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会計処理とは? 企業会計原則を守らないと法令違反? 気になる疑問を徹底解説

会計処理は、企業の経済活動を正確に把握し、経営の効率化を図るために必要不可欠な業務です。このページでは、会計処理の基本から、企業会計原則の重要性、法令遵守の必要性について解説します。

目次

会計処理とはお金の出入りを帳簿に記録すること

会計処理は、企業の経済活動を帳簿に記録する行為を指します。これにより、企業の財務状況や業績が明確になり、経営者や各ステークホルダーは適切な経営判断を下すことができます。また、正確な会計処理を行うことで、企業の信用力向上や投資判断の基準にもつながります。

企業の会計は大きく分けて2種類

企業の会計は、外部に公開する「財務会計」と企業内部での経営判断時に使われる「管理会計」に大別されます。

財務会計

財務会計は、企業の財務状況や業績を株主や投資家などの利害関係者向けに公開するための会計情報です。金融商品取引法や会社法、法人税法によって、企業は決められた算定基準における経理状況を開示することが義務付けられており、財務会計はすべての企業に実施義務があります。

企業のホームページによく掲載されているIR(Investor Relations)などが財務会計に該当します。これらの情報は、企業の経済活動の透明性を保ち、企業価値の評価や投資判断の基準となります。

具体的には、以下が財務会計を表す情報です。

  • 損益計算書
  • 貸借対照表
  • キャッシュ・フロー計算書
  • 株主資本等変動計算書
  • 付属明細表 など

※出所:
e-Gov法令検索|金融商品取引法 第24条
e-Gov法令検索|会社法 第461条
e-Gov法令検索|法人税法 第22条

管理会計

管理会計は、企業内部での経営判断の基礎となる情報を提供する会計情報です。管理会計によって、経営者は企業のリソースを効率的に配分し、企業の競争力を向上させることができます。

具体的には、以下が管理会計を表す情報です。

  • コスト計算
  • 予算管理
  • 原価管理
  • 業績評価 など

会計処理のタイミング

日次会計

日次会計では、毎日の取引や業務の結果を日々記録します。これにより、企業は常に正確な財務情報を把握することができ、迅速な経営判断が可能となります。

具体的には以下の業務が日次会計です。

  • 請求書・領収証の発行
  • 日々の売上・仕入の管理
  • 未払金・立替金の処理 など

月次会計

月次会計では、月単位での収支を確認し、決算書を作成します。これにより、企業は月々の業績を把握し、経営計画の進捗を評価できます。また、月次会計を通じて経営上における問題を早期に発見し、計画の修正などの対策を講じることができます。

具体的には以下の業務が月次会計です。

  • 従業員の給与計算
  • 月ごとの売上・仕入の管理
  • 会社ごとに任意で行う月次決算書の作成 など

年次会計

年次会計では、年度末にすべての会計処理を終了し、年度決算を行います。これにより、企業は一年間の経営成績を総括し、株主や取引先に報告できます。また、年次会計の結果は、次年度の経営計画の策定の基礎ともなります。

具体的には以下の業務が年次会計です。

  • 年末調整
  • 期末決算書の作成 など

会計処理と経理処理の違い

会計処理と似た言葉に「経理処理」があります。会計処理は、企業の経済活動を記録する作業であるのに対し、経理処理は、会計処理の記録をもとに、資金の管理や予算の作成、財務分析を行う作業です。経理処理により、企業は資金繰りをスムーズにし、経営の効率化を図ることができます。

企業会計原則とは?

企業会計原則とは、会計情報の信頼性を確保するための基本的なルールです。企業会計は「一般原則」、「損益計算書原則」、「貸借対照表原則」、および重要性の原則などについて記された「企業会計原則注解」から構成されています。

これらの原則を遵守することで、会計情報の信頼性が確保され、企業の経済活動の透明性が向上します。

企業会計原則には7つの一般原則がある

「損益計算書原則」は損益計算書、「貸借対照表原則」は貸借対照表にそれぞれ対応していますが、一般原則は、損益計算書、貸借対照表のいずれにも共通するルールです。

具体的には以下の7つの一般原則があります。

  • 真実性の原則
  • 正規の簿記の原則
  • 資本取引・損益取引区分の原則
  • 明瞭性の原則
  • 継続性の原則
  • 保守主義の原則
  • 単一性の原則

真実性の原則

企業の財政状態および経営成績については、真実の報告を提供するものでなければならない。

「真実性の原則」は、企業会計原則の中でも最も重要なルールで、不正や不当な利益操作などのない、うそ偽りのない決算書(財務諸表)の作成を求めるものです。この原則において真実性を担保しているため、株主や投資家などの利害関係者は安心して財務諸表を投資の判断材料にできます。

正規の簿記の原則

企業会計は、すべての取引につき、正規の簿記の原則に従って、正確な会計帳簿を作成しなければならない。

「正規の簿記の原則」とは、すべての取引で正規の方法による簿記を行い、正確な会計帳簿の作成を求めるものです。正規の簿記とは複式簿記を指しており、ここで求められているのは、網羅性・立証性・秩序性の3つです。

  • 網羅性:すべての取引が漏れなく網羅的に記録されていること
  • 立証性:すべての取引が信頼できる客観的な証拠資料にもとづいて記録されていること、またそれを検証できること
  • 秩序性:すべての取引について継続的・体系的に記録されていること

資本取引・損益取引区分の原則

資本取引と損益取引とを明瞭に区別し、特に資本剰余金と利益剰余金とを混同してはならない。

「資本取引・損益取引区分の原則」とは、資本取引と損益取引を区別するよう求めているものです。企業資本に関わる資本取引と、経営上の損益に関わる損益取引は、異なる取引であるため、資本の不正使用や利益隠しを防ぎ、企業財務の健全性を守るためのルールとされています。

特に、資本剰余金と利益剰余金の混同は厳禁です。資本剰余金は出資金のうち資本金に組み込まれなかった剰余金で、利益剰余金は利益のうち配当に回らなかった剰余金を指します。株主や投資家が誤った判断をしないようにきちんと区分する必要があります。

明瞭性の原則

企業会計は、財務諸表によって、利害関係者に対し必要な会計事実を明瞭に表示し、企業の状況に関する判断を誤らせないようにしなければならない。

「明瞭性の原則」とは、財務諸表で会計事実を明瞭に示し、利害関係者が企業情報を正しく判断できるようにするために、誤解を招く表示をしないよう求めるものです。

具体的な方法としては、総額主義や費用・収益の対応表示です。総額主義では、一定の基準に従って勘定科目をわかりやすく区分・配列し、各科目を総額で表示します。費用・収益の対応表示は、各区分に対応した表示が求められます。

また、決算書には記載されていないものの、経営に重要な影響を及ぼす会計方針の変更などがあった場合には注記する適正開示も求められます。

継続性の原則

企業会計は、その処理の原則及び手続を毎期継続して適用し、みだりにこれを変更してはならない。

「継続性の原則」は、一度採用した会計処理や手続き方法は継続して使用し、理由なく変更しないよう求めるものです。各期で別の会計方法が使われれば、収益・コスト・資産の算出・確認に混乱が生じてしまいます。また、事業年度ごとの財務比較が難しくなるため、利益操作をしないためにも、会計処理の方法は継続されることが前提になっています。

保守主義の原則

企業の財政に不利な影響を及ぼす可能性がある場合には、これに備えて適切に健全な会計処理をしなければならない。

「保守主義の原則」は、企業財務上で不利な影響を与えかねないものは明確に記録し、適切に処理するよう求めるものです。会計処理では、予測されるリスクに備えて慎重な判断が求められ、それが健全な企業会計につながり、利害関係者も最悪の事態を予測できます。

ただし、会計処理があまりに保守的すぎると企業の財政・経営報告が正しく行われず、「真実性の原則」を破る可能性があるため、いつでも保守主義の原則が認められるわけではありません。あくまで優先すべきは最も重要なルールである「真実性の原則」です。

単一性の原則

株主総会提出のため、信用目的のため、租税目的のためなど種々の目的のために異なる形式の財務諸表を作成する必要がある場合、それらの内容は、信頼しうる会計記録に基づいて作成されたものであって、政策の考慮のために事実の真実な表示をゆがめてはならない。

「単一性の原則」は、会計事実の真実を歪めた表示で報告しないよう求めるものです。

財務諸表は、税務申告用や金融機関への提出用など、異なる形式で複数作成するケースがあります。しかし、財務諸表の形式が異なるとしても、そのもととなる会計帳簿は企業に1つしか存在させてはならないのです。それが会計処理の信頼性、透明性につながっています。

企業会計原則と企業会計基準の違い

企業会計基準は、企業会計原則をより具体化し、実際の会計処理においてどのように適用すべきかを示したものです。つまり、財務諸表を作成する際のルールです。
各企業がそれぞれの形式で財務諸表を作成した場合、形式が異なって他社との業績比較がしにくくなってしまいます。そのため、企業は会計基準のルールに沿って財務諸表を作成する必要があるのです。

日本における会計基準は、以下の4種類です。

  • 日本会計基準
  • 米国会計基準
  • IFRS(International Financial Reporting Standards:国際会計基準)
  • J-IFRS(日本版のIFRS)

米国会計基準はアメリカで採用されている会計基準であり、アメリカで上場している日本企業はこれにもとづいて財務諸表を作成する必要があります。IFRS(International Financial Reporting Standards:国際会計基準)は、国際会計基準審議会が世界共通の会計基準を目指して作成したもので、海外の投資家向けに経営状況を提示しやすいというメリットがあります。

企業会計原則を守らないと法令違反の可能性も

企業会計原則は、法律で定められているわけではありません。決算書(財務諸表)作成において遵守すべき原理原則という立ち位置で、法的な強い拘束力は持ちません。しかし、企業会計原則はすべての企業が会計上守るべきルールとして浸透しており、金融商品取引法や会社法、法人税法の規定を基盤にしています。

そのため、企業会計原則を守らなかった場合、知らぬうちに法令違反をしている可能性があります。法令に違反した場合、状況によっては刑事罰や行政処分が下ることも考えられます。例えば、金融商品取引法違反の罰則の中に、刑事罰で最高懲役10年、罰金1,000万円以下(法人は7億円以下)のものがあります。行政処分では業務改善命令のほか、業務停止命令がくだされることもあるため、会計処理において企業会計原則は必ず守るようにしましょう。

ルールを正しく理解して適切な会計処理を行おう

企業会計原則を理解し、正しく適用することで、企業の信頼性が向上し、持続可能な経営が可能となります。適切な会計ソフトの導入や、会計に関する教育・研修を通じて、正確かつ適切な会計処理を行い、企業の持続的な成長を支えましょう。※こちらのページに掲載している情報は2023年9⽉時点のものです。

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