インターンシップの第一人者・futurelaboが答える
インターンシップで成果を出すためのFAQ
就活ルールが廃止になると、学生との早期接触の重要性がさらに高まる。インターンシップの有効性は多くの人事、経営者が知るところだが、企業によってはいまだ手探りのまま実施しているところもあり、成果に差が出ている。そこで、大学1~4年生を対象に年間20万人以上のインターンシップ参加を支援する「インターンシップガイド」の運営会社であるfuturelaboの長谷川 公哉氏に、読者から寄せられた質問に回答してもらった。
(長谷川 公哉氏)
Q. すぐに採用に直結しない1、2年生に対してインターンシップを行う意義とは? また効果的な実施方法は
1年間単位で採用計画を立てていると、どうしても採用にすぐに繋がらない1、2年生向けの施策は後回しになり、3、4年生向けの施策にばかり目がいってしまいがちです。しかし、だからこそ1、2年生を対象にしたインターンシップを実施すると、他の企業があまり実施していないため優秀層に届きやすくなります。1、2年生でインターンシップに興味を持つのは意欲の高い優秀層が多く、また他の企業をまだあまり訪問していないため、良い印象を与えれば志望企業に加えてもらえる確率が高くなります。
長期インターンを現場で受け入れる準備があれば、ぜひ実施したいところです。実際の仕事を体験してもらうことで学生と企業はお互いに適性を見極めることができるため、学生に長期インターンとして働いてもらった後に即戦力として社員登用というパターンはよくあります。3年生だと就活ムードで他のいろんな企業を訪問したりと学生が忙しくなってしまうため、1、2年生の方がじっくり育てやすく、企業に貢献できるレベルまで持っていきやすいということもあります。
短期インターンであれば、学生に企業を知ってもらって就活時の候補に加えてもらうことが主な目的となりますね。1、2年生だと志望業界も特に決まっていないことが多いため、業界の基本的なビジネスモデルや仕事内容をわかりやすく伝えて学生の業界研究や仕事理解の手助けになるようにすると満足度が高まります。
Q.不人気業界でインターンシップを成功させるための方法(主に集客、プログラム)とは
企業や業界そのものの人気に頼らずに多くの学生を集めるインターンシップのプログラムを企画するなら、勘所になるのは『意外性×複数の選択肢』です。インターンシップが一般化しつつある昨今、多くの企業がインターンシップを開催しています。しかし一方で、プログラムはワークショップやグループディスカッションが主で、インターンシップのコモディティ化が起こっています。
その中で、一部の企業は『意外性のある』インターンシップを企画し、学生の中で話題になっています。企画内容は、社員との山登り、事業を理解できるボードゲーム、オリジナルキーボード作り、役員とのディナー、無人島に1泊2日、社長のカバン持ちなど様々です。
インターンシップを開催する以上、学生を集める必要がありますが、インターンシップのコモディティ化により、母集団形成が難しくなっています。そこで『意外性のある』プログラムは、学生の目を引く話題性があり、参加への心理的なハードルを下げてくれる効果があります。
次に有効なのは『複数の選択肢』を用意することです。日程・人数やプログラム内容を多様に組み合わせて実施するということです。「少人数×短期」、「少人数×中期」、「多人数×短期」、「多人数×中期」といった複数の組み合わせでインターンを実施するだけでも、学生は日程を合わせやすくなりますし、自分の志向に合った内容のインターンに参加することができます。結果的に、集客できる学生数を増やすと同時に、多様な志向の学生と接触することが可能になります。
Q.優秀層が評価するインターンシップのプログラムとは(集客の人気ではなく、満足度が高いもの)
学生からの満足度が高いインターンシップは、『メンター制度』が充実している企業に多い傾向があります。メンター制度は、新入社員に先輩社員が寄り添い業務上の疑問を解消し、時にはメンタル的な相談にも乗る教育制度です。この制度をインターン生にも活用して、中には2人の学生に対して1人の社員が張り付き、その場で質問に答えたり、業務のFBを行ったりする企業も存在します。このような制度を採択しなくても、実際には人事や現場社員が学生の面倒を見たりアドバイスしたりすることにはなりますが、明確に「メンターがいる」方が学生は丁寧に対応してもらえていると感じるのです。人事部だけのマンパワーでは難しい場合は、他部署と連携したり、各回の定員を少なくしたりして実施しているようです。
他にも、『採用直結』のインターンシップは学生から人気が高いです。海外では以前から一般的ですが、日本でもインターンシップを経た学生を、他の学生より優遇する企業が増加しています。学生からすると、入社後のイメージができることで自信にもなりますし、他の学生と差を付けられるため入社への意向が高まります。企業からすると、優秀な学生を早期に囲い込めますし、事業・企業風土などをある程度理解した状態で入社させることができるわけです。
Q.長期インターンシップ生を受け入れる際に、人事ではなく現場の社員がうまく管理するためのコツは
長期インターンとして実際の仕事を学生に経験してもらうことには大きな意義があります。しかし、現場に入っている長期インターン生を人事が直接管理するのは困難。かといって現場社員に丸投げしてしまうと、自分の仕事で忙しい社員に放置されてしまったり、学生の興味とのミスマッチの発生に気づけなかったり、といった問題が起こりがちです。
そこで、現場社員が管理するための統一されたルールを作りましょう。具体的には、「日報」、「月次面談シート」といったフォーマットを作成し、提出を義務化するといったやり方です。日報ではその日の作業報告や起こった問題とその対策などを学生に報告してもらい、月次で目標達成率、新しくできるようになったこと、翌月目標などを学生に書いてもらった上で現場社員が面談を行います。学生が主体的に報告し、社員はそれに対しフィードバックをするという方式をとることで、学生の主体性を育てることができ、社員の負荷軽減にも繋がります。
日報の例 面談シートの例
人事担当者はそれらの報告に目を通し、学生が成果を出せているか、成長を実感できているかといったことをチェックして、問題があれば介入するというくらいの関わり方にすることで、過負荷にならずに長期インターンシップ生を管理できます。
インターンシップの活用で採用が変わる
学生と企業双方のマッチングを図り、優秀な人材と早期接触できるインターンシップ。『意外性×複数の選択肢』を持たせる、統一されたフォーマットを利用するといった工夫により、インターンシップをより効果的に実施できることが分かった。今ひとつインターンシップの成果が感じられない場合は、上で語られたポイントを実践してみてはどうだろうか。
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