イノベーションを実現し、日本の競争力を上げていくためには?

21世紀型のビジネス・スキル・フレームワーク:「ソフトスキル」の重要性

グローバル化に加えデジタル化が急速に進む今、コミュニケーション能力やリーダーシップのような、「ソフトスキル」の必要性が高まっています。今回は、ソフトスキルが重要視される理由と企業の課題、そして、ソフトスキルを身に付けるための方法をご紹介します。

「ソフトスキル」とは

仕事で求められるスキルは主に「ハードスキル」と「ソフトスキル」に分類されると言われています。
ハードスキルは、習得した知識の活用能力です。会計、ファイナンス、法律、プログラミング等、テストで測定できる資格や、体系立った知識を意味します。

一方、ソフトスキルは仕事の成果や経験によって裏付けられた、知識をパフォーマンスにつなげるスキルです。
例えば、コミュニケーション能力、リーダーシップ、ストレス耐性、デザイン思考、クリティカルシンキングなどを含みます。自動車の運転で例えるならば、標識や交通ルールを覚え認識することがハードスキルであり、実技を通して運転技術を身に付けることがソフトスキルと言えます。

ソフトスキルが重要な理由

現在ビジネスの世界は「第4次産業革命」あるいは「グローバリゼーション4.0」と称され、多くの企業がAIやロボティクスの活用に注力しています。技術革新が進み、例えばAIによって代替可能なタスクが増加していますが、一方で、創造性、他者との協調、説得、交渉といった、人間だからこそ発揮できる能力「ソフトスキル」を活用したより高度な仕事が求められています。

私たちはオートメーションやビッグデータを活用して、新たな価値を見い出していきますし、技術が進化したとしても、イノベーションを起こすのは機械ではなく人間であることは明白です。グローバル・ビジネスではソフトスキルを実践できる人財(人材)が重要視され、企業も従業員のソフトスキルの育成プログラムに注力しようとする傾向が見られます。

日本企業の課題

仕事における「エンゲージメント」は、会社や仕事に対する思い入れ、仕事をする上でのモチベーション(動機付け)や積極的な感情を意味しますが、このエンゲージメントについて、米国大手調査会社のギャラップ社が2017年に発表した各国調査(The State of The Global Workplace: Gallup,2017)によると、日本は139カ国中132位と最下位レベルです。

要因として、過度なコンプライアンスによるルールの多さ、それによるチャレンジ精神の低下、あるいは人事制度が社員のモチベーションを高めるレベルに達していない、などの理由が考えられますが、ソフトスキルを高めるには、チャレンジができる環境や、モチベーションの鼓舞が不可欠です。仕事への熱意のバロメーターとも言えるエンゲージメントが低いという課題は、ソフトスキルを育成していく上で日本企業の課題だと思います。

また、一般社団法人日本能率協会(JMA)が2018年に発表した経営課題の調査「経営・マネジメントに関するトレンド」のトップ10の第4位に「従業員エンゲージメント」というキーワードが初めてランクインしました。従業員のエンゲージメントが低い会社は、競争力を失います。このデータからも明らかに人事の課題が経営の課題になっていることがわかります。

現在、各企業の人事部は労務管理型に留まらず、経営目標達成のための戦略的人的資源活用「戦略人事」を再構築し、積極的に人財投資を増やしています。改善は得意な一方で、改革は苦手と言われる日本は、社員のエンゲージメントを向上させ、事業計画達成にむけグローバルリーダーを輩出するためにもソフトスキルの強化は喫緊の課題ではないでしょうか。

ソフトスキルはどのようにして身に付ける?

ソフトスキルはチャレンジを通じて備わるスキルです。ソフトスキルの向上には、行動を変えるきっかけとなる内発的な動機が関わると考えます。
例えば、初めてのプロジェクトや新しいポジションにトライする時には、必ず壁にぶつかる経験が伴います。そのような困難な状況に直面した際、チームのメンバーとのコミュニケーションを通じて新しいアプローチを考え、試行錯誤の上乗り越えた時に、ソフトスキルは実地体験として蓄積され、自分の自信が高まっていきます。

私自身、以前あるグローバル企業に勤務していた時、出張先のアメリカで日本人一人だけのプロジェクトに初めて参加した際に、英語で思うように自分の意見を伝えられずもどかしい思いをしました。
そこでビジネス英語やコミュニケーション方法、異文化理解の必要性を痛感し、トライ・アンド・エラーで学びながら積極的に相手に向かっていけるようになりました。うまくいかない経験が、結果的にはソフトスキルの向上につながった一つの例だと振り返ります。

ソフトスキルをトレーニングするために、センスメイキング(意味づけと説得)、デザイン思考(1)、クリティカルシンキング(2)などの強化が挙げられますが、活字による学習だけではなく、ワークショップやロールプレイのプログラムに参加し、体験から学ぶことも有効です。
<注釈>
(1)スタンフォード大学で提唱/実践されているデザイナーのような発想方法でクリエイティブに物事を捉える思考
(2)物事の結論を導く過程において、「なぜ」「本当にそうなのか」と批判的に問うことで納得のいく結論に到達するための思考法

rawpixelによるPixabayからの画像(上画像含む4点 )

Excedoを例に紹介すると、コンテクスト(状況)を重視し、疑似的に実践的な体験ができるよう工夫されています。これにより、学習者同士が実際のビジネスで起きているようなストーリーを再現したビデオ・ケース・スタディをもとにロールプレイを行うことで、適切なコミュニケーションの方法やスキルを学習できます。

演じるドラマの舞台は「WhatIf」という、架空のIT系グローバル・スタートアップで、多国籍スタッフが先進的な働き方をしているこの会社の内外で起こるビジネス・コミュニケーションの課題を教材にしています。例えば「取引先からコスト削減を迫られる」「SNSで自社サービスへの批判が拡散される中、短期間で対応策をまとめる」など、具体的な場面を想定したシナリオに基づいて、各学習者には役柄(ロール)が割り振られます。

「交渉力のコース」ではコーチが立ち会う中、学習者は英語で相手の要求を聞きつつ、相手の感情にあわせて自分の意見を述べ、コーチからのフィードバックを受けることができるので、リアルな体験からソフトスキルのトレーニングを行うことが可能です。

ダイバーシティ&インクルージョンが企業の成長の原動力になる

時代に応じて求められるビジネス・スキルは絶えず変化していきます。Excedoのプログラムを構成するスキルフレームワーク(下図)は、世界経済フォーラムやOECDが提唱する「21世紀型スキル」をもとに構成しており、まさに今必要なスキルに対応しています。

図:Excedoのプログラムを構成するスキルフレームワーク【図:Excedoのプログラムを構成するスキルフレームワーク】

世界市場がひとつに統合される現在、日本から世界各国で活躍する人もいれば、海外から日本に来て働く人たちも増えています。ダイバーシティ&インクルージョンが企業の成長の原動力になり、あらたな価値観が生まれます。イノベーションを実現して、日本の競争力を上げていくためには、ソフトスキルは非常に重要です。今後もソフトスキルの重要性を提唱し、グローバル人財の育成に貢献していきたいと考えています。

<参考情報>

【関連記事】世界のビジネスで戦える人財育成について
Excedo ホームページ:https://www.excedo.com/jp
Excedoプログラム紹介ビデオ:https://www.youtube.com/watch?v=hyPToIn_6T0

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