第14回HR EXPO春(人事労務・教育・採用)|RX Japan株式会社第14回HR EXPO春(人事労務・教育・採用)|RX Japan株式会社

入社後のフォローで早期退職を防ぎ、エンジニアが活躍できる環境を整える

paiza株式会社の倉内です。前回までの連載で、エンジニアの採用準備・採用手法の選定・面接でのスキルの見極めなどを経て、ようやく内定承諾までたどり着きました。
入社で一段落といきたいところですが、「苦労して採用したエンジニアが入社後短期間で辞めてしまう」と悩む企業も少なくありません。
今回は、中途採用者の早期退職の原因と対策、そしてそれを防ぎ、できる限り早くパフォーマンスを発揮してもらうための方法についてご紹介します。

【これまでのコラム記事一覧】
https://at-jinji.jp/provider/column/593

目次

  1. エンジニアが早期退職を選ぶ原因
  2. 入社後のフォローは「オンボーディング」で
    ・オンボーディングとは
    ・オンボーディングの具体例
    ・オンボーディング導入のメリット
    ・実践時に気をつけたいポイント
  3. エンジニア採用の成功は「定着」までがひとサイクル

エンジニアが早期退職を選ぶ原因

早期退職には、大きく分けてふたつの原因があります。

  • 業務内容や条件などのミスマッチ
  • 入社後に業務や職場環境、人間関係になじめない

ひとつめの原因は、入社後ではなく、選考段階で問題があります。よって、採用要件の決定や選考での見極めのところで対策をする必要があります。
一方、ふたつめの原因は、企業側が中途入社の社員を「即戦力要員だからサポートをしなくてもよい」と考えがちな点にあります。

中途採用を実施する目的は、「退職者が出て急いで欠員を補充したい」「事業を拡大するので人を増やしたい」など、即戦力を求めてという場合が多いとは思います。
しかし、たとえ使う技術が同じだとしても必要な業務知識やスキル、そして開発文化は企業によって違います。まったく新しい環境に適応して仕事で成果を出すまでには、どれだけスキルや経験が豊富で前職で実績をあげていた人でもある程度の時間を要します。

そのため新卒・中途にかかわらず、新しいメンバーが早期に組織・チームになじみ、成果を出すためにはフォローアップが必要です。それを実現するのが組織全体で取り組む「オンボーディング」です。実際の仕事を通して学んでもらう「OJT」はその一環となります。

入社後のフォローは「オンボーディング」で

・オンボーディングとは

新卒・中途で採用した新入社員が帰属意識を持ち、組織の一員として早期に成果を出せるようサポートする仕組みのことを言います。
新卒の社員に対しては教育係となる先輩をつけ、OJTを実施する企業も多いかと思いますが、中途入社の社員にはあまりそういった機会を設けていないのではないでしょうか。しかし、オンボーディングは新卒や若手社員だけではなく、リーダーやマネジャークラスの社員も対象です。

・オンボーディングの具体例

組織の規模やチームの体制によって、どのような取り組みをすべきかは企業により異なりますが、例としていくつかご紹介します。

【具体的な取り組みの例】
・入社日にオフィスツアー(配属部署以外との顔合わせ)を実施する
・メンター役となる先輩社員についてもらう
・同じ職種の先輩社員からOJTを通して実務を教えてもらう
・入社後1週間、2週間、1カ月、3カ月、6カ月で人事面談を実施する
・自部署・他部署混合の少人数グループで歓迎ランチを実施する
・入社後1カ月程度のスケジュールを提示し、日々達成・未達成の確認をする


GoogleやTwitter、メルカリを先行事例とし、昨今では、新入社員の受け入れにオンボーディングを取り入れる企業が増えてきました。
(参考:Googleのオンボーディングについて)
「Eight Things Google Does to Onboard their New Hires」

・オンボーディング導入のメリット

中途採用者が早く組織に馴染み、力を発揮してくれるか否かは、企業の成長を大きく左右するといえます。

オンボーディングを導入するメリットは大きく以下の3つが挙げられます。

  • 新しいメンバーを短期間で戦力化する
  • 既存社員を巻き込んだ取組みのため組織の一体感・結束力を高める
  • 早期退職を防ぎ採用コストを抑える

オンボーディングは、新入社員がすばやくチームに馴染み即戦力として活躍してくれるという目的があると同時に、企業のミッションやビジョンへの共感、文化の理解、社員との信頼関係の構築など帰属意識を高めることも目的としています。

これらは採用担当者だけでは実現が難しいため、配属先の部署の社員・上司はもちろん組織全体で重要性を共有して取り組んでいく必要があります。

・実践時に気をつけたいポイント

オンボーディングを導入するにあたって気をつけたい3つのポイントをお伝えします。

  • オンボーディングの目的を既存社員に周知する
  • 受け入れ部門やチームだけではなく組織全体で準備・歓迎するマインドを持つ
  • 実施後は評価や効果検証を実施し、事業フェーズなどに合わせて内容を見直す

特に重要な時期は、仕事内容をひと通り覚え、入社直後の緊張も落ち着き「自分は組織になじめているか」「この転職は成功だったか」と冷静に考える、入社後3~6カ月です。

また、中途入社の社員ほど「早く成果を出さなければ」と焦る傾向にあります。
エンジニアであれば、これまでの経験やスキルを生かして転職したと思いますので、転職先でもプロダクトやサービスへコミットすることに責任を感じているはずです。

新入社員へは、組織としてもしくはチームとしての大きな目標だけでなく、期待値をある程度ブレイクダウンして伝えることが大切です。たとえば、1週間単位で具体的な達成目標を掲げてみたり、入社直後は1日単位でリーダーや上司と振り返ったりするのもよいと思います。

コミュニケーションのハードルを取り除く取り組みも、社員任せではなく、1on1の機会を設けるなど仕組みで解決していきましょう。

エンジニア採用の成功は「定着」までがひとサイクル

採用した社員が短期間で退職してしまう理由は、さまざまなパターンがあると思います。入社後のフォローだけですべてを防ぐことは難しく、採用過程でミスマッチやギャップをできる限り減らしていく必要があります。

そのため、今回説明したようなオンボーディングを初めて導入する場合、「企業にとっては、単にコストが増加するだけなのでは」と感じるかもしれません。
しかし、どれだけ採用人数が計画に沿っていても定着しなければ組織は成長しません。特に優秀なエンジニアは、転職先に困ることはありませんので、職場環境が合わない状態でその会社に我慢して留まることはほとんどないと考えてよいでしょう。

中途採用者の帰属意識を高め、早期に戦力化することは、短期退職を防ぐのはもちろん、組織にとっての利益にもつながります。

当連載では、ここまで10回にわたり、エンジニアの採用についてご説明してまいりましたが、今回でひと区切りとなります。ここまでお伝えしてきた通り、採用は採用計画・準備・選考を経て、入社した方が組織やチームになじみ、パフォーマンスが出せるようになるまでがひとつのサイクルです。連載で解説したナレッジやノウハウが貴社のエンジニア採用の一助となりましたら幸いです。

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