もっといい職場 もっといい自分

「いい職場」とは何かを考えてみる

このコラムは、「もっといい職場 もっといい自分」がテーマです。経営者、人事管理部門の方(特に役職者)へ向けて、「いい会社」「いい職場」とは何なのかを、労務管理の2つの視点(ハード面「諸制度」、ソフト面「人間関係・コミュニケーション」)から指摘し、「いい会社」「いい職場」づくりのきっかけをご提供したいと考えています。第1回目は「いい職場」とは何かについてみなさんと考えてみたいと思います。

目次
  1. 職場とは、あらゆるものを含む
  2. なぜ、いま、「もっといい職場」なのか
  3. 職場と上司
  4. 人という存在価値は対等である
  5. まずは、確認してみよう

職場とは、あらゆるものを含む

とても漠然としていますが、自分にとっていい職場と悪い職場(または嫌な職場)のどちらが良いかと聞かれたら、よほど変わった人でない限り、いい職場のほうが良いですよね。

では、いい職場とは何なのか? と聞かれたら、これは、人によってさまざまな答えがあるでしょう。職場は人が集まっての職場です。仮にリーダーと6人の部下がいる部署でも構成・メンバーが変われば、部署のカラーも変わります。職場とは、単に組織の枠組みやポストではなく、そこに集結する一人ひとりから生まれる人間関係や全体的なカラー、目に見えないマンパワーを含むものです。

なぜ、いま、「もっといい職場」なのか

厚生労働省が発表した、「平成27年度個別労働紛争解決制度の施行状況」によると、総合労働相談は8年連続100万件超、内容は「いじめ・嫌がらせ」が4年連続トップです(図1参照)。また、「総合労働相談」のうち、民事上の個別労働紛争の相談内容では「いじめ・嫌がらせ」が66,566件と、4年連続で最多となっています。これはほんの氷山の一角に過ぎません。実際の件数はもっと多いはずです。

仕事をする環境で言えば、ひと昔前に比べて設備面や使用するモノやサービスに関して格段の進歩、利便性の向上があります。しかしながら、ヒトとヒト、人間関係においては、なかなかどうして、変わらないのか、悪くなっているのか、とても残念な状況です。

私たちがいろいろな経験をして人生を作り上げていくなかで、仕事が活動時間の多くを占めています。その場や環境が「職場」です。したがっていい人生を送りたいと思うなら、職場もいい職場であるように、より良い職場になるようにすることは、会社のためにはもちろんですが、私たち一人ひとりにおいても、とても大事なことなのです。

統計の数字がすべてではないのですが、この数字を見る限り、いじめや嫌がらせが職場にたくさんあることは間違いありません。そのような職場が気持ち良く働ける職場なのかと言ったら、ノーでしょう。私たちはもっといい職場について、考え、諦めずに取り組む必要があると思います。

職場と上司

「職場」という言葉を聞いて、一番先に頭に浮かぶことはなんですか? 「うちの職場の上司は、これこれこういう性格で・・・」とか、「上司に●●という人がいて・・・」など、“上司“を思い浮かべた人も多いのではないでしょうか。

「上司が最大の職場環境」ということばを聞いたこともあります。
いま上司であるあなたも、新人の頃を思い返したとき、上司のことが頭に浮かんだのではないでしょうか? 実際、部下は上司のことをよく見ています。

いい職場をつくるにあたっては、上司のみなさんがキーマンであることは間違いないですね。

人という存在価値は対等である

職場にいる人たちは、職位や経験、もっているスキルなど、人それぞれです。職場には上司がいて部下がいて、新人もいます。職位の高い低いは、偉い人間か偉くないかとは関係ありません。求められる役割、責任、裁量などが違っているのです。

ですから一人の人として、よくよく見てみると、私たちはみな対等なのです。人間という存在の価値は対等なのです。自分を必要以上に大きく見せて、相手に圧力をかけたり、必要以上に小さくなってへりくだったりする必要はないのです。

まずは、確認してみよう

あなたの会社は、何をする会社ですか? どんなことをする会社ですか?
あなたの会社の経営理念は何ですか?
あなたの部署の役割は何ですか?
あなたの部署の存在意義は何ですか?

自分の会社がどのような事業をしていて、どのような経営理念を掲げているのか?
自分の部署は会社の事業のためにどのような役割を持っているのか、部署が存在する意義は何なのか?

上司のあなたは、この質問に迷わず答えられますか。
そして、あなたの部下も、この質問をしたときに答えられるでしょうか?

もし、部下の中であいまいな部分がある人がいたならば、その人が分かるような方法で、言い方で伝えてあげてください。みんなで考えてみるのもとても良いと思います。

職場全体で、これらを理解できていることは、組織としても強い組織につながります。
いい職場につながる一歩です。

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