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【労働基準法上の休日のルール】最低限の付与日数や罰則は?

労務

掲載日時:2023.12.04

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勤怠管理は人事労務担当者が行う基本的な業務の1つ。人事労務の初心者は特に、労働時間や休日・休暇勤務に関する法的ルールを理解しておくことが大切です。
そこで今回は、休日と休暇の違い、労働基準法に基づく最低限の付与日数、休日勤務のルールと賃金など、休日に関する基礎知識を紹介します。

目次

休日と休暇の違い

何気なく使っている休日と休暇。同じ意味を持つように思えますが、この2つは定義が異なります。休日は労働基準法で付与を定められた、もともと労働義務のない日、休暇は労働義務がある日で、労働者の申請により労働義務が免除された日を指します。「休日」に働いた場合、本来労働義務のない日に働くため割増賃金の対象となります。

一方で、休暇は従業員がリフレッシュや私生活の事情などのために特別に取得するもので、この期間は通常、業務を行いません。もし、会社の都合により従業員が出勤する場合には、その日の有給休暇を取り消し、別の日に代替休暇を与えるか、または実際に働いた時間分の給与を支払うことが一般的です。

また、有給休暇には「年次有給休暇の計画的付与制度」という制度があります。これは、年次有給休暇のうち5日を超える分については、企業があらかじめ決めた日に計画的に付与できる制度です。この制度を行うには、規程への記載と労使協定を結ぶことが必要とされます。トラブルを防ぐためにも、企業のカレンダーに反映させる際には、休暇と休日を区別して表示することが望ましいでしょう。

関連:社労士が解説 働き方改革のポイント vol.1「働き方改革関連法 年次有給休暇の取得の義務化について」

法定休日と所定休日の違い

労働基準法第35条で定められている最低限の休日(後述)を「法定休日」といい、法定休日以外の休日を「所定休日」(法定外休日)と呼びます。つまり、休日が2日ある会社では、1日が法定休日、もう1日が所定休日となります。

法定休日とは、労働者の心身の休息と生活の安定を図るため、労働基準法第35条に定められた休日です。法定休日には、日曜日、祝日、国民の祝日、振替休日、年末年始休暇などがあります。

所定休日とは、法定休日以外の休日です。会社が独自に決められる休日で、必ず付与する義務はありません。所定休日には、土曜日、祝日の翌日、会社独自の休日などがあります

労働基準法上の休日のルール

労働基準法上の休日のルールや付与日数、休日勤務に関する罰則や割増賃金などについて説明します。

最低でも1週1休か、4週4休以上の休みが必要

労働基準法では、使用者は少なくとも毎週1回、または4週間を通じて4回以上の休日を与える義務があるとしています。

第1項 使用者は、労働者に対して、毎週少くとも一回の休日を与えなければならない。
第2項 前項の規定は、四週間を通じ四日以上の休日を与える使用者については適用しない。
(労働基準法第35条)

また、労働基準法では原則として労働時間の上限は1日8時間、1週間40時間と定められています。例えば1日8時間、週5日を勤務時間とする場合、法定労働時間である40時間をオーバーしてしまいます。そのため、週1回の法定休日に加えて休日をもう1日設定する必要があります。

これらの決まりを守らないと、労働基準法違反となり、6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科されます

年間休日数は何日にすべき?

新しく会社を設立するときには、年間休日を何日にすべきか迷うかもしれません。年間休日数については法的な決まりはありませんが、所定労働時間によって必要な休日数は異なります。

労働基準法第35条では少なくとも「週1回以上」の休日付与が必要なため、極端に言えば約52日(1年は約52週)以上休みがあれば35条を遵守できます。さらに、労働基準法第32条では労働時間の上限は「1日8時間、1週間40時間」と定められているため、これを守るためにはより多くの休日が必要です。例えば1日8時間勤務の場合、計算すると年間休日数105日以上が妥当ということになります。

<所定労働時間が8時間の場合の年間休日数>
1年の労働時間の上限…40時間 × 52週 = 2080時間
年間勤務日数…2080時間 ÷ 8時間 = 260日
年間休日数…365日 - 260日 = 105日

上記は8時間勤務のケースであり、所定労働時間が7時間30分の場合、必要な年間休日数は87日となります。法で定められた最低限の基準を守った上で、業務形態や会社の規模に合わせて休日を設定しましょう。

休日勤務のルールと賃金

従業員を休日に働かせる場合には、36協定(時間外・休日労働の取り決めに関する労使協定)を締結し、所轄労働基準監督署長に届け出なければいけません。36協定届(時間外労働・休日労働に関する協定届)を出さずに休日労働させた場合や「最低でも1週1休もしくは4週4休の休み」を付与しなかった場合は違法となります。

参考:厚生労働省「主要様式ダウンロードコーナー(労働基準法等関係主要様式)

休日に勤務させた場合は、法定休日と所定休日で扱いが異なります。法定休日の場合、基礎賃金に割り増しをした割増賃金(休日手当)を支払う必要があります。所定休日の場合、週40時間を超えた分については時間外労働として計算します。ただし、事前に出勤日と休日を入れ替えて振替休日を与え、かつ週の労働時間が40時間を超えない場合は、割増は必要ありません。後から別の日に休日を与える代休の場合は、割増賃金が必要です。

なお、働き方改革の一環として、労働基準法が改正され、時間外労働の上限が法律に規定されました。この改正は2019年4月から大企業に適用され、中小企業については2020年4月から適用されています。また、これまで建設業では、5年間の時間外労働の上限規制の猶予期間が設けられていましたが、2024年(令和6年)4月より、災害時を除き、時間外労働の上限規制が原則通りに適用されます。

参考:時間外労働の上限規制の適用猶予事業・業務(厚生労働省)

休日労働、時間外労働などの割増賃金率は以下の通りです。

割増賃金率

休日労働(法定休日に労働した場合) 35%以上
時間外労働 25%以上
深夜労働 25%以上
月60時間を超える労働 50%以上

このように、休日労働や時間外労働などの割増賃金の計算方法は、国が定める労働基準法に準じているため複雑であり、法律が改正されることも度々あります。そのような時に役立つのが給与計算システムの導入です。@人事では、給与計算システムの基本からさまざまなサービスの活用方法まで、詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。

関連ページ:給与計算システム完全ガイド|@人事

法的なルールを正しく理解し、適切な運用を

休日の付与日数や法定労働時間など労働基準法上の定義や決まりを理解することが、労使トラブルの防止につながります。正しく理解した上で従業員に対して休日を付与・管理しましょう。

※本記事は掲載時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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