人事

高度プロフェッショナル制度とは? メリット・デメリットをわかりやすく解説

人事

掲載日時:2019.8.30

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

高度プロフェッショナル制度とは

「従業員の柔軟な働き方を目的で実現させる」2019年に実施に始まった「高度プロフェッショナル制度」とは、どのような制度なのでしょうか?

高度プロフェッショナル制度は労働時間に応じた賃金支払い義務を撤廃する制度。

高度プロフェッショナル制度とは、労働時間に応じた賃金支払い義務を撤廃する制度で、会社で制度を導入する際には労働者の同意と労使委員会の決議が必要になります。

休日・深夜の割賃金などの規定を適用除外とする

高度プロフェッショナル制度が適用された従業員は、労働基準法に定められた休日および深夜の割増金などの規定が適用除外となります。その代わり企業は年間104日以上の休日確保や健康管理時間の状況に応じた健康・福祉確保措置などを実施することが義務付けられています。

高度プロフェッショナル制度の適用条件や対象職種

高度プロフェッショナル制度には、具体的な適用条件があります。対応職種は以下の条件があてはまる一部の専門性の高い職種に限られています。

  • 職務の範囲が明確な職種に従事
  • 最低でも1075万円以上の年収
  • 高度な専門的知識を必要とする業務

高度プロフェッショナル制度の対象職種

現在、高度プロフェッショナル制度が適用される職種は、厚労省の指針で定められている以下の条件が当てはまるものとされています。

1.高度な専門的知識などを必要とする
2.従事した時間と成果の関連性が高くないと認められる業務

厚生労働省によって現時点の対象の職種とされているのは以下の5つです。働き方が不定形になりやすく、成果が算定しやすいため、従来の時間管理に向かないと言われていた職種です。この5つの職種のうち、更に細かく対象・対象外の業務が厚生労働省から示されていますので確認しましょう。

高度プロフェッショナル制度のメリット・デメリット

高度プロフェッショナル制度は出社・退社時間を従業員が決めるなど柔軟な働き方を実現できます。制度を導入うえで具体的にどのようなメリット・デメリットが考えられるでしょうか。

メリット

高度プロフェッショナル制度を導入した場合、どのようなメリットが考えられるか紹介します。

労働時間にとらわれずに柔軟な働き方を実現

高度プロフェッショナル制度では、従業員の事情に応じて多様な働き方を選択できるように、自ら出社・退社などの労働時間を決めることができます。

対象者のワークライフバランスを実現しやすい

一般的な企業の就業規則では、従業員の出勤時間は統一されています。しかし高度プロフェッショナル制度の場合は、出社や退社の時間を自由に決めることができるため、対象者のワークワイフバランスを実現できると考えられます。

事前に出社時間を社内で決めておけば、タイムカードを使用せずに好きな時間に出社することができます。

労働生産性の向上

高度プロフェッショナル制度では、対象となる従業員のモチベーション向上や生産性の向上が期待できます。

デメリット

高度プロフェッショナル制度を導入した場合に考えられるデメリットについても紹介します。

成果の評価が難しい

高度プロフェッショナル制度は、業務の成果に合わせて評価をすることを目的とした制度です。しかし業務内容は従業員それぞれで異なることから、統一した評価が難しく、適正な報酬が反映されない可能性があります。

働いた成果を正しく評価し報酬に反映するために会社側は従業員が納得する評価基準を策定することが求められます。

高度プロフェッショナル制度の対象業務でも単純な成果だけでは評価できない以下のようなケースが考えられます。

研究職の場合

  • 成果を出すのに長い期間がかかるケースがある
  • 目覚ましい成果に直接結びつかないが有益な研究もある

金融ディーラーの場合

  • 世界的な不景気などに影響され、本人の成果だけでは対処しきれない結果を生むことがある

最終的な成果だけでなく過程も評価の対象にするのかなど、高度プロフェッショナル制度の対象職種向けの評価制度を社内で見直す必要があります。

長時間労働を誘発する恐れがある

高度プロフェッショナル制度は労働時間の制約がなく、深夜労働・休日労働を行っても割増賃金が発生しないことから、従業員の長時間労働を誘発させるリスクがあります。過重労働を防ぐため、従業員の勤怠管理を上長が徹底した行うなどの長時間労働を抑制する働きかけが重要です。

勤怠管理が複雑

高度プロフェッショナル制度は出社や退社の時間を自由に決めることができますが、そのため勤怠管理が複雑化し、労務の仕事が増加する懸念があります。

従業員の勤怠管理が疎かになると、健康面のリスクが懸念されます。勤怠管理の見直しとして、勤務時間インターバルの導入や健康管理時間の上限の設置などの対応が求められます。

勤務時間がバラバラ

従業員が自ら勤務時間を決定することから、チームや部署のメンバーとの意見交換や質問といった連携を取ることが困難になる可能性があります。

勤務時間がバラバラになることで、業務の進行が止まってしまうリスクもあります。チームや部署のメンバーで情報を共有できる手段を考える必要があります。

柔軟な働き方を保証するため高度プロフェッショナル制度の適用者に対しては会議出席など時間指定の業務命令を行うことが禁止されています。円滑な意思疎通のためにチャットツールや、WEB会議ツールの導入など柔軟な対応が求められるでしょう。

社内でのコミュニケーションが難しい面も

高度プロフェッショナル制度により、適用社員の働き方に変化が生じると、高度プロフェッショナル制度適用者の従業員と通常の時間に出社する社員とのコミュニケーションが難しくなる面があります。

業務の進行にバラツキが発生することで、報連相が遅れるなどのトラブルが懸念されるため、従業員同士のコミュニケーションを取る手段を検討する必要があります。

裁量労働制との違いは?

高度プロフェッショナル制度と「裁量労働制」は、どのような違いがあるのでしょうか。基本的な考え方として、従業員の評価を成果によって判断する点が共通しています。

裁量労働制は実際の労働時間にかかわらず一定の労働時間働いたものとみなす制度です。みなし労働時間を 9 時間と定めた場合には、実際の労働時間が 8 時間や10時間であったとしてもみなし労働時間の 9 時間働いたものと扱います。高度プロフェッショナル制度はそもそも「○○時間働くという取り決め」(労働時間の制約)がない点が裁量労働制と異なります。

また高度プロフェッショナル制度は、給与額の水準として厚生労働省令で定める1075万円以上であることが求められます。

高度プロフェッショナル制度の健康確保措置とは

高度プロフェッショナル制度の対象者は労働時間の規制から外れるため、過重労働に陥りやすいと指摘されています。企業は対象者の健康を守るためいずれか一つの健康管理措置を実施することが義務付けられています。

1.勤務間インターバルと深夜労働の回数制限制度の導入
2.労働時間を1カ月又は3カ月の期間で一定時間内とする
3.1年に1回以上継続した2週間の休日を与える
4.時間外労働が80時間を超えたら臨時の健康診断を実施する

今後、高度プロフェッショナル制度対象者の年収は下がる?

現在は、専門性の高い一部の職種のみが対象となっている高度プロフェッショナル制度ですが、今後対象者の年収が下がるような制度の改定はあるのでしょうか。

年収要件1075万円に賞与は含まれない

高度プロフェッショナル制度の対象者は現状、省令で年収1075万円以上と定められています。指針では1075万円には、成果や業績に連動する賞与など、支給額が未確定のものは含まれないとされています。

経済界の要望は「年収要件を下げたい」

年収要件は今後下がっていくと考えられます。過去の経団連会長は高度プロフェッショナル制度の前身である「ホワイトカラーエグゼンプション」という制度について、「年収要件を400万円まで下げたい」と発言していました。

すぐには年収要件は下がらない

現状、高度プロフェッショナル制度を導入している会社はごく一部であり、また年収要件を下げるためには、国会での承認が必要です。そのため制度開始から短期間で厚生労働省令で定められている年収要件1075万円以上という金額が大幅に下がる可能性は低いと言えるでしょう。

労働の質を高める制度だが懸念される点も多い

高度プロフェッショナル制度を導入するためには、健康確保措置や年収要件について正確な把握が前提となります。労働生産性の向上や、自由な働き方の促進は高度プロフェッショナル制度がもたらす大きなメリットです。

対象となる従業員の成果の評価が難しく、勤怠管理も複雑化するなどの懸念もあります。対象者については一般社員と同様の客観的な時間管理に加え、慎重な過重労働対策を行う必要があります。

高度プロフェッショナル制度のメリット・デメリットをしっかりと把握した上で導入の検討を行いましょう。

【無料】編集部おすすめ! ダウンロードコンテンツ

高度プロフェッショナル制度を導入を検討する上で企業が把握しておかなければならない点についてまとめたホワイトペーパーです。
人事のための高度プロフェッショナル制度対応ガイド【2019年度版】

社労士が制度の詳細を解説する記事です。
高度プロフェッショナル制度の中身と本当の意味

※本記事は掲載時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

業務ガイド一覧へ


資料請求リストに追加しました