健康管理システム導入成功のカギ|よくあるトラブルを解説

健康管理システムの導入は、企業の生産性向上や従業員の健康維持に必要不可欠なツールです。しかし、導入・運用の過程で多くのトラブルが発生することがあります。このページでは、これらのトラブルとその解決策、そして成功のポイントについて詳細に解説します。

目次

  • 健康管理・健康管理システム導入・運用のよくあるトラブル
    健康管理におけるよくあるトラブル
     紙ベースで管理していて情報を一元化できない
     そもそも従業員が健康診断を受けてくれない
     担当者の知識・リソース不足で手が回らない
    健康管理システム導入・運用のよくあるトラブル
     機能が多すぎて使いこなせない
     他システムと連携できない
     医療機関ごとのデータ取り込みが面倒
     産業保健活動における独自運用に合わせられない
  • 健康管理システム導入に失敗しないためのポイント
    ポイント1:自社の課題・状況をあらかじめ整理する
    ポイント2:医療機関とシステム提携しているか確認する
    ポイント3:機能・ベンダーのサポート範囲で比較する
    ポイント4:必要なら産業保健師との連携も検討する
  • 十分に比較検討して健康管理システムを選ぼう

健康管理・健康管理システム導入・運用のよくあるトラブル

健康管理とシステム導入・運用には、多くのトラブルが潜んでいます。失敗を避けるために、どのようなトラブル事例があるか事前に把握しておきましょう。

健康管理におけるよくあるトラブル

紙ベースで管理していて情報を一元化できない

従業員の健康診断結果、病院での診療記録などの健康データを紙ベースで管理してしまうと、情報がバラバラになったり、検索・閲覧時に手間がかかったりするなど、運用が煩雑になりがちです。事業拡大などで従業員数が大きくなると、抜け漏れや情報漏えいなどのリスクもその分高まります。

この非効率的な運用のまま放置していると、管理する側の担当者のリソースが圧迫され、結果として企業の健康管理の質が低下し、従業員の健康リスクの増加・エンゲージメントの低下につながります。

そもそも従業員が健康診断を受けてくれない

企業は健康診断を従業員に受けさせる義務があるとはいえ、「仕事が忙しく、健康診断を受診する時間が取れない」「行くのが面倒」などの理由で健康診断を行きたがらない従業員もいます。2019年の厚生労働省による「国民生活基礎調査」における「健診や人間ドックを受けた者の割合(20歳以上)」では、男性で74%、女性で65.6%であり、約3割の人が年に一回の健康診断を行っていないことが分かります。

出所:厚生労働省「健診や人間ドックを受けた者の割合(20歳以上)|2019年の国民生活基礎調査」をもとに作成

そのため、データを管理しようとしてもそもそもデータがないという事態もありえます。

しかし、従業員が健康診断を受けないと、未発見の健康問題が悪化し労働生産性の低下や長期の休職、最悪の場合健康上の理由による離職を招く可能性があります。

担当者の知識・リソース不足で手が回らない

健康管理業務は多岐にわたります。人事労務や総務が兼任で健康管理業務を行っていることが多いため、健康管理に関わる労働安全衛生法の知識がそもそも不足していたり、リソース不足で手が回らなかったりすることも。

担当者のリソース不足によって、健康管理の品質が低下し、従業員への適切なサポートが遅れる、あるいはできなくなる可能性があります。その結果、従業員の健康問題が見過ごされることにつながってしまいます。

健康管理システム導入・運用のよくあるトラブル

機能が多すぎて使いこなせない

健康管理システムの中には、健康診断業務を管理するだけでなく、健康データの分析・評価や改善アクションのサポートまで行ってくれるものもあります。システム機能が多すぎると混乱や操作ミスの原因になり、効果的・効率的な運用が難しくなります。効率化のために導入したのに、かえって管理業務の負荷の増大につながるでしょう。

他システムと連携できない

健康データには、残業時間や欠勤率などの勤怠情報も含まれます。他システムとの連携ができないと、データの一元管理が困難になります。一元管理ができないことでデータの不整合や重複が発生し、企業の労務管理の効率と品質への悪影響につながります。

医療機関ごとのデータ取り込みが面倒

テレワーク・在宅勤務制度を導入している企業は、従業員が健康診断を受ける医療機関がバラバラになってしまいます。医療機関の数だけデータを取り込まねばならないため、大変な手間が発生。データ取り込みの手間が多いと、データの不ぞろいが発生し、正確な健康管理ができなくなる可能性があります。

産業保健活動における独自運用に合わせられない

それまで自社独自ルールで産業保健活動を運用していた場合、システムを導入することでかえって運用ルールの変更などが生じて、負担がかかってしまうこともあります。システムの利用制約や運用の非効率は、企業の健康管理活動に支障をきたしてしまうでしょう。

健康管理システム導入に失敗しないためのポイント

ここからは、システム導入で失敗しないようにあらかじめ押さえておくべきポイントを紹介します。

ポイント1:自社の課題・状況をあらかじめ整理する

健康管理システムを導入する前に、自社の課題や状況をしっかりと整理しましょう。必要な機能や規模をあらかじめ明確にすることで、自社に適していないシステムを選ぶリスクを低減できます。

例えば、「健康診断管理を効率化したい」「健康データの分析調査まで行いたい」など、企業ごとのニーズは異なります。これらの情報を整理し、ベンダーに具体的な要望として伝えることで、最適な提案を受けられるでしょう。

また、現状の業務フローを見直し、システム導入によって効率化できる部分を明確にすることも重要です。効率化したい部分や、そのために必要となる機能を洗い出せます。

ポイント2:医療機関とシステム提携しているか確認する

健康管理システムの中には、全国の医療機関と提携しているものもあります。提携しているシステムであれば、健康診断結果や通院履歴などの健康データを簡単に取り込める上に、従業員の健康サポートに関して医師との連携も取りやすくなります。

また、医療機関との提携はシステムの安全性の保証にもなります。どれくらいの医療機関と提携しているのか事前に確認を取りましょう。

ポイント3:機能・ベンダーのサポート範囲で比較する

システムの運用中に発生するトラブルやアップデートに対応するためには、ベンダーからのサポートが不可欠です。サポートの受付時間や対応スピード、改修・アップデートにかかる追加コストなどを事前に確認し、導入における相談だけでなく長期的な運用を見越した適切なパートナーを選定しましょう。

例えば、健康経営を見越して産業保健スタッフやコンサルタントまで入って運用をアドバイスしてくれる包括的なサポートのほか、セキュリティサポート、データのバックアップや修復のサポートがついているサービスもあります。

関連ページ:健康管理システムの比較と選定ポイント

ポイント4:必要なら産業医・保健師との連携も検討する

健康管理システムサービスを提供するベンダーの中には、産業医・保健師といった専門職の人材紹介やコンサルティングを通じて、健康管理業務をトータルで伴走支援する企業もあります。また、多くの企業を兼任している産業医・保健師であれば、健康管理業務や健康管理システムの効率的な運用方法についてのノウハウ・知見があるため、不安な場合は産業保健スタッフとの連携も視野に入れると失敗が少なくなります。

関連ページ:健康管理の方法と産業医の活用

十分に比較検討して健康管理システムを選ぼう

健康管理システムの導入は企業の生産性向上や従業員の健康維持に不可欠ですが、慎重な計画が必要です。失敗しないポイントをもとに、各システムを十分に比較検討し、企業のニーズに最適なサービスを選定しましょう※こちらのページに掲載している情報は2023年10月時点のものです。

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