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労働基準法上の労働時間は1日何時間? 割増賃金と残業上限を詳しく解説

労務

掲載日時:2024.01.12

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労働基準法上の労働時間は1日何時間? 割増賃金と残業上限を詳しく解説

労働基準法とは、労働者と使用者のどちらも守らなくてはならない労働契約についての基本的な法律です。労働基準法に違反すると、刑事罰が科されることもあるため、企業は労働基準法を遵守しなければなりません。ここでは、労働基準法に定められた1日の労働時間、休憩時間の考え方、8時間を超えた労働をさせる際に必要な36協定について解説します。

目次

労働基準法上の労働時間とは?

1日の労働時間は、労働基準法によって上限が決められています。では具体的に1日の労働時間と休憩時間はどのように定められているのでしょうか? 労働基準法上の労働時間について見ていきましょう。

原則として、1日8時間、週40時間を超えた労働は禁止

労働基準法には原則1日8時間、週40時間を超えて労働させてはならないと定められています。

アルバイト・パートの労働時間の考え方

アルバイト・パートも正社員と同様に、労働基準法が適用されます。原則1日8時間、週40時間を超えて労働させてはなりません。

8時間を超えて残業をする場合は?

労働時間が1日8時間、週40時間を超える場合、使用者(雇用者)と従業員の過半数の代表者によって「時間外労働・休日労働に関する協定」を締結して、労働基準監督署に提出しなければなりません

自動車運転者の労働時間

タクシー・ハイヤーやトラック、バスなど、自動車運転者の拘束時間は長時間になることが常でした。しかし、2022年12月23日に「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」(改善基準告示)が改正されたことにより、拘束時間の上限が変わりました2024年4月から適用となるため、該当する労働者を抱える事業所は注意しましょう。

関連記事:改善基準告示改正|対応のポイントと負担軽減のための助成金・支援策を解説
参考:自動車運転者の労働時間等の改善のための基準(改善基準告示)

所定労働時間と法定労働時間の違いを説明

労働時間に関しては、労働基準法32条に以下のように定められています。

第三十二条
1 使用者は、労働者に、休憩時間を除き一週間について四十時間を超えて、労働させてはならない。
2 使用者は、一週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き一日について八時間を超えて、労働させてはならない。

労働時間には「所定労働時間」と「法定労働時間」の2種類があります。それらの違いを正確に把握しておきましょう。

所定労働時間

所定労働時間とは、会社が独自に定めている労働時間のことです。例えば、会社の始業時刻が9:00、休憩時間が12:00~13:00、終業時刻が17:30であれば、所定労働時間は7時間30分となります。

法定労働時間

法定労働時間とは、労働基準法に定められている「1日8時間、週40時間」のことです。先ほどの所定労働時間(始業時刻が9:00、休憩時間が12:00~13:00、終業時刻が17:30)で考えたとき、18:00まで勤務すると30分残業したことになります。しかし、法律上は時間外労働したことにはなりません。会社によって残業手当の算定基準を所定労働時間とするか、法定労働時間とするかは異なっており、労使の定めで決まるのでどちらか確認しておきましょう。

労働基準法上の休憩時間の考え方

労働基準法において、従業員の労働時間が6時間を超える場合は45分以上、8時間を超える場合は1時間以上の休憩を労働時間の途中に与える必要があります。

タバコ休憩やトイレ休憩、昼休みなどの休憩時間は労働時間ではないため、基本的に給料が発生しません。しかし、休憩時間であっても、休憩時間中の電話応対担当など何らかの業務に従事している場合には、給料が発生すると考えられます。

また、夜勤の仮眠時間や待機時間などは、休憩時間なのか業務に従事しているかの判断が難しい場合があります。このようなケースでは、労働者が業務から離れられているかどうかが判断の基準となります。会社側はどのようなケースが休憩時間または労働時間なのか、事前に労働者と確認しておくことをおすすめします。

関連記事:労働基準法上の休憩の与え方|5、6時間勤務で休憩は発生する? 残業中の休憩は

企業側は労働者への割増賃金の支払い義務がある

働く時間や日時によっては割増賃金が発生する場合があります。割増賃金率は以下の通りです。

【割増賃金率】厚生労働省「割増賃金の基礎となる賃金とは?」
※月60時間を超える時間外労働を深夜の時間帯に行わせる場合は深夜割増賃金率25%+時間外割増賃金率50%=75%となる。

参考:厚生労働省「2023年4月1日から月60時間を超える時間外労働の割増賃金率が引き上げられます」

使用者は、労働者に時間外労働、休日労働、深夜労働を行わせた場合には、法令で定める上記の割増賃金率以上の率で算定した割増賃金を支払わなければなりません。

8時間の労働時間を超えて働かせるには36協定の締結が必要

前述したように、法定労働時間を超えて従業員を働かせる場合は「時間外労働・休日労働に関する協定」を結ぶ必要があります。これを「36(サブロク)協定」ともいいます。

36協定とは何か

36協定とは、労働基準法36条に基づく協定のことです。時間外もしくは休日労働を課す場合には、あらかじめ労使で書面による協定を締結して、これを所轄の労働基準監督署長に届け出なければなりません。

関連記事:【記入例付き】36協定とは? 新様式や罰則、上限についても解説

時間外労働の上限は原則として月45時間・年360時間

36協定の条件を満たしていても、何時間でも時間外労働をさせても良いわけではありません。時間外労働には、月45時間、年360時間という上限が定められています。

上限を超える場合は「特別条項付き36協定」の締結を

機械のトラブルで納期がひっ迫している、繁忙期に差し掛かっているなど、時には時間外労働が36協定の上限を超える可能性もあります。こうした場合には「特別条項付き36協定」を締結しましょう。

特別条項とは、特別な理由が生じて限度時間を超えて働かなければならない時に臨時的措置を可能にする協定です。特別条項を設けても、上限を延長する月は1年の半分を超えてはなりません(年6回まで)。

また、特別条項を定めた場合も限度時間はあるため注意が必要です。

  • 時間外労働 ・・・年720時間以内
  • 時間外労働+休日労働 ・・・月100時間未満、2〜6カ月平均80時間以内

参考:厚生労働省「時間外労働の上限規制」

規定に違反すると罰則も

条件を満たしていないにもかかわらず、法定労働時間を超えて労働させた使用者は労働基準法119条1項に基づいて罰則(6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金)が課される可能性もあります。

労働者は未払いの残業代を請求できる

労働時間を超過して働かせた時には残業代が発生します。ここでは、労働者から未払いの残業代を請求される可能性があるケースを解説します。

裁量労働制(みなし労働時間)の場合

裁量労働制(みなし労働時間)とは、企業が労働時間をある程度労働者に管理させ、事前に決めた時間を働いたこととみなす制度です。裁量労働制が適用されていても、労働者は決められたみなし労働時間を超えた分に関しては、残業代を請求できます。

固定残業代の場合

固定残業代とは、あらかじめ決められた時間分の残業代が基本給の中に含まれている制度です。固定残業代に含まれている時間分の残業が発生しなかった場合でも、労働者に支払われる基本給は減額されません。また、含まれている時間分の残業を超えた場合には、労働者は超過分の残業代を請求できます。

年俸制の場合

年俸制の場合には、契約内容に決められた時間分の残業代が含まれているのが一般的です。決められた残業時間以上に残業した場合は、超過分の残業代を請求できます。

管理職の場合

管理職とは、一般社員を統率する役割を持つ社員のことです。経営者と同等の立場で、出退勤時間の決まりがなく、その地位にふさわしい給与を支払われます。法律上、管理職には割増賃金を支払わなくても良いとされていますが、条件を満たしていない、いわゆる「名ばかり管理職」の働き方を強いられている事実を証明できれば、会社に残業代を請求できる可能性があります。

残業代の請求期限は当面3年

2020年に労働基準法の一部が改正されたことにより、賃金請求権の消滅時効期間が5年に延長され、当分の間はその期間が3年とされました。つまり、未払いの残業代がある場合には、当面は3年以内に請求しなければ、時効によって請求権が消滅してしまいます

時効は、内容証明送付で半年延長、裁判を起こすことでリセットも可能です。

参考:厚生労働省「未払賃金が請求できる期間などが延長されています」

36協定を把握し、正確に労働時間を管理することが重要

労働基準法上の労働時間には明確な規定があります。懲役や罰金といった刑事罰が適用されることを防ぐため、割増賃金の規定や新たな残業時間の上限について定めた36協定の内容も正確に把握した労働時間管理を行いましょう。

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