「なんとなく」で決めない! 新入社員研修サービスの失敗しない選び方

「教育に慣れた専門家から研修を受けられる」「社内にはない新しい視点を得られる」など、新入社員研修の外部委託には多くのメリットがあります。研修サービスにはさまざまな種類があるため、どのように選んだらよいか悩むこともあるのではないでしょうか。
このページでは、新入社員研修サービスの探し方・選び方のポイントをまとめて解説します。

サービスを探すときのポイント

新入社員研修サービスを探すときには、以下のポイントを押さえましょう。

新入社員研修の目的・目標の明確化

新入社員研修で身に付けさせたい知識やスキルの種類・度合いによって、適したサービスは異なります。例えば、ビジネスマナーは、多くの研修サービス会社が得意としている分野ですが、業界知識を学ばせたいときは、業界の協同組合などによる研修のほうが効果的です。
目的を明確化する方法としては、以下を押さえておきましょう。

  • 経営者から意見聴取し、人材育成方針を確認する
  • 配属先となる予定の上司や先輩から、身に付けさせたいスキルを確認する
  • 2年目の社員にヒアリングし、新入社員研修で学んでよかったこと、逆に学んでおきたかったことを把握する

なお、新入社員研修の目標の設定方法については、「新入社員研修についてよくある質問【設計編】」の「新入社員研修の到達目標はどう設定するのがよいですか?」もご参照ください。

外部委託する目的の明確化

新入社員研修を外部委託する目的を明確化してから、新入社員研修サービスを探しましょう。外部委託の目的は、人事部門の負担軽減でしょうか。それとも、外部講師による専門性の高い研修を行うことでしょうか。研修の外部委託には、多くのメリットとともに、デメリットも存在します(詳しくは「外部研修は役に立つ? 新入社員研修を外部委託するメリット・デメリット」)。「なんとなく」「これまでもやってきたから」という理由で外部委託を決めてしまうと、場合によっては費用の無駄になりかねません。本当に外部委託すべきなのかを検討したうえで、新入社員研修サービスを探しましょう。

これまでの新入社員研修における課題の明確化

これまで新入社員研修を行っていた場合は、過去の課題を明らかにしておきましょう。社内研修や、これまで利用してきた外部サービスでうまくいかなかったポイントを列挙し、それらの課題を解決できるサービスを探すことが重要です。
例えば、「受講者のモチベーションが上がらない」という課題がある場合には、「研修形式に問題がある」「受講者や現場のニーズに応えられていない」といった理由が考えられます。それらを分析したうえで、例えば、グループワーク形式の研修を取り入れていたり、事前課題(アンケート)を実施してニーズを把握したりしている研修サービスを選ぶとよいでしょう。

サービスを比較するときのポイント

いくつかの研修サービスが見つかったら、以下のポイントで比較し、利用するサービスを決定しましょう。

プログラムの内容

自社に必要なカリキュラム・プログラムを提供しているかをチェックしましょう(必要なカリキュラムの把握の仕方については、「新入社員研修についてよくある質問【設計編】」の「 新入社員研修のカリキュラムはどのように決めればよいですか?」を参照)。

それぞれのプログラムにおける専門性と、その研修サービス会社の得意分野も判断基準となります。過去の実績を確認し、研修実績の豊富な業種や、得意なカリキュラムを確認しましょう。得意分野と自社のニーズがマッチしている研修サービスを選ぶことがポイントです。
なお、研修そのものが目的になっている企業は、よいサービスを提供しているとはいえません。以下の表では、新入社員研修の質を見極める、具体的なチェックポイントを紹介します。

質の高い研修会社 質の低い研修会社
研修の目的 研修成果、人材育成 研修そのものが目的
商品 問題解決の手段 講師やプログラムそのもの
提案内容 フォローアップ、シリーズ化、OJTとの連動、仕組み化 単発・単品の研修
フォーカス トップ・研修担当者・受講者のニーズ 人気の講師、評判のよい研修
立ち合い 内容・反響のチェック、運営のサポート 講師を連れてくるだけ
フォロー 今後の課題の発見・提案・アドバイス なし
アンケート 期待とのギャップ、反省、プログラムの修正 満足度のみチェック

松下直子、茅切伸明著『[実践]社員教育推進マニュアル』(PHP研究所、2008年)より作成

プログラムの柔軟性

自社の企業理念や人材育成方針、業務プロセスなどと研修内容にミスマッチがあると、十分な研修効果を得られません(詳しくは「外部研修は役に立つ? 新入社員研修を外部委託するメリット・デメリット」を参照)。自社や業界の置かれている現状を把握し、それに合った適切な研修プログラムにカスタマイズしてくれるサービスを利用しましょう。

講師

講師の質は、研修効果に大きく影響します。講師の選び方については「新入社員研修についてよくある質問【設計編】」の「新入社員研修の講師はどのように決めるのがよいですか?」をチェックしてみてください。

実施形式

新入社員研修サービスの形式には、講師派遣、社外セミナー、通信教育、動画配信などがあります。自社のニーズに合った形式のサービスを選びましょう。それぞれのメリット・デメリットについては「外部研修は役に立つ? 新入社員研修を外部委託するメリット・デメリット」をご参照ください。

受けられるサポート

研修会社から受けられるサポートには、研修設計の支援、会場の手配、道具や機材の準備、アンケートの集計などがあります。また、フォローアップができるかも重要なチェックポイントです。例えば、課題やレポートを提出させ、そのフィードバックをしたり、結果を集計したりしているサービスを選べば、研修効果を高めることが期待できます。

費用

予算に合った費用でサービスを提供している研修会社を選ぶことが、ひとつの前提になります。
研修会社の費用設定はさまざまで、受講者数により変動するシステム、研修テーマによる定額制、所要時間で費用が掛かるシステム、講師1人あたりの料金が発生するシステムなどがあります。同じ内容であれば、当然、費用の安いサービスを選ぶべきでしょう。ただし、会社に合ったサービスを見分けるポイントは、それぞれどれくらい融通が利くのかという点にあります。
例えば、パッケージとして安い価格で研修プログラムを提供しているサービス会社がありますが、その代わりに、カスタマイズができないという制約がある可能性もあります。一般的に、研修はカスタマイズするほど価格が高くなります。ただし先述した通り、自社に合った形で研修を行うには、カスタマイズができることが理想的です。予算内で、できるだけカスタマイズできるサービスを選ぶのが良いでしょう。
なお、費用や予算の詳細については「新入社員研修についてよくある質問【設計編】」「新入社員研修の予算はどの程度が相場ですか?」「いくらかかる?新入社員研修に必要な費用まとめ」をご覧ください。

実績

質の高い研修サービス会社を選ぶには、実績も指標になります。サービスの提供件数だけでなく、サービスを利用した企業名が公表されていたり、ユーザーの声が掲載されていたりする研修会社は、実績の信頼度も高いといえるでしょう。
また、設立してからの年数も、培ってきたノウハウがあるかを判断する基準になります。そのほか、プログラムの柔軟なカスタマイズができる研修サービス会社は、それだけの実績を積んでいる可能性が高いといえます。

顧客対応

研修サービス会社の担当者の対応も、チェックしておきたいポイントです。研修を成功させるには、会社の課題を理解し、研修の目的を明確にすることが必要です。こうした視点で事前のヒアリングを行っている会社は、効果的な研修を行ってもらえる可能性が高いといえるでしょう。また、要望や問い合わせに対して迅速に対応しているか、研修の準備や運営などをサポートしてくれるかといったことも、併せて確認が必要です。

費用対効果の高い新入社員研修サービスを選ぼう

新入社員研修サービスは、研修サービス会社の知名度や費用だけで決めてしまうと、自社の人材育成方針に合わないものを選んでしまうリスクがあります。新入社員研修の目的・目標に合ったサービスを選び、その上で費用を検討することが重要です。「なんとなく」で決めず、的確な判断をすることを心がけましょう。

【参考】
松下直子、茅切伸明著『[実践]社員教育推進マニュアル』(PHP研究所、2008年)
株式会社社員教育研究所『社員研修依頼先の選び方』(2016年3月26日)
日経ビジネスオンライン『新入社員研修を成功させる3つのポイント』(株式会社 日経BP)
山崎智美『社員研修を成功させる3つのポイント』(BIZトレンド)

※こちらのページに掲載している情報は2017年12⽉時点のものです。

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