【解説コラム】企業の生産性向上につながる社食サービスとは? 社食サービスの基礎知識から、ケース別のおすすめサービスまで紹介

最適な社食サービスを導入して、従業員の健康増進を図ろう

従業員の体調管理とモチベーション維持は、企業の生産性向上に直結する重要な要素です。健康的な食事の提供によってこれらを後押しする「社食サービス」は、福利厚生としても注目を集めています。

かつて社食には従業員の空腹を早く・安く満たすことが求められていました(社食1.0)。2000年代にはタニタ食堂のブームをきっかけに、健康やおいしさを意識した社食2.0へと変化。そして現在、単なる食事ではなく、コミュニケーションやイノベーション創出の場としての役割を期待されているのが社食3.0です。さまざまなトレンドやサービスの種類がある中で、どの社食サービスが自社に最適かを見極めることは容易ではありません。

本資料では、社食サービスの基礎知識や導入メリット、状況・課題に合わせたおすすめサービスの紹介など、関連情報について幅広くまとめています。

※この記事は、@人事編集部が企画・制作をした、2023年11月20日公開の@人事e-book「2023年度版最新のトレンドも分かる!社食サービスの基礎知識と選び方〜ケース別おすすめサービス紹介付き〜」の内容を編集して構成しています。

目次

  1. 社食を取り巻く環境の変化
  2. 【コラム】社食サービスで実現できる健康経営・SDGs
  3. 【最新版】社食サービスの種類
  4. 【最新版】社食サービスの種類(費用)
  5. 福利厚生としての社食サービス
  6. 社食サービスを導入するメリット(企業)
  7. 社食サービスを導入するメリット(従業員
  8. 社食サービスを導入するデメリット
  9. 社食サービス導入の失敗例と対策
  10. 社食サービス導入の失敗例
  11. 社食サービスを導入する際の注意点
  12. 社食サービス導入までの手順
  13. 社員食堂の導入に必要な法律の手続き
  14. 【ケース別】おすすめの社食サービス
  15. 【ケース別】採用代行を導入すべき範囲とタイミング

社食を取り巻く環境の変化

社食利用者の意識の変化だけでなく、社会問題や経済活動の変化も社食サービスの進化に大きな影響を及ぼしています。
代表的な4つを紹介します。

変化01:アフターコロナ

新型コロナウイルスの影響によってテレワークが急速に拡大。働き方の見直しに伴ってオフィスの移転や縮小といった動きが見られ、さらに個食や黙食の推奨も相まって社食施策は縮小傾向にありました。一方、5類感染症への移行後、オフィス回帰を促す企業が出始め、出社の動機付けとして社員食堂のリニューアルや運営方法の見直し、社食サービスの再検討を行うケースも増えています

変化02:物価の上昇

物価の上昇は人々の購買意識に変化をもたらしています。食事代を節約するためにカップ麺や総菜パンで済ませたり、食事の量を減らす、あるいは食事そのものを取らない従業員もいます。健康管理の観点から、企業には、価格を抑えつつ質の高い食事を提供する工夫が求められており、そうしたニーズを満たすさまざまな種類の社食サービスも増えています。

変化03:健康経営の推進

人的資本経営への注目が増す中、健康経営に関する対応に追われる企業も少なくありません。従業員に健康的な食事を提供することは体調管理や生活習慣病予防につながります。食事自体を新たなモチベーションへつなげることができれば生産性の向上も期待できるため、栄養バランスの良い食事を安定したコストで提供できる社食サービスへの関心も高まっています。

変化04:SDGsの活性化

SDGsとは、持続可能でより良い社会を目指す世界共通の目標です。日本国内でもSDGs推進の取り組みは盛んで、これに貢献するため独自の施策を展開する企業も少なくありません。近年は、地産地消やフードロスの削減、再生可能な食器の使用な
どをアピールポイントにしている社食サービスも拡大しており、サービス選定における1つの重要な指標になっています。

【最新版】社食サービスの種類

社食サービスの主流と言えば社員食堂でしたが、コロナ禍を契機に変化が見られ、新しいサービスが続々と展開されています。今人気の社食サービスを提供形態別に分類して紹介します。

社員食堂

企業の敷地内に設置する食堂のことで、従業員が日常的に利用できます。健康的な食事を提供し、従業員の健康維持や生産性向上に貢献します。従業員同士のコミュニケーションの場としても機能します。
前提として、業務用の厨房設備と食事スペースを確保する必要があります。また、調理器具代、光熱費、人件費、食材費といった運営費が必要です。基本的に昼食をコアタイムとした営業が多く、従業員の勤務形態によっては導入できない可能性があります。
運営方法によって主に3つに分類できます。

1:直営方式
企業が直接運営する方式です。栄養士や調理師など必要な人員を雇用し、メニューも自社で決めます。コストは高くつきますが、企業の理念やニーズに合わせた食堂運営が可能で、企業ブランディングとしても効果的です。

2:準直営方式
運営会社や子会社を設立し、その会社に社員食堂の運営を任せる方式です。直営方式同様、企業の方針を反映させた食堂運営が可能です。一方で新会社設立のための費用や手続きが必要です。

3:外部委託(アウトソーシング)方式
専門の給食業者に運営や管理を委託する方式です。コスト削減や栄養バランスの考慮など、業者が持つノウハウを享受できます。メニュー重視、価格重視など、特色に応じて委託会社を選択できる自由もあります。

設置型

オフィス内に専用の冷蔵庫や冷凍庫を設置し、そこに食材や主食、総菜、おやつなどを常備する形式のサービスです。運営時間に制限がないため、多様な勤務形態を採用している企業でも利用できます。冷蔵庫と電子レンジが置けるスペースさえ確保できればすぐに導入可能です。サービスによっては必要な什器を無料貸し出ししている場合もあります。在庫の管理や追加発注は導入企業側または提供ベンダー側で行うケースがあるため、事前に運営方法を確認しておきましょう。

デリバリー型

注文時に指定した時間に合わせて、弁当やパン、おかずなどの食事が配達されるサービスです。日替わりの弁当を配達するタイプや、近隣の飲食店の商品をデリバリーするタイプなどがあります。
メニューのバリエーションが豊富で、その日の気分に合わせて商品を選べます。社員食堂を持たない小規模な企業や、近隣に飲食店が少ない企業におすすめです。対象エリアと営業時間が限られていることが多く、最低注文数が設けられている点は留意する必要があります。

提供型、出張型

会議室や休憩スペースといったオフィスの一画を利用して、ランチプレートや丼もの、麺類などの食事を提供するサービスです。調理の手間はありませんが、配膳と食事ができる一定の空間を確保する必要があります。
デリバリー型と比較するとコストは高めですが、社員食堂ほどの大がかりな設備を持つことなく、温かい食事と豊富なメニューを従業員に提供できるのが特徴です。

チケット制、代行サービス

企業が従業員にチケットや電子マネーを発行して食事代を補助する方法です。提携している飲食店を社員食堂代わりに利用できることから代行サービスとも言います。コンビニでの支払いに使えるものもあります。
時間や場所に制約がないため、全国に勤務先を要する企業やフルリモート勤務、外勤、夜勤など、幅広い勤務形態をカバーすることができます。

そのほか、自動販売機や設置型に分類されるような無人型のコンビニタイプもあります。次のページに提供形態別の費用を表にまとめました。

【最新版】社食サービスの種類(費用)

福利厚生としての社食サービス

社食サービスは福利厚生として提供できます。ただし条件が決まっているため導入前に確認しましょう。

社食サービスにかかる費用は企業負担?

福利厚生費として計上する意図がなければ企業が全額賄っても問題はありませんが、企業と従業員双方が負担する方法で提供するのが一般的でしょう。企業側からすれば節税対策になり、従業員側からしても通常の半
額ほどで食事ができるため、双方にメリットがあると言えます。

福利厚生費にするための条件は?

社食サービスを福利厚生として利用するためには、以下の条件を満たさなければなりません。

● 役員や従業員が費用の50%以上を負担していること
● 企業の負担額が一人あたり月3,500円(税別)以下であること

例えば月20回、500円(=10,000円/1人)のお弁当を届けてくれる社食サービスを利用した場合、企業が一人あたり3,500円を負担することで、従業員の毎日の昼食負担額を325円に抑えつつ、かかった費用を福利厚生費として計上できます。

ただし、支払いは一旦企業が賄って、後ほど従業員から本人負担分(上記例で言えば6,500円)を徴収、もしくは天引きしましょう。食事代として、先に3,500円を従業員に支給してしまうと給与扱いになり課税されてしまいます。また、企業の負担額が3,500円を超えてしまうと超過した差額分だけ課税されるのではなく、全額課税されてしまうため注意が必要です。

加えて福利厚生は「均等待遇」であることが基本なので、全従業員を対象にすることも大切です。

社食サービスを導入するメリット(企業)

社食サービスを導入することで企業が得られる主なメリットを4つ紹介します。

メリット01:従業員の満足度が上がる

社食サービスの導入によって、従業員は健康的でバラエティ豊かな食事を楽しむことができ、職場での休憩時間が充実したものになります。また、従業員にそうした体制整備をしてくれていると感じてもらうことで自社への満足度が高まり、離職率の低下やパフォーマンスの向上につながります。

メリット02:健康管理・健康経営の推進が期待できる

社食サービスを導入して従業員にバランスの良い食事を提供することで、生活習慣病の予防や体調管理につながります。また、健康的な食事によって病欠の減少や生産性の向上も期待できます。

メリット03:自社のイメージアップにつながる

社食サービスは、企業の福利厚生の一つとして外部へのアピールポイントにもなります。特に健康やウェルネスに重点を置いたメニューを提供することで健康経営のイメージを強化できます。これにより、採用活動や自社ブランディングにもプラスの効果が期待できます。

メリット04:節税できる

社食サービスの導入には、税制上のメリットもあります。福利厚生として社食サービスを利用すれば、かかった費用を経費として計上できます。これにより企業の課税所得が減少し、節税につながるのです。

社食サービスを導入するメリット(従業員)

社食サービスの導入は、従業員にとっても多くの利点があります。

メリット01:健康増進につながる

社食サービスを導入し、バランスの取れた食事を提供することで、従業員の食生活改善や健康意識の向上が期待できます。外食やコンビニ弁当に頼ることが多い従業員にとって、健康的な食事を手軽に取れることは大きなメリットでしょう。生活習慣病の予防や体調管理にもつながります。

メリット02:食費を抑えられる

社食サービスを導入すれば、多くの場合、従業員が勤務時の食事にかけるコストを削減できます。福利厚生として提供すると、企業が最大月3,500円を負担するので従業員の食費負担が減り、生活へのサポートにもつながります。外食と比べれば、3分の1から半額ほどの負担軽減になるでしょう。

メリット03:従業員間のコミュニケーションが増える

社食サービスの提供スペースは、従業員同士の交流の場としても機能します。異なる部署や職種の人々が一緒に食事を取ることで自然なコミュニケーションが生まれやすくなるでしょう。リラックスした雰囲気が共有でき、従業員のストレス軽減にも寄与します。

社食サービスを導入するデメリット

社食サービスの導入において、いくつかデメリットになりうることもあります。
代表的な3つの懸念点を紹介します。

デメリット01:コストや手間がかかる可能性がある

社食サービスの導入には、初期費用や運営コストがかかる場合があります。
例えば新たに社員食堂を設置する場合、施設の建設や設備導入、食材の調達など、多くのコストが発生します。専任スタッフの配置をはじめ、日々の運営にも手間がかかります。

デメリット02:活用されないリスクもある

社食サービスを導入しても、従業員が十分に利用しないケースも考えられます。
従業員のニーズや好みを事前に把握していなかったり、働き方にそぐわない種類のサービスを選定してしまった場合にそうした失敗が生じがちです。

デメリット03:条件を満たさないと課税されてしまう

前述したように、社食サービスを福利厚生費として計上するためには一定の条件を満たす必要があります。
これらの条件を満たさない場合、社食サービス提供にかかった費用はすべて給与扱いとなり、課税されてしまいます。

【おわり】


e-bookでは、今回紹介しきれなかった、「【コラム】社食サービスで実現できる健康経営・SDGs」、「社食サービス導入の失敗例と対策」、「社食サービスを導入する際の注意点」、「社食サービス導入までの手順」、「社員食堂の導入に必要な法律の手続き」「【ケース別】おすすめの社食サービス」を紹介しています。従業員の体調管理とモチベーション維持には、自社に適した社食サービスを選ぶことが大切です。ぜひ、このe-bookを活用して、サービス選びの際の参考にしてください。

記事企画:@人事編集部

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今回コラムで紹介したe-bookはこちらよりダウンロードできます。
https://at-jinji.jp/library/606

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