インセンティブ制度とは? メリット・デメリット、導入事例を解説

人事

掲載日時:2019.10.30

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定着率の向上や人材の確保などに効果があるとして注目されているインセンティブ制度。この記事では、その概要やメリット・デメリット、導入事例について解説します。

インセンティブ制度の概要

インセンティブ制度とは何なのか、まずはその定義や他の報酬制度との違いについて解説します。

「インセンティブ」とは

インセンティブとは本来、「目標達成や意欲向上を動機付けるもの」と定義されています。企業では、社員のモチベーション向上を主な目的として導入されており、通常の給与とは別に支払われる金銭のほか、表彰、副賞、休暇などの贈与といった成果報酬型の制度として利用されています。

インセンティブ制度と歩合制の違い

インセンティブ制度と類似したもので「歩合制」という制度もあります。
インセンティブ制度は、企業が設定した目標を達成した際に支払われる報酬です。目標の達成度合いに比例して、支払われる報酬額が決定します。
それに対して歩合制は、本人の業績や成績によって変動する報酬です。1件ごとの成果に対して報酬が支払われるという大きな違いがあります。

制度 報酬の対象
インセンティブ制度

本人の業績・成績によって変動する報酬。1件ごとの成果が評価される。

 

歩合制

本人の業績・成績によって変動する報酬。1件ごとの成果が評価される。

インセンティブにはさまざまな種類がある

インセンティブには、目標達成型インセンティブ、挑戦型インセンティブ、社内表彰型インセンティブなど、さまざまな種類があります。それぞれの特徴について解説します。

目標達成型インセンティブ

成果や目標達成の度合いに応じて、報酬が与えられるという一般的なインセンティブです。目標達成型インセンティブは金銭的な報酬が多く、賞与とは別に支払われます。

挑戦型インセンティブ

担当業務外の特別な挑戦に対して支払われるインセンティブです。挑戦型インセンティブは、金銭だけでなく、休暇や役職といった形で報酬が与えられる場合もあります。

社内表彰型インセンティブ

金銭的なものではなく、心理的な作用を大きくもたらすインセンティブです。社内表彰制度を設けたり、社員間で感謝を伝え合う制度を設けたりすることで社員のモチベーションアップを図ります。数値で評価しにくい職種に適しているインセンティブとも言えます。

インセンティブ制度のメリット・デメリット

インセンティブ制度を導入するには、メリットとデメリットを導入前に理解しておくことが重要です。インセンティブ制度にはどのようなメリットとデメリットがあるのか説明します。

メリット

インセンティブ制度を導入する企業側の主なメリットは次の3つです。

社員のモチベーション向上による業績アップ
給与の公平性の担保
人材の確保

それぞれのメリットについて解説します。

社員のモチベーション向上による業績アップ

成果に対する報酬を明確に設定することによって、社員のモチベーション維持・向上につながります。その結果、会社全体の業績向上も期待できます。

給与の公平性の担保

会社が支払う給与は、年次や役職などによって金額が左右されることが一般的です。しかしインセンティブ制度は、それらの条件に関係なく個人の成果に応じて報酬を得ることができるため、給与の公平性が担保できます。

人材の確保

インセンティブ制度の導入で、社員のモチベーション維持や評価への納得度を高めることができれば、離職率の低下につながります。また、成果報酬型の制度に魅力を感じる求職者からの応募増加も見込めます。

デメリット

インセンティブ制度を導入する企業側の主なデメリットは次の2つです。

収入格差が生じる可能性がある
チームワークの低下のリスクがある

それぞれのデメリットは以下の通りです。

収入格差が生じる可能性がある

成果が出やすい業務を担当する社員は正当に評価される一方で、担当業務の成果が見えにくい社員は評価につながらない側面があります。その結果、評価されなかった社員は不満が募り、モチベーション低下につながる可能性も。社員間で不公平を生じさせないためにも、業務内容に応じて評価項目・目標の設定を行うことによって、や公平な評価を実現させる必要があります。

チームワークが低下するリスクがある

個人の業績を重視した目標を設定すると、「ノウハウが共有されない」「社員間の協力体制が弱くなる」といった、チームワークの低下につながる可能性があります。インセンティブ制度を導入する際は、チーム全体の目標も設定するなど、組織全体のバランスを心がけることが重要です。

インセンティブ制度の導入事例

続いて、インセンティブ制度の導入事例について、3社の事例をご紹介します。

【目標達成型】「インセンティブ・ポイント(ベネフィットワン)」株式会社クリエイト・レストランツ

1つ目は、、株式会社クリエイト・レストランツで導入した「インセンティブ・ポイント」という制度です。同社には元々営業部門内での社内表彰制度がありましたが、約10人に1人のトップ層にしかスポットが当たらないという内容で、部門全体の士気向上を促せるものではありませんでした。

そこで、「トップ層以外の社員の頑張りに対しても還元できる仕組みを作りたい」という思いから導入されたのが、ベネフィット・ワン提供の「インセンティブ・ポイント」プログラムです。従来とは異なり、トップ層以外の職に対しても日々の努力を評価することで、全体の目標達成を意識付けるだけでなく、個人レベルまで落とし込めるようになりました。

その結果、営業の稼働率が前年比2倍にアップし、達成困難と思われていた年間目標達成を成し遂げました。

※参考:「[事例]損保ジャパン日本興亜保険サービス株式会社」株式会社ベネフィット・ワン

【目標達成型】「残業ゼロの社員にインセンティブを支給」株式会社インテリジェンス ビジネスソリューションズ

続いては、株式会社インテリジェンス・ビジネスソリューションズの事例です。同社では、残業ゼロの社員に対し20時間相当の残業代を支払う制度を導入しました。 「残業時間が減ると給与も減る」という仕組みでは社員一人ひとりの生産性向上を望めないと考え、こちらのインセンティブ制度を導入したといいます。

この制度の導入によって、労働時間の制約に関係なくパフォーマンスを発揮できる組織づくりを実現させました。

※参考:「残業ゼロの社員にインセンティブを支給生産性高く活躍する社員を賞賛し、長時間労働を抑制」パーソルプロセス&テクノロジー株式会社

【挑戦型】「改善提案制度」未来工業株式会社

次は、未来工業株式会社の「改善提案制度」です。同社には「自ら考え、工夫する社員を育てる」ことが重要なテーマとしてあり、それを象徴する制度として導入されました。
この制度は社内環境や仕事方法をはじめとする改善提案をするごとに500円、優れた案には万単位での報奨金が支給されるという仕組みです。10カ月連続で毎月1件ずつ提案すると、10件分の5,000円とは別に、「コンスタント賞」として5,000円相当の賞品も贈呈されます。

この制度で注目すべきは、「提案数や採用の有無が人事評価に影響しない」という点。あくまで社員が日々の業務の中で「もっと効率化できないか」と考える習慣を定着させることが狙いだといいます。その結果、「自ら考えて工夫する社風」は開発現場でも発揮され、年間で300~500もの新商品が開発されているといいます。

※参考:「自ら考える社員を育てる「改善提案制度」」

【社内表彰型】「ピアボーナス制度(Unipos)」株式会社ミュートス

最後は、株式会社ミュートスの「ピアボーナス制度」です。 残業時間は少なく人間関係も良好と、決して悪い職場環境ではなかった同社。しかし「活気がない」「離職率は低いが辞めていく人はいる」という課題があり、その背景には社員のエンゲージメント低下という問題が潜んでいるのではないかと考えました。
そこで、Unipos株式会社が提供するサービス「Unipos」を導入。 これは、社員感で感謝のメッセージと小学の成果給(ピアボーナス)を送り合うというもの。導入することで、社内のコミュニケーションが増えるというメリットがあります。

 「Unipos」の導入によって日常の小さな出来事に「ありがとう」と伝える機会が生まれ、期待以上のコミュニケーションが社内で発生しているといいます。その結果、導入からわずか1カ月で、社員のエンゲージメントが目に見えて急上昇したといいます。

※参考:「職場環境は悪くないのに『活気が足りない』…そんなミュートスが取り組んだエンゲージメント向上施策とは」Unipos株式会社

 デメリットを把握した上で、自社にあったインセンティブ制度のあり方を探る

インセンティブ制度には少なからずデメリットがありますが、それらを把握し正しく運用することで、企業には「社員のモチベーション向上」「人材確保」といったメリットがもたらされます。

他社事例や「Unipos」をはじめとするサービスの情報を参考にしながら、自社に合ったインセンティブ制度の導入を検討してみてはいかがでしょうか。

※本記事は掲載時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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