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年末調整の還付金、いつ誰に支払う? 条件と仕訳について解説

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掲載日時:2019.8.30

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年末調整の結果、従業員が税金を払い過ぎていた場合に戻ってくる分が還付金です。源泉徴収した額から還付を行う必要があるのは、雇用主である会社です。精算の実務を担う経理や労務の担当者向けに年末調整の基礎知識、還付金がもらえる人の条件、仕訳の例について詳しく解説します。

年末調整の還付金とは?

年末調整の際の還付金の計算は雇用主(会社)が行います。還付金はどんな場合に発生するのか、源泉徴収の意味と年末調整の流れとともに解説します。

年末調整とは

「源泉徴収」は会社が給与を支払うときに、従業員の給与や賞与から所得税を徴収することです。また、下記の①~③の精算手続きのことを「年末調整」といいます。

1.1年間の給与総額が確定する年末に、本来徴収する所得税の1年間の総額を再計算
2.源泉徴収した合計額とあらためて比較することで、「過不足金額」を調整する
3.余分に源泉徴収をしていた場合、「過不足金額」を従業員に還付する

還付金とは何か

還付金の意味と、年末調整で還付金が発生する仕組みについて、概要を見ていきましょう。

還付金とは

還付金とは、所得税の支払い過ぎといった理由により納税者へ返還される税額のことを指します。

Point

源泉徴収額 > 本来払う所得税 の場合、 払い過ぎていた分の所得税(還付金)が発生する

還付金が発生する仕組み

毎月源泉徴収される所得税は確定した金額ではなく、年間を通して毎月の給与の額に変動がないものとして設定されている仮のものです。毎年の年末調整では、従業員個人のさまざまな控除を考慮したのち、実際の所得と所得税がはじめて確定します。源泉徴収されていた仮の所得税に比べ、確定した所得税が減ることで、還付金が発生します。

Point

源泉徴収と還付金の考え方
1.月々の給与から所得税を差し引く際、月々の所得税を仮の金額で納付する
2.誤差が出れば、会社の側が年末に帳尻を合わせる
3.払い過ぎた分の誤差を会社が計算する
4.会社が従業員に誤差分を支払う
5.還付金として従業員に戻ってくる

還付金が従業員に戻ってくる時期はいつ?

年末調整の還付金を支払う時期と方法については、特に決まりはありません。12月または、1月の給与で還付金を支払うのが一般的です。多くの企業では年内最後の給与支払日に年末調整と同時に従業員の還付金を支払います。ただし、年内最後の給与支払日以降に従業員が結婚したり扶養する子どもができて、扶養控除が新たに発生する場合は年末調整のやり直しが必要になるため翌年1月に入ってから手続きを行う場合もあります。

源泉徴収票を税務署に提出したり、給与支払報告書を各従業員が住む市区町村に提出する期限は1月31日です。手続きが1月後半になると、還付金が支払われるのは2月以降になります。

年末調整の還付金がもらえる人の条件について解説

年末調整後に従業員全員に還付金が必ず戻ってくるわけではなく、所得税をはじめ税金を多く払い過ぎている場合に限ります。どのような条件の人が所得税を多く払っているのか解説します。

年末調整の還付金が発生する条件

年末調整で還付金が戻ってくるのは、勤務先で把握できない所得控除がある人です。源泉徴収する所得税で事前に考慮されるのは「社会保険料」と「申告時点での扶養人数」です。それ以外の控除は考慮されていないため、以下のような控除がある人は多く支払っていた分の税金を還付金として受け取ることになります。

生命保険や地震保険に加入している

生命保険料控除や地震保険料控除が適用されます。

その年に結婚をした

年末調整で扶養控除等(異動)申告書を提出した後、一定の所得金額以下の人と結婚した場合配偶者控除が適用されます。

2017年の法改正により配偶者控除・配偶者特別控除の控除額が以下のように改正されました。

  • 給与所得者の合計所得金額が1,000万円を超える場合には、配偶者控除の適用除外となる
  • 対象となる配偶者の合計所得金額が38万円超、123万円以下に変更

出典:配偶者控除及び配偶者特別控除の見直しについて

社会保険料を自分で払った

手取りの中から親族の社会保険料を払っている、給料天引き以外にも支払っている社会保険料がある人は、社会保険料控除の適用がされます。社会保険料控除が適用される場合、支払った全額が控除の対象になります。

シングルマザー、あるいはシングルファザーになった

要件を満たせば、寡婦控除あるいは寡夫控除の適用を受けられます。控除が適用されるのは、子どもやその他の親族を1人で育てるようになった場合や、所得額が一定以下の場合です。

本人が障害者、または家族に障害者がいる

本人やその家族に、身体障害者または精神障害者がいる場合には、一定金額が控除されて所得税の金額が下がり、年末調整で還付金が発生します。

年末調整で還付金がある場合の会計仕訳

仕訳とは、簿記上の取引を「借方」と「貸方」に分け、仕訳帳に記入することです。年末調整の仕訳は複雑で、間違えると帳簿の源泉徴収税の残高と実際の残高が合わなくなってしまう場合があります。年末調整時の還付金は、会計でどう仕訳すればいいのでしょうか。具体例を挙げ解説します。

還付金の仕訳の例

所得税を多くもらっていたので、12月の給与で還付金を精算した場合の仕訳について、年末調整で10,000円の還付金が発生したBさんの場合について考えてみましょう。

(給与や保険料、住民税の数字は架空のものです)

スムーズに年末調整を行い、還付金を支払うために必要なこと

正確な控除額を把握し、年末調整に必要な書類を揃えておかなければ、従業員に還付金を支払うことはできません。源泉徴収税額の総額、どんな控除が適用されているかを正確に書類似記入し、締め切りどおりに会社に提出するよう呼びかけておきましょう。

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