第14回HR EXPO春(人事労務・教育・採用)|RX Japan株式会社第14回HR EXPO春(人事労務・教育・採用)|RX Japan株式会社

「募集すれば採れる」時代は終わり?
採用環境の変化をチェック

近年、労働力人口の減少、大学卒業生の動向、求職者と企業間のニーズギャップの広がり、そして新しい採用手法やツールの出現など、採用を取り巻く環境は大きく変化しています。こうした変化を知らずに従来の考えや手法で採用活動を続けていると、求める成果が得られないかもしれません。この記事では、採用環境の変遷と具体的な変化、採用力を強化するためのアプローチについて解説します。

目次

人口動態から見る採用環境の変化

現代の採用環境は人口動態の変化に強く影響されています。特に、労働力人口の減少、大学卒業生の動向、就職率の変動は、企業側の採用難易度と深く結びついています。

労働力人口の減少とその影響

▼図1「日本の人口推移」

出所:内閣府(2022)「令和4年版高齢社会白書」

図1のオレンジ色の棒グラフは労働力人口(15~64歳以下)を示しています。2000年と2025年を比べてみると、労働力人口は8,622万人から7,170万人へと1.5割以上も減少していることが分かります。わずか25年で約1,500万人もの労働力人口が減ったことで求職者一人当たりの企業数が増加し、採用競争の激化を招いています。

新卒人口の変動が意味するもの

▼図2「新卒人口の推移」

出所:内閣府「日本経済2019-2020」第2章 人口減少時代における働き方を巡る課題(第2節)

図2は新卒人口の推移を示しています。2000年と2040年の予測値を比較すると約50万人の減少が見て取れます。このように20代前半の人口は緩やかな減少傾向にありますが、就職率を表すグラフ(図3)を見ると、大学卒業者の数は年々増え、2022年時点での新卒者数は約59万人に上ります。

▼図3「大学卒業者数と就職率」

出所:文部科学省「令和4年学校基本調査確報報道発表資料」

一方、単純に「新卒者が増えているのだから採用しやすくなったのでは」と判断するのは早計で、数字の背景を知る必要があります。

1990年代後半から多数の私立大学が新設され、それまで大学進学を選択しなかった層の進学機会が増加、さらに奨学金制度の普及によって多くの人々が大学教育を受けるようになりました。

しかし採用の観点から見ると、偏差値60以上の能力を持つ学生の数は一定、あるいは減少しており、この層をターゲットにした採用の難易度は上がっています。新卒者数が増加しているからといって、企業が求める質の高い人材の採用は容易ではないのです。

また短大・専門学校卒の人数の減少は、結果的に多くの企業が新たに(4年制)大学卒の採用を強化する要因につながっています。かつて高卒や短大・専門学校卒が主流だった採用が、労働力人口の変動に伴い、大学卒中心へとシフトしているのです。

採用担当者がしがちな勘違い

こうした人口動態を受けて、実際の採用環境はどのように変化してきたのでしょうか。長期的な視点を持たなければ、採用に関して大きな勘違いをしてしまうこともあります。

「募集すれば採れる」という誤解

図4は景気の変動を簡単に示したものです。経済が下降している時期は市場に求職者があふれるため、容易に採用できる状況でした。その経験から、いまだに「募集すれば採れる」という感覚を持っている採用担当者もいます。

▼図4「景気変動と労働者人口の関係」

しかし、実際には景気が上向きの時期や、人手不足が顕在化した時期もあり、それらを一過性のものだと思い込んでしまっているケースもあるでしょう。過去の成功体験に縛られず、現在の採用環境の変化を正確に理解しなければ、採用の難易度は増していきます。緑色の矢印からも読み取れるように、今後、人手不足はますます顕在化することが予測されます。

採用難易度に対する認識のズレ

コロナ禍の影響で落ち込んだ経済が回復しつつあるものの、労働力人口や企業のニーズにあった人材は依然として減り続けています。より多くの予算を投じたり、募集条件を広くすれば対策できるとの認識があるかもしれませんが、多くの企業が同じような考え方で採用活動を行っているため、競争は日に日に激しさを増しています。

採用を成功させるためには、独自の採用戦略を立て、それに基づいて行動する必要があります。マーケティングのように、市場の変化に合わせて戦略をアップデートすることが必須の流れになってきているのです。しかし、採用担当者はこうした思考を持ち合わせていないことがほとんどです。

現実と認識のズレを放っておくと、採用活動の非効率や失敗のリスクが高まります。

採用環境を取り巻く10の変化

前提として、労働力人口の減少に伴って採用の難しさが増していることをお伝えしましたが、他にはどのような変化が起こっているのでしょうか。具体的に10のポイントを挙げます。

変化1:求人倍率の高止まり

新卒の人材が採れない現状を背景に、短期的な人手不足の穴埋めや即戦力の確保を目的として、中途採用を強化する動きが見られました。中途採用への需要が急増したことで、再び新卒採用へのアプローチに力を入れるものの、その動きは他社にも見られ、求人倍率は高止まりの状態になっています。

変化2:人材の流動化

従来のように一つの企業や業種に長く就く形態から、さまざまな職場を経験する、つまり転職が一般的になりつつあります。こうした人材の流動化は、採用環境にも影響を与えています。端的に、給与の高さも含めて「採用力の強い企業」のほか、カルチャーや仕事の内容など、求職者にとって魅力的な要素を持つ(あるいはそれをPRできている)企業に人材が流れる傾向があるのです。

変化3:女性や外国人の雇用増加

これまでは、出産や育児のため長時間の勤務が難しい女性を積極的に登用する企業は多くありませんでした。しかし人手不足を背景に、女性の雇用が増えています。同様に外国人の採用も増加しています。

日本政府も2016年4月に「女性活躍推進法」を施行しましたが(2022年改定)、ただ採用するだけでは女性の活躍を実現することはできません。女性も働きやすい職場環境を整えるための人事制度を導入しなければ、人材の定着にはつながりにくいので注意しましょう。

変化4:さまざまなツール、サービスの登場

採用代行やダイレクトリクルーティングといった新たな採用手法のほか、適正検査をはじめとした採用活動をサポートする各種ツールやサービスが増加しています。これらのサービスを効果的に活用することで、採用環境のトレンドに追いつくことや、採用活動の効率化が期待できます。ただしサービスの競合が多く、自社の規模や予算、ニーズに合った選定が必要です。

変化5:媒体と手段の細分化×増加

新卒採用、若手の中途採用、さらに業種や職種別など、求人媒体の細分化が進行中で、媒体数も増加しています。採用管理ツールを導入している場合、ツールとの組み合わせに対応していない求人媒体を選んでしまうことで、かえって管理業務が煩雑になってしまうケースもあります。

変化6:手間をかけることの重要度が増した

近年の採用活動は、以前と比較して明らかに手間が増しています。特に、求める人材の確保には、市場の詳細なリサーチとターゲットへの継続的なアプローチが不可欠です。

例えばダイレクトリクルーティングを行う際、ターゲットの転職意向が低いケースも少なくありません。面談の設定や継続的なフォローアップなど、企業が積極的に動くことが要求されます。加えて、手間をかけたからといってすぐに効果が得られるわけではないことを留意しておきましょう。

求職者は採用情報だけでなく、企業文化や働き方、そして従業員の声を含む多岐にわたる情報を判断材料にしています。従って、自社の従業員のスキルやキャリアを考慮し、長期的な視野で人材確保に取り組むことが重要です。

変化7:リモートワークの浸透

新型コロナウイルスの影響により、日本社会でリモートワークの導入が急速に進行しています。このため、地元や近隣地域のみで採用活動を行っていた企業も全国規模での採用が可能になりました。

しかし、地域的な制約がなくなったことで新たな競合企業が増え、採用難易度がさらに高まります。こうしたリモート化の波に対応するために、採用後の教育やリモート社員も参加しやすいイベントの整備など、従業員の定着をサポートする施策が重要になります。

変化8:新卒採用活動時期の前倒し

近年、インターンシップ募集の開始時期が早まり、採用活動の前倒しが顕著に見られるようになりました。こうした状況下で、24卒、25卒、26卒といった異なる年度の新卒採用活動を同時に進める企業も出てきており、採用担当者の管理事項や業務が複雑化しているのが実情です。

変化9:給与相場のシフト

業務内容や役割が決まっており、成果に見合った給与を支払う「ジョブ型採用」が増え、給与体系も変化しています。エンジニア職の新卒採用では年収800~1,000万円を設定する企業も出てきており、給与の高さが採用力の高さに直結するケースも見られます。こうした局面を理解し、採用戦略を見直すことが求められます。

変化10:情報収集の難易度が上がった

採用に関する変化が急速に進む中、必要な情報を収集し、最適な採用戦略を立てるのが一層難しくなっています。SNSやウェブサイト、採用関連のセミナーなど、情報収集のためのチャネルも増加しており、その中で適切な情報を選定するスキルが求められています。

採用環境の変化がもたらす採用担当者の負担増。採用力の差を埋めるためには

採用環境の変化に伴い、採用担当者の負担や責任は大きく増しています。採用競争で勝ち抜くためには、採用担当者が本来注力すべき採用戦略や計画の立案、面接・選考、内定者フォローといったコア業務にどれだけ時間を割けるかが鍵となります。

こうした時間を確保するため、さまざまな採用サービスの中から自社にマッチするサービスを選び、効果的に活用することが求められます。ノンコア業務にかける工数を削減し、コア業務を強化することが、今後の採用環境において採用力の差を生む要因となっていくでしょう。※こちらのページに掲載している情報は2023年9⽉時点のものです。

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ダイレクトリクルーティングの基礎・選び方・活用の解説記事

導入メリットやトレンドも解説! ダイレクトリクルーティングの基礎知識

  • 採用環境の変化

    女性や外国人の雇用増加、リモート化、新卒ルールなど採用を取り巻く環境変化について解説しています。

  • ダイレクトリクルーティングとは?

    採用手法としての位置づけや注目されている理由などを解説しています。

  • 導入するメリット・デメリット

    ダイレクトリクルーティングのメリット・デメリットを解説。向いている企業なども解説しています。

  • 基本的な手順

    採用の目的・目標を明確化、チャネルの選び方、フォローアップなど基本的な手順とその方法を解説しています。

  • よくある質問

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