優秀なエンジニアが応募してきたら何を話す? 選考途中で辞退されないための面接手順
paiza株式会社の谷口です。前回の記事では、実際の採用選考でエンジニアを面接するために必要な準備についてお話ししました。今回は、優秀な応募者に選考途中で辞退されないための面接手順についてお話しします。
採用担当のみなさんは、面接後に応募者から辞退されてしまった経験はありませんか? 辞退が続くような場合は、残念ですが「エンジニアに嫌われるような面接」になっている可能性が高いと言えるでしょう。エンジニアの面接で話すべき内容や、面接の進め方などについて解説します。
【前回記事】:エンジニアのスキルを見極めるには? 面接前にやっておきたい下準備
目次
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- エンジニアの採用面接とはどのような場なのか
- エンジニアの採用面接では何を目指すべきか
- 途中辞退を減らすための面接手順と注意点
【まずは自社紹介から】
【エンジニア同士で技術的な話をしてもらう】 - 採用面接的な質問
- まとめ:エンジニア面接の手順と注意点
エンジニアの採用面接とはどのような場なのか
エンジニア採用を担当されているみなさんは、面接をどのような場だと思っていますか?
面接とは、採用する側が一方的に応募者を選ぶ場ではありません。特に超売り手市場が続いているIT業界では、むしろその逆で「優秀なエンジニアに自社のことを紹介し、興味を持ってもらい、選んでもらう場」であると言っても過言ではありません。この意識が抜けていると、まず優秀なエンジニアを採用することはできないでしょう。
エンジニアの採用面接では何を目指すべきか
エンジニアの面接で面接官が目指すべきは以下のようなことです。
- 応募者に自社への興味を持ってもらうこと
- 採用したい応募者に、とりあえずでも「次の選考に進んでみるか」と思ってもらうこと
- 不採用の応募者にも「悪くない企業だったな」と思ってもらうこと
優秀なエンジニアは、今や引く手あまたの超売り手市場で、転職先などいつでも選び放題です。気が向いて自社の面接に来てくれた優秀なエンジニアは、ほかにもたくさんの企業から「ぜひうちに来てください」と言われていると思って間違いありません。面接を通して嫌な印象を受けた企業や、説明が不十分だった企業は、その時点で「ここはやめておこう」と容赦なく辞退されてしまいます。
それだけならまだしも、周りのエンジニアたちに「あの企業はやめておいたほうがよい」と口コミを流される可能性もあります。たとえ選考段階で「スキルが足りない、マッチしない」などと判断した応募者であっても同じです。落とした人にも「あの企業はいい感じだったな、落ちて残念だな」と思ってもらえるような面接を目指しましょう。
途中辞退を減らすための面接手順と注意点
次に、エンジニアを面接するときの具体的な手順と注意点について解説します。
【まずは自社紹介から】
自己紹介を求める前に、自社紹介をしましょう。ここで言う自社紹介とは
- 事業内容や開発環境
- 今回の求人ではどんなポジションにどんな人を採用したいと思っているのか
- 入社したらどんなチーム構成でどんな仕事をしてもらうことになるのか
- 自社や開発チームが抱えている課題点
などです。
優秀なエンジニアであるほど転職先に困っていません。よほど革新的なサービスを扱っているなどでなければ、最初の面接の時点から「ぜひ御社に入社したい!」と思っている人は少ないでしょう。「どこを選ぼうかな」「知ってるサービスの中のエンジニアと話してみたい」といった気持ちで面接に来ている人のほうが多いと思うべきです。まずは自社紹介を通して、興味を持ってもらう段階から始めましょう。
自社紹介では、説明用の資料などをあらかじめ用意しておくとスムーズです。また、説明後の質問タイムは必ず取ってください。エンジニア側の疑問や懸念を最初に取り払っておくことが大切です。
冒頭で紹介した前回記事「エンジニアのスキルを見極めるには? 面接前にやっておきたい下準備」で、開発環境や業務についての説明内容の準備をする点を詳しく紹介しています。それ以外の部分も今回紹介する内容と関連性が高いため、ぜひあわせて参考にしてください。
なお、ときどき「会社の課題点を明確に話さずに自社をよく見せよう」とする採用担当者の方がいますが、これは逆効果なので絶対にやめてください。優秀な応募者は「課題がない企業なんてこの世に存在しない」「課題がなかったら求人募集する必要なんかない」「入社したらすぐバレる情報を選考段階で隠す企業は、ろくな企業ではない」ということを知っています。自社の現状を伝えたうえで、なぜエンジニアを求めているのか、採用後に何を期待しているのかを話すほうがエンジニアの心象はよくなります。
【エンジニア同士で技術的な話をしてもらう】
応募者は「応募先のエンジニアと技術的な話ができる」と思って面接に来てくれています。逆に言えば、技術の話ができないような面接では「無駄な時間だった」と思われても仕方ありません。自社紹介の後は、自社のエンジニアに技術的な話をしてもらいましょう。
たとえばこのような話です。
- 弊社の開発環境はこんな感じですが、現職ではどんな環境で開発されていますか?
- 最近勉強されている技術やこれから使ってみたい開発環境などはありますか?
エンジニアが面接に一人も出てこない企業は、残念ながら話になりません。あなたが採用担当者であれば、現場のエンジニアを巻き込んで必ず面接に出てもらってください。応募者とエンジニアに話してもらわない限り、エンジニアを採用していくことは難しいでしょう。それもあって、現在はエンジニア経験のある人事やHR領域に一定の知見を持つエンジニア(これらの人材は「人事ニア」とも呼ばれます)も増えています。
スカウトをした相手が面接に来てくれた場合
多くの求人サービスでは、企業側からスカウトメールを送れる機能が使えるようになっています。自分から応募してきた人と比べると、スカウトを受けて面接に来てくれた人は、応募時点での入社意欲は高くありません。「スカウトが来たからとりあえず話を聞いてみよう」程度の興味しかない場合も多いです。そして、スカウトを受けた人が気になっているのは、「どうして自分にスカウトをくれたのだろう?」という点です。
ですから、スカウトメールからの応募者に対しては、経歴やプロフィールをきちんと見た上で『こんなところがうちの開発チームに合いそうだと感じたので、ぜひお会いしたいと思って、スカウトを送りました』といった話ができるようにしておきましょう。これができると「自分の経歴やスキルをそんなふうに評価してくれたんだ」とよい印象を持ってもらいやすいです。
採用面接的な質問
ここまでの話ができて、やっと転職やキャリアについての質問ができます。間違ってもいきなり「弊社を志望していただいた志望動機を教えてください」などと言わないようにしましょう。
上記の1と2についてしっかり話した上で、改めて
・なぜ現職からの転職を考えているのか
・今回の転職でどんな希望をかなえたいのか
・今後はどのようなキャリアや開発分野に進みたいのか
・前職・現職での経験や開発に対する考えの深掘り
などに関する質問をするとよいでしょう。少なくとも面接開始直後にいきなり聞くよりは、応募者もスムーズに話しやすいはずです。スムーズに話せた面接は、応募者にとっても「よい面接ができたな」という印象が残ります。
まとめ:エンジニア面接の手順と注意点
・エンジニア同士で技術の話をしてもらう
・応募者の情報を事前に見て「こんなところを評価している」ということを伝える
今回は、優秀な応募者に選考途中で辞退されないための面接手順をテーマに解説してきました。
実際の面接では、何よりも社内のエンジニアとしっかり話してもらうことが必要です。上記のようなポイントを押さえた上で、応募してきてくれたエンジニアに対して、自社に興味を持ってもらえる面接を実施していただけたらと思います。
次回は、エンジニア採用がうまくいっている企業がやっているPDCAサイクルについてご紹介します。
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