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【2019年版】女性活躍推進法とは? 進め方4ステップと2019年5月改正のポイント

人事

掲載日時:2019.10.30

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女性活躍推進法とは、女性が働きやすい環境づくりを企業に求める法律で、正式名称は「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」です。喫緊の課題である女性活躍推進に向けて短期間で集中的な取り組みを進める必要があることから10年間の期限がある時限立法として2016年4月に施行されました。2019年5月にはその一部を改正する法律が成立。常時雇用する労働者が301人以上の企業に義務化されている内容とメリットについて、企業が知っておくべき知識を紹介します。
※情報は2019年9月時点のものです。

女性活躍推進法とは? 背景と目的

安倍政権が成長戦略の柱として推し進めている「女性活躍推進」。企業も女性活躍推進法に積極的に取り組むことが必要とされてきています。ここでは、女性活躍推進法が成立した背景と、その目的を説明します。

背景…女性管理職の割合が1割程度という現実

この法律の成立には、日本の職場における男女の格差が大きいことが背景にあります。
経済分野におけるジェンダー・ギャップ指数は、2018年時点で149ヵ国中117位と非常に低く、特に女性管理職の割合は国際的にかなり低い水準にあり、問題視されています。男女共同参画社会の実現に向け、政府は「指導的地位に占める女性の割合を2020年までに30%とする」ことを目標に掲げているにもかかわらず、2018年度データによると課長級以上の女性の割合は10.9%にとどまっているのが現状です。
女性管理職の割合は、約40%程度が一般的である欧米諸国の他、マレーシア(20.4%)やフィリピン(48.9%)といったアジア諸国にも大きく引き離されています。
参考:「就業者及び管理職に占める女性の割合 」(データブック国際労働比較2018 ・JILPT調べ)
世界経済フォーラムが「ジェンダー・ギャップ指数2018」を公表(内閣府男女共同参画局総務課)

目的…期待される効果

女性活躍促進法は、女性が自身の意志によってキャリアを構築し、スキルを十分に発揮することが可能となる社会づくりを目指す法律です。その実現のため、主に以下の3つの方針を基本原則としています。

①採用や昇進が平等に行われ、職場環境においても平等が配慮されるべきこと
②仕事と家庭が両立できる環境をつくること
③女性本人が、仕事と家庭の両立に関する意思決定をできること

※「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律の概要」(厚生労働省)より抜粋

女性活躍推進法の内容とは? 企業がやるべき4つのステップ

対象となる企業形態や、対象となった場合にはどのようなステップが必要とされるのかについて分かりやすく解説します。

女性活躍推進法の対象

現在(2019年9月)施行中の法律では、実施義務の対象は「常時雇用する労働者が301人以上の企業」とされています。同時に、「常時雇用する労働者が101人以上の企業」は努力義務という位置づけとされています。
なお、ここでいう労働者とは、パートや契約社員であっても1年以上継続して雇用されているなど、事実上期間の定めなく雇用されている労働者を含める、という点に注意してください。

Point

2019年6月公布の改正では、一般事業主行動計画の策定義務及び、自社の女性活躍に関する情報公表の義務の対象が拡大し、常時雇用する労働者101人以上の企業も対象となることが定められました。
(なお、施行は公布後3年以内で、詳細は今後発表されます。現在対象でない企業も、注視しておく必要があるでしょう)

 

実施義務の4つのステップと進め方

301人以上の大企業については、下記の(1)~(3)の内容が実施義務とされています。PDCAサイクルを確立させるため、(4)の効果測定を次に反映させることが大切です。対象となる企業は確認をしておきましょう。

(1)自社の女性の活躍状況の把握・分析

まずは現状を把握し、自社の課題点を洗い出します。必須の基礎項目を算出した上で、さらに選択項目を埋め、自社の理解を深めていきましょう。

<チェックすべき必須項目>
・女性採用比率
・勤続年数男女差
・労働時間の状況
・女性管理職比率

(2)(1)を踏まえて行動計画の策定と情報公表

(1)でチェックした必須項目を踏まえ、具体的な行動計画を策定します。これを、一元化されたデータベースである「女性の活躍推進企業データベース」を通じて外部に公表しましょう。

<行動計画策定の進め方>
・必須記載事項は「目標(定量的目標)」「取り組み内容」「実施時期」「計画期間」の4つ
・「女性の採用比率を◯%以上にする」などと具体的な数字を入れた目標にする
・計画期間は2~5年で書く
・策定内容を社員に周知する

※厚労省のサイトで準備している、入力サポートツールやマニュアルも使用しましょう。
一般事業主行動計画策定入力支援ツール[XLS形式:476KB]
一般事業主行動計画策定支援マニュアル[PDF形式:893KB]


(3)労働局への届け出

行動計画を策定したら、管轄の都道府県労働局へ届け出をします。。電子申請、郵送、または持参で行うことが可能です。厚労省が省令で定める情報から、事業主が「女性の活躍に資する」と考えるものを公表する必要があります。

※届け出の書類はこちら
女性活躍推進特集ページ(厚生労働省)

Point

2019年6月公布の改正で、情報公表義務が強化され、公表する必要のある項目が追加されました。(施行は公布後1年以内)

(4)効果測定

設定した数値目標の達成状況を確認し、行動計画に基づく取り組み実施状況を定期的に点検・評価しながら、以降の取り組みに反映させて行動していきましょう。


女性活躍推進法の実施義務を守らないと罰則はある?

定められた実施義務を行わなかった場合、企業に対する罰則はあるのでしょうか。公開を行わなかった場合のデメリットを解説します。

・罰則はないが、イメージを損なう可能性がある

実施義務を行わなかったという理由で、企業及び社員が罰せられるということはありませんが、以下の点でデメリットが生じる可能性があります。

(1)助言・指導もしくは勧告を受ける可能性がある

厚生労働大臣は必要に応じて一般事業主に報告を求めて助言・指導もしくは勧告を行うことが可能です。
 

(2)公開されていないことがイメージダウンに

誰でも見られる厚労省のサイトで情報が公開されているため、公開していない場合は企業イメージを損なう可能性もあります。求職者が企業の女性活躍の状況を知ることができず、実情がわからないため人材確保の点でマイナスに働くことも考えられます。

さらに、実施義務を守ることにより次項で紹介するようなメリットが存在します。実施しない場合はそのメリットを享受することができなくなってしまうという点も把握しておくべきでしょう。

社内外に公表されることでさまざまなメリットが期待できる

女性活躍推進法の定める実施義務に取り組む姿勢は、厚労省の女性の活躍推進企業データベースで公開されており、誰でも見ることができます。これにより、企業はさまざまなメリットを享受することができます。

(1)採用の競争力が上がる

女性活躍推進法に基づいて一定基準を満たし、女性が能力を発揮しやすい職場環境であることが認められると、厚生労働省から「えるぼし認定」を受けることができます。認定マークは商品や広告に掲載する事が可能です。、「えるぼし認定」としてデータベース上でも表示されることから
就職活動中の学生や求職者の目に止まりやすくなり、採用でも有利になるという効果が期待できます。

(2)助成金が得られる

えるぼし認定を獲得することで、公共調達や低金利融資において優遇処置が受けられたり、両立支援助成金(女性活躍加速化コース)を受給することが可能になります。

(3)社員のライフ・ワーク・バランス向上

女性活躍推進のために制度を整備する、社内環境をチェックするといった取り組みを行うことで、女性のみならず男女ともに働きやすい環境の整備につながります。。企業文化の向上や、企業風土の改善が望めます。。

(4)経営にプラスになる

世界的にESG投資(環境・社会・企業統治を重視する企業を有望視して行う投資)が拡大しつつある中で、企業を評価する基準として女性の活躍に関する情報が重視されるようになってきています。また、経済産業省と東京証券取引所は女性活躍推進に優れた上場企業を「なでしこ銘柄」として選定し、投資家が関心を持つように紹介する取り組みを行っています。これらの事情より、女性活躍推進に取り組むこと企業は投資を受けやすくなり、経営にプラスになると考えられます。

Point

2019年6月公布の改正で、「プラチナえるぼし(仮称)」が創設されることが決定されました。従来の「えるぼし」よりも水準の高い認定であり、取得企業はこの認定をPRに活用できるのみならず、行動計画の策定義務が免除されます。


計画的な運営で、企業環境の改善の足がかりに

女性活躍推進法の定める義務と向き合い、まずは自社の現状や現場のニーズをしっかりと把握することから始めましょう。自社の風土改善や社員の意識を変えるきっかけが生まれるはずです。社員にもさまざまなメリットを周知させ、長期的に計画を行ってきます。職場における男女格差をなくし、企業環境全体を良くする足がかりになるでしょう。


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