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【2019年度版】人事のためのパワハラ対策完全ガイド

人事

掲載日時:2019.09.30

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【2019年度版】人事のためのパワハラ対策完全ガイド

職場のパワハラ(パワーハラスメント)の相談は年々増加傾向にあります。パワハラを放置すれば、社員の離職リスクも高まるため、企業にとっては見過ごせない課題の1つです。ここでは、パワハラを生じさせないための予防とパワハラが起きた場合の対策について解説します。

従業員から「上司にパワハラを受けた」と相談をされたらまず確認すること

従業員からパワハラを受けたと相談をされた場合には、まずは客観的にパワハラに該当するかどうか確認することが必要です。パワハラとは具体的にどんな行動を指すのか解説します。

パワハラとは?

パワハラと一口に言っても、業務上必要な叱責とパワハラとの区別が難しいため、どのような行為がパワハラに該当するのか、明確な基準がない状態が長年続いてきました。2019年にハラスメント防止法が成立して、以下の3つの条件を満たした行為がパワハラに当たる行為と正式に定義されました。

  • 職場において行われる
  • 優越的な関係を背景とした行動
  • 業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの

優越的な関係を背景とした行動は、上司と部下の関係に限られません。同僚でも業務上の力関係が認められると、パワハラと認定されるケースもあります。

パワーハラスメントの6類型

厚生労働省はパワハラに該当する行為として具体例は以下の6つの類型を示しています。

【パワハラの6類型】

パワハラの6類型

(「明るい職場応援団」で公開の図をもとに@人事編集部が作成)
社員の離職や炎上のリスクを防ぐためにも、どのような行為がパワハラに該当するのかしっかり確認しましょう。

パワハラの予防で必要なこと

どうすれば社内でパワハラの発生を防げるのでしょうか? 経営者や人事担当者が社内のパワハラを予防するために必要なことを解説します。

経営者がパワハラをやってはいけないと宣言する

パワハラの予防で必要なのは経営者がパワハラをやってはいけないという姿勢を宣言することです。宣言では、以下の3つのポイントを押さえることが重要です。

Point

パワハラは企業トップから全従業員が取り組む重要な会社の課題であることを明確に発信。
パワハラの防止がなぜ重要なのか、その理由についても明確に伝える。
メッセージの発信とともに、具体的活動が早期に実施できるように準備する。

【参考】明るい職場応援団

パワハラ防止のルールを定める

パワハラの防止には、社内でパワハラに関するルールを定めることも有効です。主に就業規則の規定を作る、労使協定を結ぶの2つの手段が挙げられます。それぞれの手段について詳しく解説します。

就業規則の規定の作り方

パワハラ防止のルールを就業規則に盛り込む場合には、以下のポイントを押さえておきます。

Point

罰則規定の適用条件や処分内容、相談者の不利益な取り扱いの禁止などを明確に定める
パワハラ防止のルールは、従業員にとってわかりやすく、できる限り具体的な内容にする
就業規則に盛り込む場合は、事前に労働組合や労働者の代表などの意見を聴く
就業規則の変更時は内容の周知が義務づけられているので、説明会や文書の配布を忘れない

就業規則を作成する際の一例は以下の通りです。

【就業規則の一例】

就業規則の一例

職場のパワーハラスメント対策ハンドブック

【参照】職場のパワーハラスメント対策ハンドブック

労使協定を結ぶ

パワハラ防止に関する規定を盛り込んだ労使協定を締結して、労使で協力して取り組むという方法もあります。労使協定には、パワハラの定義、行為の禁止、懲戒、相談・苦情の対応などを盛り込んおきます。

社内アンケートの実施

パワハラ防止対策を効果的に進めるには、実態把握に必要なアンケート調査を早期に実施することが重要です。アンケート調査を実施して満足するのではなく、結果を踏まえて研修の実施や相談窓口の周知などの対策を必ずセットで行います。

アンケート調査では、100人程度以下の小規模な企業では、回答した人が特定できる、正確な実態が把握できない、回答率が低くなる可能性があります。そのため、Webアンケートに切り替えるほか、ヒアリングや個人面談の機会を活用するなどの工夫を行いましょう。

パワハラが起きてしまった場合の対処法

実際にパワハラが起きた場合には、相談担当者の役割が重要になります。社員側もパワハラの証拠を残しておくと相談がスムーズです。パワハラが起きた場合における会社側の対処法と社員側の対処法について解説します。

相談できる環境を作る

会社側には、従業員が相談しやすいように、社内の相談窓口を設置する、外部の相談窓口を設置するなどの環境を整えるという対処法が挙げられます。それぞれの対処法と相談対応の流れをまとめると以下の通りです。

社内の相談窓口の設置

社内の相談窓口の設置例には以下のようなケースがあります。

  • 管理職や従業員をパワハラの相談員に選任
  • 人事労務担当部門
  • コンプライアンス担当部門や監査部門、人権(啓発)部門や法務部門
  • 社内の診察機関や産業医、カウンセラー
  • 労働組合

外部の相談窓口の設置

社内の相談窓口には、公平性が保ちにくい、感情が入り込みやすい、窓口担当者に負担がかかる、情報漏洩の危険性を伴う、人事権の従業員が窓口担当になると相談しにくいなどのデメリットもあります。厚生労働省では、公平性の視点を考えて相談窓口を外部に設置することを勧めています。外部の相談窓口の設置例には以下のようなものがあります。

  • 弁護士や社会保険労務士
  • ハラスメント専門のコンサルティング会社
  • メンタルヘルス、健康相談、ハラスメントなどの相談窓口代行企業

相談対応の流れの例

相談対応の流れの例は以下の通りです。
パワハラ対策7つのメニュー

【参考】パワハラ対策7つのメニュー

相談担当者は、相談の受付だけ行って、事実関係の調査を人事担当部署などに引き継ぐもしくは事実確認も全て自身で行う場合に分かれます。組織内に相談窓口を設置する際には、相談担当者が十分な対応スキルを持てるように、対応の流れや心構えをしっかりと理解しておくことが重要です。

社員側がパワハラの証拠を記録しておく必要も

パワハラかどうか判断するには、社員側の証言や客観的証拠も重要です。社員がパワハラの証拠を記録する際には以下のような方法が挙げられます。

メモや日記の記録を残しておく

会社でパワハラを受けた場合は、「日時や場所、内容、期間、誰から受けたのか」などをしっかりと残しておくことがポイントです。また、パワハラ行為に対して「どのように感じたのか」という心身状態の変化について残しておくこともおすすめします。

録音はパワハラの証拠として有効

断りなく職場の会話を録音した場合でも、裁判におけるパワハラの証拠としては有効です。過去には著しく反社会的な録音方法でない限りは違法ではないという高裁の判決が出ています。就業規則に会話を録音を禁止する旨が定められていても、パワハラが発生した場合は身を守る手段として認めらると考えられます。

再発防止の取り組み

パワハラの再発防止には、取り組み内容の定期的検証や見直しといった、より効果的な再発防止策の策定や実施が重要です。再発防止策には以下のような対策があります。

  • 行為者に対する再発防止研修
  • 事例発生時のメッセージ・情報の発信
  • 事例の活用(研修など)
  • 権利職登用の条件に採用
  • 職場環境の改善(コミュニケーション強化など)

パワハラを行った従業員を処分するだけでなく、社内全体で再発防止に向けて取り組むことが重要です。

パワハラ防止法では企業の対策が義務化された

2019年にハラスメントについて防止対策の義務化を含む法律が制定されました。初めて企業に対し防止の措置義務が定められ、企業は対策を講じる必要があります。

パワハラ防止法とは何か?

2019年にハラスメント防止法が成立。ハラスメント防止法とは2019年5月に成立した「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律等の一部を改正する法律」の通称のことです。女性活躍推進法や労働施策総合推進法など5本の法律を一括で改正したもので、ハラスメント対策強化が大きな柱となっています。この中でパワハラについては、労働施策総合推進法の改正(通称パワハラ防止法)で初めてパワハラの定義がされ防止措置が義務化されました。義務化が始める時期は、大企業で2020年4月、中小企業で2022年4月の見通しとなっています。

義務化された防止対策のポイント

企業に対して義務化された防止対策のポイントについて詳しく解説していきます。

相談した・相談を受けた労働者の不利益取扱いは禁止

以前は、パワハラについて相談したり、相談を受けたりした労働者に対して解雇や降格など不利益取り扱いがされる事例もありました。パワハラ防止法ではこのような扱いを防ぐため、相談した労働者と相談を受けた労働者両者の不利益取扱いを禁止しています。

研修の実施は必須に

パワハラに関する研修の実施またはその他必要な配慮をすることの努力義務が定められました。これらの義務を怠っている状況でパワハラが発生した場合には、企業側の法的責任がより認められやすくなります。

経営者もパワハラについて学び防止する義務がある

パワハラ防止法では、事業主(経営者)に対してもパワハラに該当する行為への関心と理解を深めて配慮する努力義務が定められました。

個別労使紛争で重い「勧告」の処分が導入、対応怠れば炎上リスクも増加

パワハラをめぐる労働者個人と使用者との間の紛争である個別労使紛争に新たに「調停」が導入されました。個別労使紛争は、労働者と事業主の間に生じる紛争を未然に防止したり、自主的解決を促すために設けられている制度です。

行政指導でも、これまで行っていた「助言・指導」だけでなく重い措置である「勧告」もできるようになりました。一度行政から企業に「勧告」がなされたとなれば、「パワハラを行っていた」という証拠とみなされ、労働者が公表に踏み切れば企業は炎上のリスクを負う可能性もあります。パワハラを未然に防ぐ、あるいはパワハラへの適切な対処がますます重要になってきます。

パワハラは防止策と発生時の対策の両方が重要

パワハラは、上司から部下に対し行われる以外にも、社内の力関係で差がある同僚間でパワハラが成立するケースがあります。。また、パワハラは防止策と発生した時の対策がセットで重要です。防止策や発生時の対策が疎かな場合は、従業員の離職、炎上や訴訟のリスクを伴うため、確実な対応が求められます。

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