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【2019年版】コンプライアンス違反事例集 原因、対策を徹底解説

人事

掲載日時:2019.10.30

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企業の不祥事が続く中、「コンプライアンス」という言葉を耳にする機会が増えました。この記事では、コンプライアンス違反のケースや違反にあたる具体例、その原因や対策について解説します。

コンプライアンスとは

まずは、コンプライアンスの定義や、近年企業でコンプライアンスが重視されるようになった背景について解説します。

コンプライアンスの定義

コンプライアンスは主に「法令遵守」と和訳され、「企業が法令や規則を守ること」という意味で使われます。「法令」には国の定める法律や条令、行政機関の定める規制、企業が定める就業規則、明文化されていない社会倫理や企業倫理なども含まれてます。

コンプライアンス違反によって企業の信頼が下がり、場合によっては企業経営自体に大きな打撃を与える可能性があるため、企業はこれらを守りながら事業に取り組むべきだとされています。

コンプライアンスが重視されるようになった背景

コンプライアンスが重視されるようになった要因として、企業の不祥事が近年多発したこと、そしてそれらをマスメディアや世間が大きく批判したことが挙げられます。

さらに、「コンプライアンス遵守がリスクの適切な管理につながり、企業価値を高める」という考え方が国際的に広まったことも要因の一つだといわれています。企業価値を高めて他の企業との差別化を図ることが、市場で優位な立場を築くことにつながるのです。
※参考:「コンプライアンスとは何か」第一法規株式会社

【最新】コンプライアンス違反事例

「コンプライアンス違反」とは、具体的にどのような行為が当てはまるのでしょうか。 近年発生した9つのコンプライアンス違反事例をご紹介します。

1.労働問題

2017年12月、野村不動産のある男性社員の自殺が労災認定されました。同社は裁量労働制を全社的に違法適用しており、その影響で男性も2015年秋ごろから長時間労働や休日出勤が続き、翌年9月には過労死自殺という結果を招いてしまいました。
17年春に遺族が労災申請を行ったことをきっかけに、厚生労働省東京労働局が同社の労働実態の調査を始め、特別指導を行いました。マスコミの報道をはじめ、国会でもこの問題が取り上げられ批判を受けました。

2.不正受給

2018年10月、経営コンサルタント会社「WINカンパニー」の社長が、複数の企業主導型保育所の開設に関する虚偽報告を重ね、約1億3,000万円もの助成金を不正受給していたことが明らかになりました。
企業型手動保育所とは、企業が設置・運営する保育施設を指します。一定以上の基準を満たせば、整備費や運営費を国が助成する仕組みとなっており、本件はこの仕組みを悪用した不正行為です。2019年7月3日には詐欺容疑で社長が逮捕され、7月5日に助成決定の取り消しと返還命令が出されました。

3.情報漏えい

2019年7月、バーコード決済サービス「7pay」で第三者による不正アクセスが発生しました。セキュリティの重大な欠陥により、不正利用の被害は拡大。サービス開始の同年7月1日から7月4日の間で、被害にあった人数は約900人、被害額は約5,500万円にも上ると試算されました。
株式会社セブン&アイ・ホールディングス、株式会社セブン‐イレブン・ジャパン、株式会社セブン・ペイの3社は、この不正アクセスの全ての被害に対して、補償を行うことを発表。この事態を受け、同年9月末にはサービス廃止となりました。

4.粉飾決算等不正会計

成人式を間近に控えた2018年1月8日、振り袖の販売・レンタル業「はれのひ」が突然店舗を閉鎖し、晴れ着を着られない新成人が続出する騒動となりました。
その背景には、同社による粉飾決算がありました。17年9月、売上高を水増し計上した決算書類を提出し、横浜市の銀行から3,500万円をだまし取ったとされています。その後も悪化する経営状態を隠したまま融資を受け債務超過が膨らみ、騒動後の18年1月26日には破産手続きを開始。同社社長は融資金搾取容疑で逮捕され、同年12月に懲役2年6月の実刑判決を受けました。

5.偽造事件

神戸製鋼所が、2016年9月~2017年9月にかけて自社製品の品質データを改ざんしたとして、不正競争防止法違反の罪に問われました。
同社は、17年10月に不正を公表しましたが、2不正行為自体は1970年代から慢性的に行われていたことが発覚しました。これを受けて18年4月には会長兼社長が辞任、その後東京地検特捜部と警視庁の捜査が進み、19年3月に罰金1億円が言い渡されました。

6.食品の衛生管理

2011年4月末、焼肉酒家えびすで提供されたユッケを食べた客が腸管出血性大腸菌O-111やO-157に感染。患者数は118人に達し、4人が死亡する事態となりました。
本件は、ユッケを安価で提供することを優先するあまり、衛生管理が疎かになってしまったことが原因です。4月29日から全店舗での営業停止を行い、翌年には運営会社の倒産へと追い込まれました。

7.景品表示法違反

2016年4月、三菱自動車が燃費試験のデータを実際の燃費より良く見せるためにデータを改ざんしていたことが明らかになりました。カタログ上に記載されている燃費が5~10%水増しされており、この改ざんの事実を受けてeKワゴン、eKスペース、デイズ、デイズルークスなどが生産中止となりました。
また、17年1月には、このデータ改ざんは景品表示法違反にあたるとの判断で、消費者庁が4億8,000万円程度の課徴金を命じる方針を固めました。

8.出資法違反

2018年9月、出資者を募り多額の資金を受けていた通信販売会社「ケフィア事業振興会」が倒産しました。同社は元本保証をうたい不当に資金を集めていたとして、19年2月には出資法違反の疑いで家宅捜索が行われました。
被害者数は全国約3万人、負債総額はケフィアだけで約1,001億円、グループ全体で計1,200億円を超えるとみられています。

9.著作権侵害

2015年11月、歌手の吉田拓郎さんのライブ(1973年11月)を収録した未発表曲を含む海賊版CDを販売した音響機器販売会社の元社員が著作権法違反で逮捕されました。元社員は88人に海賊版CDを販売し、約41万円を売り上げたといいます。
音源の入手ルートが職務上の立場を利用した可能性が高いことから、個人による行為でも企業責任を問う声が多く上がりました。

コンプライアンス違反が起きる「不正発生のトライアングル」

コンプライアンス違反につながる不正行為が発生する原因として、『不正のトライアングル』というメカニズムが解明されています。このメカニズムには「機会」「動機(プレッシャー)」「正当化」の3要素があり、この3つが同時に存在することで不正が発生するといわれています。それぞれの要素について、詳細を解説します。

※参考:「第4章:コンプライアンス・リスクの種類と内容」株式会社アストロン

不正発生のトライアングル
不正発生のトライアングル

※引用:p.13「図4-12.不正発生のメカニズム

プレッシャー(動機)

プレッシャー(動機)とは、不正を を働く必要性がある状態を指します。例えば「上司からのプレッシャーがあり、なんとしても月間目標を達成しなければいけない」「ブランド品を買うための資金がほしい」など、さまざまな理由が不正を働くきっかけとなります。 

正当化

正当化とは、不正行為を正当化することで、不正を犯す自分自身への罪悪感をなくす行為を指します。例えば、「他の人もやっているから問題ない」「目標達成のためには仕方がないことだった」などの理由が当てはまります。

近年の企業不祥事のほとんどは、「プレッシャー」と「正当化」によって引き起こされているものだといわれています。「プレッシャー」と「正当化」、つまり倫理観の欠如が問題点として挙げられ、それを社員教育によっていかに補完していくかが企業の課題となるでしょう。

機会

機会とは、システム上の欠陥や環境整備の不備によって、不正を起こすことができてしまう状況を指します。例えば、「チェック体制が整っていない」 「権限が1箇所に集中している」などです。不正を未然に防ぐには、この「機会」をなくすための体制を整えることも重要です。

コンプライアンス違反を防ぐ6つの対策

先程の9つのコンプライアンス違反の9つの事例のような不正や過失を未然に防ぐため、企業が取るべき6つの対策について紹介します。

1.専門家によるコンプライアンス違反項目の確認

弁護士をはじめとする専門家と相談しながら、自社の業務においてコンプライアンス違反の可能性がある項目を洗い出すことが重要です。

2.行動規則の作成

専門家によって洗い出された項目を「行動規則」としてまとめることで、遵守すべき項目が可視化され社員の理解も深まります。さらに、企業を取り巻く環境や業務内容の変化によってあるべき規則の内容も変わっていくので、常に内容のアップデートを心がけるとよいでしょう。

3.従業員への周知

行動規則を作成した後は、社員一人ひとりにその内容を周知することが重要です。。しかし、従業員の立場によって遵守すべき内容異なる場合もあるため、どの立場の人がどのコンプライアンスを意識するのか明確にすることが必要です。

4.環境の整備

違反が起きにくい環境を整備することで、不正のトライアングルの1つである「機会」を を生む可能性をなくしていくことも必要です。
例として次のようなの対策が挙げられます。

社外からのデータアクセスを禁止する
プライベート用の端末では仕事のやり取りを行わない

以上の決まりを厳守することで情報漏えいを防ぐ環境をつくり出すことができます。このような対策を一つひとつ重ねることが、コンプライアンス違反を未然に防ぐことにつながります。

5.社内の相談窓口、担当者の設置

社内でコンプライアンス違反が起きてしまった場合、それを発見した社員がすみやかに報告できるよう、社内の「相談窓口」を設置することをオススメします。さらにコンプライアンス活動の担当者を設置することで、長期的・継続的な改善を行うことができるでしょう。

6.外部機関の設置

人間関係に支障が生じることを恐れて、コンプライアンス違反を見かけても通報できない人もいます。そのような懸念点をなくし、社員が通報しやすくなる方法としてとして、「外部機関の設置」が挙げられます。例えば、 社労士をはじめとする専門家に委託することで、報告を行う社員やコンプライアンス活動を推進する企業にとっても心強い対策となるでしょう。

コンプライアンス遵守が企業存続のための必須項目に

企業の不祥事は、経営そのものに大きく影響を与える可能性があるため、コンプライアンス遵守が今や企業を存続させるための必須項目となっています。
9つ事例からコンプライアンス違反のリスクを学び、違反防止に努めていきましょう。

 

※本記事は掲載時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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