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就業規則とは? 記載事項や雛形、届け出までの流れも紹介

労務

掲載日時:2018.12.26

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労働者が守らなくてはならない会社のルールを定めたものが就業規則です。労働者数が10名以上だと就業規則の作成義務があり、総務や人事は会社の実情に応じて就業規則を作成しなければなりません。今回は、就業規則の作成手順や作成時の注意点、テンプレート、そもそも就業規則は何のために作るのかなどを解説します。

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就業規則の作成義務やテンプレート

まず、就業規則の概要や企業の作成義務について説明します。就業規則のテンプレートも紹介しているので参考にしてください。

就業規則とは?

就業規則とは、労働基準法に基づいて労働条件や待遇など働く上でのルールをまとめたもののことです。就業規則を作成すれば、懲戒解雇の種類や方法、昇給・減給の基準などが明確になり、労使トラブルを未然に防止できる、労働者が安心して働ける環境が整うといったメリットがあります。また、厚生労働省の助成金制度を利用するための要件に「就業規則の作成」が掲げられている場合があり、就業規則の作成は助成金対策にも役立ちます。

労働者数10名以上なら作成義務がある

常時10人以上の労働者がいる場合は、就業規則を作成し届け出る義務があることが労働基準法第89条により定められています。この義務に違反した企業には30万円以下の罰金が科されます。
作成の義務があるのは、企業単位ではなく、事業場単位(事務所や店舗など)です。また、「常時10人」とは、常態として10人以上の労働者がいる状態を指します。この「労働者」という言葉には正社員、パート、アルバイトなど全ての人が含まれます。ただし、派遣社員は、派遣先に雇用されているため、事業場の常時10人に含まれません。代わりに派遣先の労働者として数えられます。例えば、「通常7人体制だが繁忙期のみ派遣社員を3人雇った」というケースでは就業規則の作成義務はありません。
とはいえ、会社のルールがあいまいだと労使間で理解が食い違い、トラブルに発展することも考えられます。労働者が10人に満たない場合であっても明確な判断指標を示すために就業規則を作ることが望ましいといえます。

就業規則のテンプレート

例として厚生労働省と東京労働局の就業規則を紹介します。就業規則は、自社の方針や業務内容に沿った内容にすることが大切です。内容に不安があれば、社労士や弁護士など就業規則の作成を扱っている専門家に相談しましょう。

就業規則の作成方法

次は、就業規則に記載する事項や具体的な作成の流れについて説明します。

就業規則の記載事項

就業規則には、絶対的必要記載事項、相対的必要記載事項、任意的記載事項の3種類の記載事項があります。項目の詳細は以下の通りです。

絶対的必要記載事項

絶対的必要記載事項とは、必ず記載しなければならない事項のことです。

1.労働時間 始業・終業の時刻、休憩時間、休日、休暇並びに労働者を2組以上に分けて交替に就業させる場合においては就業時転換に関する事項
2.賃金 賃金の決定、計算・支払いの方法、賃金の締切り・支払いの時期、並びに昇給に関する事項
3.退職 退職に関する事項(解雇の事由を含む)
1.労働時間 始業・終業の時刻、休憩時間、休日、休暇並びに労働者を2組以上に分けて交替に就業させる場合においては就業時転換に関する事項
2.賃金 賃金の決定、計算・支払いの方法、賃金の締切り・支払いの時期、並びに昇給に関する事項
3.退職 退職に関する事項(解雇の事由を含む)

相対的必要記載事項

相対的必要記載事項とは、会社のルールとして定める場合に記載が必要な事項のことです。

1.退職手当 適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算・支払いの方法、並びに退職手当の支払いの時期に関する事項
2.臨時の賃金・最低賃金 臨時の賃金等(退職手当を除く)および最低賃金額に関する事項
3.費用負担 労働者に食費、作業用品その他の負担をさせることに関する事項
4.安全衛生 安全・衛生に関する事項
5.職業訓練 職業訓練に関する事項
6.災害補償・業務外の疾病扶助 災害補償・業務外の傷病扶助に関する事項
7.表彰・制裁 表彰・制裁の種類・程度に関する事項
8.その他 事業場の労働者全てに適用されるルールに関する事項
1.退職手当 適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算・支払いの方法、並びに退職手当の支払いの時期に関する事項
2.臨時の賃金・最低賃金 臨時の賃金等(退職手当を除く)および最低賃金額に関する事項
3.費用負担 労働者に食費、作業用品その他の負担をさせることに関する事項
4.安全衛生 安全・衛生に関する事項
5.職業訓練 職業訓練に関する事項
6.災害補償・業務外の疾病扶助 災害補償・業務外の傷病扶助に関する事項
7.表彰・制裁 表彰・制裁の種類・程度に関する事項
8.その他 事業場の労働者全てに適用されるルールに関する事項

任意的記載事項

任意的記載事項とは、法で記載の必要性が定められていない項目のことです。就業規則の目的、社是、慶弔見舞金、社会保険の適用、規則改訂の手続きなどが例として挙げられます。

作成~届け出までの流れ

就業規則を作成し、届け出るまでの流れを見ていきましょう。

作成~届け出までの流れ

1. 会社の現状を把握
2. 就業規則を作成
3. 労働者の代表から意見聴取
4. 労働基準監督署へ届け出
5. 就業規則を労働者に周知

1. 会社の現状を把握

就業規則に反映させることを考えて、賃金や労働時間、休日、遅刻・欠勤など会社の実態を把握します。

2. 就業規則を作成

就業規則の例を参考にしたり、就業規則作成の専門家に相談したりしながら、就業規則の原案を作成します。就業規則の作成方法は、自社で作成する方法と社労士などの専門家に依頼する方法との2種類があります。

3. 労働者の代表から意見聴取

労働者の代表を選出し、就業規則に対する意見書を作成してもらいます。の代表とは「労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては、労働者の過半数を代表する者」を指します(労働基準法第90条第1項)。代表者の選出には要件があり、部長や課長など管理職にある人は労働者の代表者になることができません。また、選出は指名ではなく投票・選挙など民主的な方法で行わなければならないとされています。

労働者代表の要件

①労働基準法第41条第2号に規定する監督または管理の地位にある者でないこと。
②法に規定する協定等をする者を選出することを明らかにして実施される投票、挙手等の方法による手続により選出された者であること。

4. 労働基準監督署へ届け出

労働者の意見書を添えて、就業規則を2部用意し、労働基準監督署へ提出します。原本は労働基準監督署へ提出し、もう1部は自社用の控えにします。

5. 就業規則を労働者に周知

届け出後、速やかに就業規則を職場に周知します。就業規則は作成するだけではなく、実質的な周知を行わなければ有効となりません。労働者が見やすい場所に掲示する、書面で交付するなどして労働者が内容を常に確認できる状態にしておく必要があります。

就業規則作成時のポイント

就業規則作成時のポイントを3つご説明します。

1.自社の実態に合わせた形にする

会社によって働き方や労働環境が異なるため、会社の実情に合わせることが重要です。余分な条文を含んだり内容に不足があったりしないよう、モデル規則の丸写しは避けましょう。

2.現在の法律に則った内容にする

労働に関する法律は頻繁に改正があるため、就業規則が古くならないように定期的に見直しを行い、法改正時は最新の内容に対応させましょう。法改正内容は各都道府県労働局のホームページで確認できます。

3.内容を途中で勝手に変更しない

労働者の同意なく、労働者に不利になるように一方的に労働条件を変更することは原則としてできません。内容を変更するときは労働者代表に意見聴取した上でよく検討する必要があります。

就業規則の作成がいきいきした職場づくりにつながる

不当解雇として労働者から訴えられたり、遅刻欠勤による賃金控除で労使間でトラブルが生じたりするのは、就業規則を作成しておらず労働条件が明示されていなかったりすることが主な原因です。就業規則を作成し、労働者と使用者の間の公平性が保たれることで、労働者はよりいきいきと働くことができるようになります。就業規則がない会社は作成を検討し、ある会社はこれを機に内容を見直してみてはいかがでしょうか。

※本記事は掲載時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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