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有給休暇の付与ルール・賃金の計算方法

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掲載日時:2018.11.29

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有給休暇(年次有給休暇)は、一定期間働いた労働者に与えられる、心身をリフレッシュさせるための休暇です。ここでは、基本的な付与ルールや有給休暇取得日の賃金の計算方法について解説します。一般的な労働者とパート・アルバイトで付与日数はどう違うのか、時季変更権が有効となるケースなども確認していきましょう。

有給休暇の付与ルール。パート・アルバイトも同じ?

有給休暇(年次有給休暇)は、労働基準法第39条で定められた、休んでいる間も賃金が支払われる休暇のことです。(1)雇入れ日より6カ月継続して勤務する(2)その期間の全労働日の8割以上出勤するという2つの条件を満たした従業員に10日間の休暇が付与されます。付与日数は勤務年数に応じて増えていきます。また、有給休暇は原則として1日単位で取得しますが、労働者が希望し、使用者が同意すれば半日単位で取得させることも可能です。使わなかった有給休暇は翌年に繰り越され、発生した日から2年で無効になります。

有給休暇の付与日数(一般的な労働者の場合)

有給休暇の付与日数(一般的な労働者の場合)

引用:厚生労働省より

2019年4月からは、法改正により年5日の有給休暇の取得義務化が始まります。これに違反した企業には6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金が課せられます。計画的付与制度を導入する、標準化できる業務に関してはマニュアル作成を進めるなどして、休みやすい工夫をしたり休んでも業務に支障が出にくいような仕組みづくりに取り組みましょう。

パート・アルバイトにも有給休暇は付与される

有給休暇はパート・アルバイトにも付与されます。ただし、週の所定労働日数が30時間未満で、かつ、週所定労働日数が4日以下、または1年間の所定労働日数が48日から216日までの労働者(いわゆるパート・アルバイト)には一般の労働者(週所定労働時間が30時間以上、所定労働日数が週5日以上の労働者、または1年間の所定労働日数が217日以上の労働者)より少ない日数が付与されます。付与日数は以下の通りです。

有給休暇の付与日数

有給休暇の付与日数

引用:厚生労働省より

有給休暇の管理方法は、勤怠管理ソフトを使用したりエクセルを使用したりと会社によってさまざまです。手作業での管理はミスが生じやすくなるため、例えば以下のような有給休暇管理表を使って、自動で残日数が計算されるようにすると良いでしょう。

有給休暇管理表の例(エクセルダウンロード)

有給休暇取得日の賃金の計算方法

有給休暇を取得した日の賃金の計算方法は、平均賃金、通常賃金、標準報酬月額の3つがあります。どの方法で計算するかは就業規則により決められています。

(1)平均賃金

過去3カ月の賃金を労働日数で割って算出する方法です。以下のどちらかの計算方法のうち、金額が高い方を適用します。平均賃金について詳しくは労働基準法第12条に規定があります。

  • 過去3カ月間の賃金合計 ÷ 過去3カ月間の総日数
  • (過去3カ月間の賃金合計 ÷ 過去3カ月間の労働日数)× 0.6

(2)通常賃金

「有休を取得する日の勤務時間 × 時給」で計算する方法です。1日の労働時間が決まっている場合に使われることが多い計算方法です。

(3)標準報酬月額

健康保険法の標準報酬月額を相当額と見なして支払う方法です。この方法で支払うためには労働者と労使協定を結ぶ必要があります。パート・アルバイトの中には健康保険の加入条件を満たさず働いている人も多くいるため、この方法はあまり用いられていません。

有給休暇にまつわるQ&A

有給休暇の基本的なルールが分かったところで、「時季変更権はどこまで行使できるのか」「有給休暇の計画的付与の方法は?」など、人事総務担当者が気になる有給休暇の疑問に答えていきます。

時季変更権はどこまで行使できる?

基本的に会社は従業員からの有休取得の申し出を拒否できませんが、事業の正常な運営を妨げる場合に限り、取得日を変更するよう促すことができます(労働基準法第39条第5項)。これを時季変更権といい、例えば「繁忙期や決算期などでこの時期休まれると業務に多大な支障をきたす」「代替のきかない重要な業務があり、納期が差し迫っている」といった著しく業務に支障を及ぼすケースでは時季変更権が認められる可能性があります。

有給休暇の計画的付与の方法にはどんなものがある?

有給休暇の計画的付与には、一斉付与、交替付与、個別付与などの方法があります。それぞれ概要は以下の通りです。

一斉付与方式

事業所、企業全体を一斉に休みにする方式です。製造業など全従業員を休ませても問題ない業種などで用いられるケースが多いです。

交替付与方式

班やグループ別に交替で付与する方法です。流通・サービス業など全員が一度に休むことが難しい業態で用いられる場合が多いです。

個別付与方式

1人ひとりに合わせて付与する方式です。計画的付与を実施しやすくするため、連休の間の平日を休日扱いにして大型連休にしたり、誕生日や結婚記念日などを「アニバーサリー休暇」として事前に有給休暇として組み込んだりするパターンがあります。

業種や企業規模によって適した付与方式は異なります。自社の実態に合わせて付与方式を検討しましょう。

有給休暇の取得ルールについて正しい理解を

人事総務担当者として、従業員から有休取得のルールに尋ねられたときにきちんと答えられるようにしておく必要があります。有給休暇の付与条件や付与日数などを正しく理解し、いつ申請があっても対応できるようにしておきましょう。

【編集部より】
社労士による、有休取得義務化に関する解説記事はこちら。

働き方改革関連法 年次有給休暇の取得の義務化について
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