務をもってして制することができるものなのか、人としての道徳をもってして向き合うものなのか。今一度、考えておきたいものです。

パワハラ対策整備の義務:
【パワハラに関する研修の実施やそのほか必要な配慮をすることの努力義務】

が法文として組み込まれています。研修の実施はもちろん重要です。今の世の中、何をしたら、されたら「ハラスメント」なのか、誰もがわかっていそうで、わかっていなかったりもします。

こちらのコラムでも何度か触れていますが、ハラスメント防止には「個人の価値基準の相違」を乗り越えるための「生き方、考え方、在り方のダイバーシティ」、そして自分のしあわせと人のしあわせをまったく同等の価値あるものとして捉えることが当たり前となる職場環境づくりが必須なのです。

ハラスメントの「認識度チェック」で違いがわかる

弊社のハラスメント研修では、「認識度チェック」を行っています。参加者全員に、職場で起こり得る状況を見せ、それぞれがそれをどの程度深刻なことと捉えるかを照らし合わせます。

例1:上司の機嫌次第で部署の雰囲気がピリピリして、ストレスになる。人事部に相談したが「上司は誰にも危害は与えていないし、それが会社のカルチャーでもある。今すぐにはどうすることもできない」と言って、何も対応してくれない。

これに対して

1.深刻なことではない 2.どちらかといえば深刻 3.深刻だ 4.極めて深刻だ

という4段階の答えの中から、自分の感覚に近いものを選んでもらいます。これがハラスメントが否かでもない、良いか悪いかでもない。あなたなら「どのくらい深刻だと感じるか」だけの問いです。どの会社の研修でも、全員一致で同じ答えは出てきません。

自分なら気にしない、乗り越えられると思う人もいれば、「今の業務や職場の事情を考慮すると」という何らかの前提で考えて答える人もいます。

仮に上司が「深刻なことではない」と答え、部下が「極めて深刻だ」と答えた場合、ハラスメントが起こり得る可能性の種があるということです。その逆であれば、部外者が「これはハラスメントではないか」と訴えたところで当事者たちには「言いがかり! 余計なお世話」になってしまいます。

実際にこの例文のようなことが起きたらどうするか、ということではなく、状況に対しての捉え方には個人の感覚の差があるのだということを、同じ職場でお互いに関わる人同士があらためて認め合う必要があるのです。

認識度チェックは、10問近くの質問を通して、それぞれの捉え方や感覚の違いを体験していただくことに意味があります。「深刻だ」と「極めて深刻だ」くらいなら大した違いがないとお考えになるかもしれません。しかし、この小さな違いが積もっていくと大きな「見解の相違」が生まれ、そのことに誰も気づかないということになっていきます。

それでは、例文をもうひとつ。

例2:会社において、すべては業績、数字ありきで社員が評価される。
1.深刻なことではない 2.どちらかといえば深刻 3.深刻だ 4.極めて深刻だ

今度はいかがでしょうか? この例文にも明白なハラスメント行為はありません。法令で定めるハラスメントの定義、職場で守られる義務を学ぶことの重要度に加えて、「違い」に対する受容性を見直し、向上させることが求められます。

笑わせてナンボ、笑ってナンボ! 

吉本興業は、本来「笑い」を届ける芸人あっての企業です(よね?)。あの記者会見後、松本人志氏は、「吉本興業は日本の人たちを面白くする、楽しませるための会社であって、この2カ月くらいは正直全然面白くなくて。―中省略― お笑い芸人が笑えてもらえないことに憤りを感じる」とコメントされていました。

「笑う」は人間だけに与えられた才能であり、優れた機能です。笑いの医学的効能は世界の医学界で実験、検証され、NK(ナチュラルキラー)細胞を活性化し、自然免疫力を高めることが証明されているのは、多くの人がご存知のことでしょう。精神的身体的ストレスによってNK細胞が低下すると感染症や疾病を引き起こしやすくなります。さらに、笑いや幸福感で増加するセロトニンは、集中力や記憶力、想像力にも影響を与えると言われています。

芸人ファーストを唱えるなら、最初に自社の芸人が笑えているかに責任を持つのが会社としての正しい姿勢です。これは吉本興業以外の企業で、社員ファーストを唱え、ハラスメント防止を目指すのであっても同じです。社員は心から笑っていますか? 社員幸福度はどうですか?

ハラスメント研修では、こんな質問も行っています。一見、仕事には関係なさそうに見える質問ですが、この答えの中には、現状把握のポイントや改善の鍵が隠れています。

問:どのくらいの頻度で「声を出して」笑っていますか?
1.常に 2.頻繁に 3.ときどき 4.ほとんど無い 5.全く無い 6.記憶に無い

あなたの答えはいかがですか?

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