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給与計算をアウトソーシングするには? 注意点も解説

毎月の給与計算は、多くの担当者にとって負担の大きい作業です。人件費の削減や業務の省力化を考えたとき、給与計算をアウトソーシング、つまり外注してしまうことも視野に入るでしょう。このページでは、給与計算を税理士、社労士(社会保険労務士)、給与計算代行会社に依頼する場合のそれぞれの業務内容やおすすめの会社の規模、費用を解説し、目安となる料金表も紹介します。

目次

給与計算業務は担当者にとってつらい作業?

給与計算業務は、多くの企業の中で重要な役割を果たしています。従業員に対する報酬を間違いなく支払うことは、企業にとって不可欠です。
一方で給与計算業務は法律や自社の就業規則など押さえておかなければならない知識や情報が多く、しかもミスをすると社員からのクレームにつながる、緊張感のある業務です。その業務の大変さとして、大きく3つの点が挙げられます。

関連ページ:給与計算とは? 基礎知識や給与の内訳についてやさしく解説

大変さ1:法律などの専門知識が必要

給与計算は法律にのっとって行わなければなりません。給与計算業務を行う上で避けて通れないのが、法律などの専門知識の必要性です。

賃金支払の5原則

賃金支払の5原則とは、賃金を「通貨で」「直接」「全額」かつ「毎月1回以上」「一定の期日を定めて」支払わなければならないとするものです。これは労働基準法第24条に定められています。
基本的な給与支払いのルールが既に定まっている会社であれば、ルール通りにしていればこの原則に違反する可能性は低いでしょうが、例えば期日を定めなかったり幅を持たせたりすることは違反となります。

社会保険などの要件

社会保険料とは、健康保険・介護保険・厚生年金保険・雇用保険・労災保険にかかる保険料であり、そのうち従業員の給与から控除しなければならないのが健康保険・介護保険・厚生年金保険・雇用保険です。
それぞれ保険料率が異なり、また改定されるものもあるので、最新の情報を踏まえて正しく計算しなければなりません。

事業所所在地のルール

給与計算に関するルールは全国一律ではなく、事業所の所在地によって変わるところがあります。例えば最低賃金などは都道府県ごとに異なるため、ある県では適法でも別の場所では違法となる可能性があります。事業所の所在地のルールを確認し、遵守する必要があります。

大変さ2:必要な情報量が多い

法律の知識以外にも、給与計算にはさまざまな情報が関わってきます。これらを正確に把握しないと、正しい給与を支給できません。

従業員情報

従業員一人ひとりの基本給はもちろん、通勤手当や扶養人数なども把握しておかなければなりません。これらの情報は随時変化する可能性があり、常に最新の情報を入手する必要があります。

勤怠情報

出勤日数、時間外労働の時間など、勤務状況を正確に把握しておく必要があります。万一時間外労働の時間を把握せずに手当の不払いなどを発生させてしまうと、法律違反となります。

社内規程

その他、社内規程についても最新の情報を把握し、出張の交通費や手当、割増賃金の計算など、規程通りに処理する必要があります。従業員によって働き方が異なる場合なども、それぞれの働き方に合わせて正しく計算しなければなりません。

大変さ3:毎月計算が必要

給与計算は毎月決まった時期に行い、期日までに従業員に給与を支払えるようにしなければなりません。そのため、特に担当者が少ない場合は、特定の時期に休みを取るのが難しい場合もあります。

給与計算のアウトソーシング

給与計算では多くの知識や情報を正確に把握することが求められ、社員数が多ければ多いほど、また勤務形態が多様化すればするほど、複雑で大変な作業になります。社内での処理が難しくなってきた場合は、給与計算業務をアウトソーシングすることで、担当者が余裕を持って他の業務に当たれるでしょう。
給与計算業務のアウトソーシングを検討する際、依頼先として税理士、社会保険労務士、給与計算代行会社の3つの選択肢があります。それぞれの内容や費用について紹介します。

税理士

業務内容

税理士は税務関係の専門家であり、「税務の代理」「税務書類の作成」「税務相談」などが独占業務、つまり税理士にしか行うことが許されない業務です。
顧問税理士に依頼できる場合は、会社のことをよく知っている専門家に依頼できるという点で安心です。また、年末調整も合わせて依頼できることがメリットです。

おすすめの規模

設立して間もない会社や、社員が数人程度の規模の企業におすすめです。税理士への依頼は高額になりやすく、人数に比例して費用がかかるため、人数が少ない場合に向いています。

費用相場

費用は「基本料金+単価×従業員数」で計算され、相場としては基本料金が1万円程度、人数単価が500~1,000円と言われます。このほかに、一人あたり1,000~2,000円の初期費用がかかる場合もあります。
年末調整や賞与の計算といったオプションが増えると料金も加算されます。
従業員数ごとの月額の費用相場は下の表のようになります。

従業員数 月額の相場
10人以下 10,000~20,000円
11人~30人 20,000~35,000円
30人~50人 35,000~55,000円
50人以上 55,000円~

社労士(社会保険労務士)

業務内容

社労士は労務や社会保険関連の専門家で、社会保険や労働保険に関する書類の作成や手続きの代行などが独占業務です。また、労働保険に関連する労働者名簿、賃金台帳、出勤簿などの作成代行も、社労士だけが行える業務です。
労務、保険関連の手続きも依頼できるのが、社労士に依頼する場合のメリットです。

おすすめの規模

社会保険などの手続きが多くなってくる数十〜数百人規模の企業におすすめです。労務関係の各種手続きも合わせて依頼することで、ミスや法令違反を防げます。

費用相場

税理士の場合と同じく「基本料金+単価×従業員数」で計算されます。相場としては基本料金が1〜2万円、人数単価が500〜1,500円と言われます。このほかに、社会保険などの手続きを依頼する場合は、その分の費用もかかります。
また、給与明細書の作成がオプションになっている場合などもありますので、どの料金でどこまで対応してくれるのか、事前によく確認しましょう。
従業員数ごとの月額の費用相場は下の表のようになります。

従業員数 月額の相場
10人以下 10,000~25,000円
11人~30人 25,000~35,000円
30人~50人 35,000~50,000円
50人以上 50,000円~

給与計算代行会社

業務内容

対応業務の内容は、サービスやプランによって異なります。自社がどういう作業をどこまで依頼したいか、明確にしてからサービスを選ぶと良いでしょう。給与計算代行以外に、効率化のためのコンサルや他の経理関係作業を請け負う会社もあります。

おすすめの規模

社労士だけでの対応が難しい規模になった場合は、給与計算代行会社に依頼しましょう。大企業向けのサービスの場合は千人以上の規模の会社におすすめです。サービスによっては、数十〜数百人規模の中小企業向けのものもあります。

費用相場

料金の相場は、従業員1人当たり月額500〜1,000円程度とされます。
大企業向けの対応範囲の広いサービスの場合、規模や依頼内容によって金額が大きく異なるため、料金は問い合わせとなっているケースが多いです。
下の表でアウトソーシングサービスの料金体系の例を紹介しています。

初期費用 月額費用
A社 初期設定費用50,000円~+社員情報登録300円/人 基本料金10,000円+380~600円/人(51名以上は要相談)+200円/人(CSVファイルがない場合)
B社 なし 1,000円/人(〜200名。200名以上は要相談)
C社 50,000円 委託費用2,500円+システム費用600円~
D社(経理代行) 基本コース30,000円+3,000円/給与計算3件ごと
E社(経理オンラインアシスタント) 106,600円(実働41時間の場合。給与計算を含む業務全般アシスト)

給与計算をアウトソーシングする場合の注意点

給与計算をアウトソーシングする場合に、押さえておきたい注意点を解説します。失敗や後悔につながらないよう、前もって把握しておきましょう。

ある程度の負担は残る

給与計算業務をアウトソーシングしても、関連業務から完全に解放されるわけではありません。勤怠情報の管理や従業員情報の更新などはアウトソーシングしづらく、社内で管理する場合が多いでしょう。さらにアウトソーシングによりそれらの情報の提出期限が早まることが多く、一時的に忙しさが増す時期が生じる恐れもあります。

自社にノウハウが蓄積されない

業務を社外に出してしまうため、社内からはノウハウが失われ、新たに蓄積されることもなくなります。アウトソーシングの依頼先が業務を受けられない状態になると、別の依頼先を探さなければならなくなります。
また、社内に知識やノウハウを持つ人がいなくなることで、従業員の疑問を解消しにくくなる恐れもあります。

社外でのデータ漏えいのリスクがある

依頼先にもよりますが、実作業を契約社員やアルバイトに行わせたり、別の会社に再委託したりしているケースも考えられます。給与計算の情報には従業員の個人情報や給与情報が含まれますので、情報の取り扱いについては依頼先によく確認し、リスクを認識、対策する必要があります。

品質が低い場合もある

数多い給与計算代行会社の中には、品質が低い会社や作業者も紛れているかもしれません。事前にトライアルを行うなど、自社の業務を任せられる外注先かをよく確認しましょう。

給与計算システムの見直しも視野に入れよう

煩雑な給与計算業務をアウトソーシングする手段を紹介してきました。中には、「給与計算は確かに大変だけれどアウトソーシングも不安」「完全外注にするほど費用をかけたくない」などといった場合もあるでしょう。その場合は、給与計算システムを導入、または変更して改善を図ることもできます。また、給与計算システムの提供者が併せてアウトソーシングサービスを提供している場合もあり、給与計算システムとアウトソーシングを組み合わせるという手段もあります。このページを参考に、自社のニーズに沿って最適な手段を探してみてください。※こちらのページに掲載している情報は2023年10⽉時点のものです。

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