【解説コラム】ダイレクトリクルーティングの基礎知識からおすすめのサービスの選び方まで。ダイレクトリクルーティングの採用戦略を学ぼう

ダイレクトリクルーティングで採用成果を出すには? ダイレクトリクルーティングサービスの選び方と成功のポイント

近年、企業の採用戦略の中で「ダイレクトリクルーティング」の重要性が高まっています。ダイレクトリクルーティングは、採用コストの削減や企業ブランディングに左右されずに優秀層へアプローチできる点など多くの利点がある一方で、長期的な取り組みが求められるなどのデメリットも抱えています。

どの企業にとっても効果的に採用成果をあげられる手法ではない難しさがある中で、さまざまなダイレクトリクルーティングサービスが提供されています。何を基準に、どのようなサービスや活用方法を選べば良いのか、求人広告や人材紹介との比較でどのように戦略的に活用すれば良いのか。多くの企業が迷っているのが現状です。

この記事では、主に初めてダイレクトリクルーティングサービスを導入する企業や、現在ダイレクトリクルーティングサービスを利用しているものの成果を出せていない企業に向けて、導入のメリットやサービスの種類といった基礎知識を中心に、具体的な選び方のポイント、さらに10ケースの状況別(課題別)おすすめダイレクトリクルーティングサービスについて解説します。

※この記事は、@人事編集部が企画・制作をした、2023年9月25日公開の@人事e-book「失敗したくない人のためのダイレクトリクルーティングの基礎知識と選び方」の内容を編集して構成しています。

目次

  1. 【押さえておくべき基礎知識】採用を取り巻く10の変化
     変化01:求人倍率の高止まり
     変化02:人材の流動化
     変化03:女性や外国人の雇用増加
     変化04:さまざまなツール・サービスの登場
     変化05:媒体と手段の細分化と増加
     変化06:リモートワークの浸透
     変化07:手間をかけることの重要度が増した
     変化08:新卒採用活動時期の前倒しがもたらす採用担当者の負担増
     変化09:給与相場のシフト
     変化10:情報収集の難易度が上がった
  2. ダイレクトリクルーティングとは
  3. なぜダイレクトリクルーティングが求められているのか
  4. ダイレクトリクルーティングの方法
  5. ダイレクトリクルーティングと求人広告・人材紹介との比較
  6. ダイレクトリクルーティングとスカウト・ダイレクトソーシングの違い
  7. ダイレクトリクルーティングの種類
  8. ダイレクトリクルーティングのメリット
  9. ダイレクトリクルーティングのデメリット
  10. ダイレクトリクルーティングの基本的な手順
  11. ダイレクトリクルーティングサービスの選び方
  12. ダイレクトリクルーティングでよくある失敗
  13. ダイレクトリクルーティングで失敗しないための方法
  14. 【ケース別】おすすめのダイレクトリクルーティングサービス

【押さえておくべき基礎知識】採用を取り巻く10の変化

近年、採用を取り巻く環境は大きく変化しています。具体的に10個の変化に分けて紹介します。

変化01:求人倍率の高止まり

少子化の影響で新卒の人材が採れない現状を背景に、短期的な人手不足の穴埋め補填や即戦力の確保を目的として、中途採用を強化する動きが見られました。
中途採用への需要が急増したことで、再び新卒採用へのアプローチに力を入れる企業が増えたことから、その動きが他社にも波及し、求人倍率が高止まりの状態になっています。

変化02:人材の流動化

従来のように一つの企業や業種に長く就く形態から、さまざまな職場を経験する、つまり転職が一般的になりつつあります。
こうした人材の流動化は、採用環境にも影響を与えています。
端的に、給与の高さも含めて「採用力の強い企業」のほか、カルチャーや仕事の内容など、求職者にとって魅力的な要素を持つ(あるいはそれをPRできている)企業に人材が流れる傾向があるのです。

変化03:女性や外国人の雇用増加

これまでは、出産や育児でキャリアを離脱しがちな女性を積極的に登用する企業は多くありませんでした。しかし人手不足を背景に、女性の雇用が増えています。同様に外国人の採用も増加しています。
また、日本政府も2016年4月に性差による男女の不平等をなくすために「女性活躍推進法」を施行しました。(2022年改定)

変化04:さまざまなツール・サービスの登場

採用代行やダイレクトリクルーティングといった新たな採用手法のほか、適正検査をはじめとした採用活動をサポートする各種ツールやサービスが増加しています。
これらのサービスを効果的に活用することで、採用環境のトレンドのキャッチアップや採用活動の効率化が期待できます。

変化05:媒体と手段の細分化と増加

新卒採用、若手の中途採用、さらに業種や職種別など、求人媒体の細分化が進行中で、媒体数も増加しています。採用管理ツールを導入している場合、ツールとの組み合わせに対応していない求人媒体を選んでしまうことで、かえって管理業務が煩雑になってしまうケースもあります。

変化06:リモートワークの浸透

新型コロナウイルスの影響により、日本社会でリモートワークの導入が急速に進行しています。その影響で、地元や近隣地域のみで採用活動を行っていた企業も全国規模での採用が可能に。
しかし一方で、地域的な制約がなくなったことで新たな競合企業が増え、採用の難易度がさらに上がっています。こうしたリモート化の波に対応するために、採用後の教育体制やリモート社員も参加しやすいイベントの整備充実など、従業員の定着をサポートする施策が重要になりました。

変化07:手間をかけることの重要度が増した

近年の採用活動は、以前と比較して手間が増えています。特に、求める人材を確保するには、市場リサーチとターゲットへの継続的なアプローチが不可欠になりました。
ターゲットの転職意向が低い場合、企業には継続的なフォローが求められます。しかし、手間をかけたから即座に効果が出るとは限りません。

変化08:新卒採用活動時期の前倒しがもたらす採用担当者の負担増

近年、インターンシップ募集の開始時期が早まり、採用活動の前倒しが顕著になりました。
こうした状況下で、24卒、25卒、26卒といった異なる年度の新卒採用活動を同時に進める企業も出てきており、採用担当者の業務が複雑化しているのが実情です。

変化09:給与相場のシフト

業務内容や役割が決まっており、成果に見合った給与を支払う「ジョブ型採用」が増え、給与体系も変化しています。
例えば、エンジニア職の新卒採用では年収800~1,000万円を設定する企業も出てきており、給与の高さが採用力の高さに直結するケースも見られます。担当者はこうした局面を理解し、採用戦略を見直すことが求められます。

変化10:情報収集の難易度が上がった

採用に関する変化が急速に進む中、最新情報・トレンドをいち早く把握し、最適な採用戦略を立てる必要がありますが、それが一層難しくなっています。
SNSやウェブサイト、採用関連のセミナーなど、情報収集のためのチャネルも増加しており、その中で適切な情報を選定するスキルが求められてます。

ダイレクトリクルーティングで差をつける

採用環境の変化に伴い、採用担当者の負担や責任は年々増えています。採用競争で勝ち抜くためには、採用担当者が本来注力すべき採用戦略や計画の立案、面接・選考、内定者フォローといったコア業務にどれだけ時間を割けるかが鍵となります。
こうした時間を確保しつつ、自社にマッチする優秀人材を確保するために有効な手法の1つが「ダイレクトリクルーティング」です。
さまざまあるサービスの中から自社のニーズに合う適切なサービスを選ぶためにも、まずはダイレクトリクルーティングに関する基礎知識を押さえておきましょう。

ダイレクトリクルーティングとは

ダイレクトリクルーティングとは、企業が直接求職者にアプローチして採用活動を展開する手法のことを指します。
採用コストを抑えられるだけでなく、企業と求職者が直接コミュニケーションを行うことで、双方の深い理解が促され、高いマッチング精度が期待できます。
多くの企業は、主に以下の3つの目的でダイレクトリクルーティングを導入します。

●コスト削減
●専門的な技術や経験を持った人材の採用
●柔軟な採用戦略

なぜダイレクトリクルーティングが求められているのか

近年、企業の採用活動で「ダイレクトリクルーティング」が注目されるようになった背景とは何なのでしょうか。
その理由を労働人口の減少、ITツールの発達、経済的な不確実性の3点から考察します。

背景1:労働人口の現象

労働人口が減少している現代社会では、企業は常に人手不足に悩まされており、採用競争が激化しています。
ダイレクトリクルーティングは企業が求職者に直接アプローチできるため、採用競争を有利に進めるための戦略として注目されています。

背景2:ITツールの発達

ITの進化はダイレクトリクルーティングをより効果的な採用方法へと押し上げました。
近年、ダイレクトリク―ティングに特化したさまざまなツールやサービスが登場し、ターゲットとなる候補者により簡単にアクセスできるようになっています。
この変化により、企業は自社のニーズに最適な人材を効率的に採用できるようになり、採用の成功率も向上しています。

背景3:経済的な不確実性

経済的背景は企業の採用戦略に大きな影響を与えます。最近では、新型コロナウイルスは経済に大きな変動をもたらし、多くの企業が経営難に陥りました。経済的な不確実性が増す中、企業は採用においてコスト削減と効率化を追及しています。
ダイレクトリクルーティングは、広告費や仲介料が不要であり、企業がコストを抑えつつ、適切な人材を獲得する手法として注目されています。

ダイレクトリクルーティングの方法

ダイレクトリクルーティングサービスを使う以外で、どのような方法で候補者にアプローチできるのか紹介します。

SNS

近年、SNSは採用活動における重要なツールになっています。特定のプロフィールやスキルセットに基づく検索や直接的なアプローチが可能です。また、公式アカウントを活用して、自社の魅力や職場環境を発信することも有効です。
ただし、SNS経由のアプローチはスパムと受け取られるリスクもあり、適切なタイミングや方法でのコンタクトが求められます。

キャンパスリクルーティング

新卒者へのアプローチ手法として、大学や専門学校と連携を図るキャンパスリクルーティングも有効な手段です。企業は将来の有望な候補者を早期に特定し、育成する機会を提供することで、若手人材の確保と育成が進められます。
ただ、キャリアセンターとの関係構築などのコストがかかるため、担当者に負担増加につながることも。

リファラル

従業員のネットワークを活用することも有効です。すでに知っている候補者の特性やスキルにもとづいて選考できるため、工数を削減できます。さらに紹介者は企業文化をよく理解しているため、価値観にマッチする人材と出会える可能性があります。
一方、似たような背景や経験を持つ人材が増えることで組織の多様性が失われたり、候補者が期待以上のパフォーマンスを発揮できず、組織内での人間関係に摩擦が生じたりするリスクもあります。

イベント・セミナー

業界イベントなどで、ターゲットとなる人材との接触機会を増やせます。自社主催のセミナーやプレゼンテーションも有効で、自社の特長を強調することが可能です。
ただし、イベントやセミナーは比較的コストがかかる施策である上、必ずしも期待したターゲットとの出会いが保証されるわけではないため、費用対効果をしっかりと検討する必要があります。

ダイレクトリクルーティングと求人広告・人材紹介との比較

ダイレクトリクルーティングの最大の特徴は、企業が直接候補者にアピールできる点です。
そのため、うまく活用すれば求人広告よりもマッチ率の高い候補者を、人材紹介よりもコストを抑えて採用できます。

求人広告との違い

求人広告は、企業が求人情報を媒体に掲載し、幅広い求職者へ募集を呼びかける手法です。多数の応募が期待できる反面、その中から適切な候補者を絞り込む作業に時間と労力が必要です。知名度の低い企業の場合、応募者数が少なくなる可能性もあります。

一方で、ダイレクトリクルーティングは、企業が求める人材を選定して直接アプローチを行うため、アプローチをした求職者の数に応じて時間と労力がかかります。しかし、広告掲載費が不要な分、コストは抑えられるとともに、知名度の低い企業であっても直接アプローチできる利点を生かして、アピールすることが可能です。

人材紹介との違い

人材紹介は、エージェントが候補者のスキルや経験、希望条件などを基に、最適な企業を紹介するサービスです。この手法は質の高い候補者獲得の可能性が高いものの、料金体系は成功報酬型が一般的であり、採用者の年収に基づいて料金が決定するため、役職者など高収入の人材を採用したり、複数人数の採用をしたりすると、費用が割高になる可能性があります。

一方でダイレクトリクルーティングは、月額や年額で利用料金が固定される先行投資型や、成功報酬型もありますが、後者の場合でも人材紹介も比べて割安であることが多いため、採用コストの削減が期待できます。

ただし、人材紹介は求める人材要件を指定さえすれば、人材エージェントが人材を探してきてくれますが、ダイレクトリクルーティングは採用担当者自身が人材を探し、アプローチをする必要があるため、工数の負担はどうしても人材紹介より大きくなります。

01 マッチ率の違い

人材紹介とダイレクトリクルーティングは、自社のニーズに合った人材にアプローチできる点で似ています。しかし、後者は、求職者にとって企業側から直接声をかけられているという期待感に加え、アプローチの方法やスカウトメッセージを通じて発信できる内容に制限がありません。
求人広告は人材要件や職場環境など掲載できる内容に制約があり、また、面談前に十分なコミュニケーションがとれないため、マッチ率は相対的に低くなります。

02 母集団の数の違い

ダイレクトリクルーティングは特定の候補者をターゲットとするため、母集団の数は限定的になります。
一方で、求人広告は広範囲の求職者にアプローチできるため、母集団形成に効果的です。
人材紹介は紹介会社のネットワークやエージェントの能力、リソースに依存するため、大きな母集団を確保するのには向いていません。

03 コスト(費用)の違い

広告の掲載料や人材紹介会社の手数料などが不要なため、採用コストが低くなります。
一方で求人広告は広告掲載料がかかり、人材紹介は紹介される人材の年収に応じて手数料が発生するため、費用が高くなります。

04 採用工数の違い

ダイレクトリクルーティングは、求職者の選定からスカウトメール作成、その後のやり取りまですべてを企業が行うため、工数がかかります。
また、求人広告は応募者の中から適切な候補者を見つけるのに工数がかかります。
人材紹介は求める要件にマッチした人材を探し、面接までのやりとりを代行してくれるため、工数を低く抑えられます。

【おわり】


e-bookでは、今回紹介しきれなかった、「ダイレクトリクルーティングとスカウト・ダイレクトソーシングの違い」、「ダイレクトリクルーティングの種類」、「ダイレクトリクルーティングのメリット」、「ダイレクトリクルーティングのデメリット」、「ダイレクトリクルーティングの基本的な手順」、「ダイレクトリクルーティングサービスの選び方」、「ダイレクトリクルーティングでよくある失敗」、「ダイレクトリクルーティングで失敗しないための方法」、「【ケース別】おすすめのダイレクトリクルーティングサービス」を紹介しています。ダイレクトリクルーティングを成功させるためには、自社に適したサービスを選ぶことが大切です。ぜひ、このe-bookを活用して、サービス選びの際の参考にしてください。

記事企画:@人事編集部

==========
今回コラムで紹介したe-bookはこちらよりダウンロードできます。
https://at-jinji.jp/library/581

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