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うつ病で休職する社員の対応

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掲載日時:2018.11.29

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メンタルヘルス不調を抱える社員が増加し、2015年からは労働安全衛生法の改正に伴いストレスチェックの実施が義務付けられるなど、企業がメンタルヘルス問題に取り組む必要性が高まってきています。実際に会社で心の健康問題を抱えた社員が出た場合、どのように対応すれば良いのでしょうか。今回は、うつ病で休職する社員への対応やトラブルを防ぐための注意点などについて解説します。

うつ病社員の対応の流れと注意点

うつ病などメンタルヘルス不調を抱える社員がいた場合、どのように対応すれば良いのでしょうか。対応の流れと注意点を説明していきます。

(1)診断書を提出してもらう

医師の判断なしには会社としての対応方法を決められないため、まずは医師の診察を受けさせ、主治医による診断書(病気休業診断書)を提出してもらいます。症状の悪化を防ぐためにも早めに受診してもらうことが大切です。また、本人が辛そうだからといって勝手に休職の判断を下さないようにしましょう。後から「不当な扱いを受けた」「休むつもりはなかったのに」と社員に訴えられる可能性があるためです。
診断書には休業を要するか、どのくらいの休業期間が必要かを主治医に記載してもらいます。それをもとに休職するか働きながら治療するかを決定します。

(2)就業規則に従って対応を決める

休職する場合は就業規則に則ってその後の対応を決めていきます。そもそも就業規則に休職に関する規定を設けていない場合は、個別に労働契約を結んで休職させます。休職中の賃金の有無、保険料の支払い、休職後の処遇などは後から社員とトラブルになりやすいです。自社の就業規則をよく確認した上で、以下の項目を盛り込んで書面化し、休職する社員に渡すと良いでしょう。

休職する社員に説明が必要な項目

  • 休職事由、休職期間
  • 休職中の賃金
  • 休職中の社会保険料の負担
  • 復職する・できない場合の手続き
  • 休職中の連絡方法
  • (申請する場合は)傷病手当金の手続き方法、必要書類など

休職事由、休職期間

休職事由とは、どんなときに休職を認めるかを定めたものです。「会社が認めたとき」「◯カ月以上、欠勤が続いたとき」など、会社の就業規則によって休職事由の定め方が異なります。「◯カ月以上」と期間を定めているようなケースで、間違って指定の期間が過ぎる前に早めに休職を開始してしまうと、万が一訴訟に発展したときに不利になる可能性があるため、よく確認する必要があります。

休職中の賃金

会社側に休職中の賃金支払い義務はありません。通常、賃金を支払う必要はありませんが、就業規則で「休職中も給与を支払う」と定めている場合は支払う必要があります。

休職中の社会保険料の負担

休職中も社会保険料は発生します。社会保険料の負担割合は、会社と社員で半分ずつと法律で定められています。休職期間中、無給の場合は給与から保険料を差し引くことができないため、毎月社員から会社に振り込んでもらう、会社が立て替えておき復職時にまとめて徴収するなど、休職中の社会保険料の徴収方法を事前に話し合って決めておきましょう。

復職する・できない場合の手続き

復職する・できない場合の手続きや対応についても伝えるようにしましょう。「休職期間終了後に復帰できなければ退職または解雇」と就業規則に定めているのが一般的ですが、その説明なしに社員を解雇すれば不当解雇として訴えられる可能性があります。復職を希望する際の手続きや、復職に向けて会社からどんな支援があるか、復職後の働き方(時短勤務や配置転換など)について社員と話し合い認識を共有しておくことが大切です。

休職中の連絡方法

連絡窓口や連絡の頻度、方法、内容を事前に取り決めておきます。休職中、本人と連絡が取れなくなったときのために社員の家族の連絡先も聞いておきましょう。

(申請する場合は)傷病手当金の手続き方法、必要書類など

傷病手当金は、会社から十分な報酬を得られないときに一定の条件を満たしていた場合、給与の3分の2程度の金額が支給される制度です。手続き方法や必要な書類などを休職する社員に案内しましょう。

職場復帰支援の体制整備や休職規定の例について、詳しくは厚生労働省の「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」を参考にしてください。

(3)業務の引き継ぎを進める

休職制度や休職中の会社の対応について説明した後は業務の引き継ぎを行います。ただし、 「一刻も早く休む必要がある」と医師に診断された場合は該当社員をすぐに休ませましょう。休職期間が長期にわたる場合は、派遣社員を雇う、人員を増やすなどして残された社員のフォローを忘れないようにすることも大切です。

うつ病社員の解雇を視野に入れているときの注意点

うつ病で休職している社員に復職できる見込みがない場合、人事担当者は退職や解雇の可能性も考慮せざるを得ません。しかし、不適切な対応をすれば不当解雇で訴えられ、多額の慰謝料を請求されるケースも。会社として誤った対応をしないための注意点を紹介します。

むやみに解雇することはできない

休職が何カ月も続いたような場合、いつ社員が戻ってくるか分からないからといって会社が一方的に社員を解雇することはできません。最終的な判断権は会社にありますが、復帰の可否判断は産業医と主治医の判断を仰いだ上で行う必要があります。時短勤務、軽作業・定型作業への転換など、労務負荷の軽減により復帰できるケースもあるため、復帰の可否判断は慎重に行いましょう。

復職判断では主治医と産業医の意見が分かれることがある

主治医と産業医は同じ「医師」ですが、双方の役割の違いから復職の判断の際に意見が対立するときがあります。主治医は基本的に患者の立場に立ち、患者が日常生活を送ることができるレベルまで回復したかを判断します。一方、産業医は社員が業務を遂行できるレベルまで回復したか判断することを専門としており、診断・治療は行いません。そのため、主治医が「復職可能」と判断したとしても産業医からすると「まだ早い」と思われるケースもあり、両者の間で意見が分かれることがあります。

解雇できるケース・できないケース

休職期間終了後に解雇できるかできないかについては、うつ病などの精神疾患になった原因が「会社にあるかどうか」によって判断が分かれます

以下のようなケースでは不当解雇と判断される場合が多いです。

  • パワハラ、セクハラ、長時間労働、退職強要などを原因として休職していた場合
  • 医師が復職可能と判断したにも関わらず解雇した場合

休職の原因が会社に起因していない場合は、就業規則で「休職期間終了後に復帰できなければ退職または解雇」といった旨を定めていれば休職期間終了後に解雇できる可能性があります。また、労災認定を受けている社員は、労働基準法19条により休業している期間とその後30日間は解雇できません。ただし、以下のケースは例外です。

解雇制限が解除されるケース
(1)会社が打ち切り補償(平均賃金の1,200日分)を支払った場合
(2)療養開始後3年を経過した時点で傷病補償年金を受け取っている場合(傷病補償年金は、いくつかある労災保険給付の1つ)
(3)天災などのやむを得ない理由で事業継続が不可能になった場合

就業規則でルールを定め、周知することが大切

休職について労働基準法で決められたルールはありません。労使間のトラブルを未然に防ぐためには、就業規則で休職中の処遇や休職期間終了後の対応についてルールを定めておき、内容を社員に周知することが大切です。

【編集部より】
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※本記事は掲載時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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