退職勧奨で人事担当者が注意すべきこと。違法にならない進め方は?

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掲載日時:2019.09.30

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退職勧奨で人事担当者が注意すべきこと。違法にならない進め方は?

会社が従業員に退職を奨める、退職勧奨(退職勧告)。やむを得ず退職勧奨を行うことになった時は、従業員の不信を買ったり、遺恨を残さないためにも正しい手順を踏むことが重要です。ここでは、人事担当者に向けて、退職勧奨の手順、違法な退職勧奨にならないための注意点などを解説していきます。

退職勧奨(退職勧告)と解雇の違い

退職勧奨(退職勧告)と解雇は、どちらも従業員の退職に関する内容ですが、それぞれ定義が異なります。まずは退職勧奨の意味や解雇との違いについて解説します。

退職勧奨(退職勧告)の意味

退職勧奨とは、雇用者が従業員に対して退職することを奨める行為です。あくまでも従業員と「合意の上で」退職に導くもので、強制退職ではありません。雇用者による退職勧奨は原則として自由で、退職するか否かの決定権は従業員側にあります

退職勧奨は、業務態度が優れない、能力不足といった問題を抱える従業員を温情的に任意退職にする目的や、不況時の人員削減の手段などに用いられます。

解雇と何か違う?

退職勧奨は従業員側に退職するかどうかの決定権がありますが、解雇の場合は会社側に決定権があります。会社側から解雇の通知が従業員に届いた時点で、従業員の意思に関係なく退職手続きが進められることになります。

従業員を解雇する際は「30日前以上の解雇予告」もしくは「解雇予告手当として30日分以上の平均賃金の支払い」という労働基準法20条の定めに則った手続きが必要です。在職を希望する場合には、解雇予告の間に交渉によって解雇を撤回してもらう、または法的措置に訴えて解雇を無効するといった手段があります。

退職勧奨の具体的な方法と手順例

どうしてもネガティブな印象が付き纏う退職勧奨ですが、問題のある従業員を抱えている企業にとっては必要な対応です。重要なのは、退職勧奨を進める際に、正当な手順を踏む・従業員の合意をしっかり得ることです。
それでは退職勧告の具体的な方法と手順例について解説します。

(1)退職勧奨の対象となる具体的な基準を定め、正当な理由を提示する

退職勧奨は解雇とは異なり、従業員側に退職するか否かの決定権があるため、応じてもらうためには従業員が納得できる正当な理由が求められます。公正性を示すためにも、退職勧奨の対象となる具体的な基準を定めておく、または正当な理由を提示する必要があります。

また、従業員に退職勧奨を行う際には、会社幹部や対象者の上司などから事前に情報収集をしておくことが重要です。上層部からの情報を基に客観性のある説明資料を準備しておき、対象者との面談に備えます。

(2)退職勧奨対象者との面談を行う

面談時には資料を準備しておくだけでなく、以下のポイントをおさえておきましょう。

Point

1回の面談だけで従業員に結論を迫らない
 面談では退職勧奨に至るまで、企業も改善努力を続けてきたことを示す
 面談の際は本人を批判しない

1回の面談だけで結論を迫る、または本人の拒否を無視して執拗に退職を求めると「退職強要」と捉えられてしまう恐れがあります。脅迫による退職強要は違法行為です。
また、面談では、あくまでも勧奨理由が業務または企業と、退職勧奨者との適正が合わなかったという観点で話すことを心がけましょう。人間性に対する否定や攻撃も違法行為と見なされる可能性が高いです。

(3)退職時期、条件面などを話し合いで決める

退職勧奨では、合意を促すために労働者が退職に合意してくれた場合の明確なメリットを提示することが必要です。

<提示条件例>

  • 給料の数カ月を支払う
  • 退職金を割増で支払う
  • 次の就職先が見つかるまで支援する
  • 消費していない年次有給休暇を換金する

退職勧奨を行う担当者はその従業員にとって何が好条件となり得るかをよく考え、退職時期や条件面などをしっかりと協議しましょう。

(4)退職勧奨同意書を作成する

退職勧奨の理由や条件などが記載されている退職勧奨通知書の内容に合意した場合は、会社との間に紛争や債権債務などのトラブルがなく退職勧奨に応じるという退職勧奨同意書の作成に移ります。

退職勧奨同意書は従業員が作成しますが、記載事項の不足が生じると手間と時間がかかるため、内容の確認とサインのみを従業員からもらって、会社が代わりに作成するケースもあります。
退職勧奨同意書を作成する際に必ず盛り込んでおくべき項目は以下の2点です。

  • 退職年月日
  • 退職理由

退職年月日を明確に記載することで退職時や退職後に伴う事務処理がスムーズに行えるようになります。退職理由欄に記載する内容は、従業員が退職してから受ける失業保険の受給時期や総額に影響を与えます。退職勧奨に伴う退職では、退職理由が「会社都合」である旨を記載し、従業員に不合理にならない配慮を心がけましょう。

また、退職後に労働者が会社の機密情報を外部に漏らすといったように会社に対して悪影響を及ぼす可能性があります。「機密保持」や「個人情報保護」に係る守秘義務、「相互の誹謗中傷禁止」に関する記載を加えておくことをお奨めします。

退職勧奨の注意点。 違法にならないためには?

退職勧奨では、退職するか否かを決めるのは従業員です。退職勧奨は制限されていないため、企業は原則自由に退職勧奨できます。しかし、従業員に退職を迫ることは、自由な意思決定を阻止する違法行為です。退職勧奨を行う上で、違法行為にならないための注意点を挙げていきます。

(1)退職勧奨を拒否されても、しつこく勧奨してはいけない

退職勧奨を受け入れるかどうかは従業員に委ねられています。従業員が退職勧奨を拒否し「継続して働きたい」と主張した場合には、従業員の意思が優先されます。従業員が拒否したにも関わらず会社がしつこく退職勧奨すれば、「退職強要」という不法行為になる恐れがあり、場合によっては損害賠償の対象となる可能性があります。退職勧奨で何か問題が生じたときや困ったときは弁護士をはじめとする専門家へ相談するとよいでしょう。

(2)パワハラを疑われる行為はしない

退職勧奨に応じない、応じる見込みのない労働者を退職に追い込むためパワハラを行うことは許されません。例えば、企業が対象者の人事評価を下げる、配属先を変更する、対象者が話しかけていても無視するなどの行為です。

「早く退職しろ」「救いようがない」「身の振り方を考えろ」などの退職を促す発言も、言葉の暴力としてパワハラが疑われる可能性が高いと考えられます。
退職勧奨をする際にパワハラが疑われるような行為をしないよう十分注意する必要があります。

(3)相手の意思の自由を封じる行為をしない

相手の意思の自由を封じる説得行為も、違法性を帯びる可能性があります。以下のような行為を行わないよう、周知が必要です。

  • 従業員の中傷や名誉を毀損するような発言をしない
  • 減給や降格といった不利益な条件を提示しない
  • 従業員が退職を拒否しても説得しない

あくまでも退職勧奨は労働者の意思の自由を尊重して実施します。企業が退職勧奨を行う際は、労働者を無理矢理退職に誘導して違法性を帯びることがないように注意しましょう。

退職勧奨では対象者の合意を得る努力が必要

退職勧奨自体を不必要に恐れる必要はありませんが、強引に退職勧奨を進めると訴訟のリスクが高まります。勧奨理由が感情的なものではなく合理的な判断に基づいたものであること、対象者が納得できるよう合意を得る努力をするなど、正当な手続きを理解しておきましょう。

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