労務管理システムを導入する際には、どの種類のシステムが選択肢として存在し、それにかかる費用がどの程度かを具体的に把握しておくことが重要です。このページでは、労務管理システムの異なる種類やサービス形態、導入方法、費用相場について詳しく解説します。
目次
労務管理システムは、主にオンプレミス型とクラウド型の2種類に分けられます。それぞれ特徴やメリット・デメリットが異なるため、自社に最適な労務管理システムを導入するためには、どちらの形式を選ぶか検討が必要です。
オンプレミス型 | クラウド型 | |
---|---|---|
初期費用 | 高額 | 低額 |
セキュリティ | 高い | 低い |
運用方法 | 自社で運用可能 | インターネット環境必須 |
カスタマイズ性 | 高い | 制限あり |
オンプレミス型は、企業が自社のサーバーに専用のソフトウエアをインストールして利用する形式です。このシステムはデータ管理が企業内で行われるため、情報漏えいのリスクが低く、セキュリティ面で高い信頼性が確保されます。
また、自社でシステムを構築・運用することが可能なため、外部のサービスプロバイダーに依存せず、システムのカスタマイズが可能です。ただし、導入やメンテナンスには専門知識が必要であり、自社内で専門家の確保が求められます。また、サーバーやネットワーク機器、ソフトウエアライセンスの購入といった初期費用が高額になる傾向があります。
例)The Staff-V、TimePro-VGなど ※いずれも、クラウド型もあり
クラウド型は、インターネット上のサーバーで提供されるソフトウエアを利用する形式です。インターネット環境が整っていれば、どこからでもアクセスできるため、リモートワーク環境にも適応しやすく、労務管理業務を効率的に行うことが可能です。
さらに、サーバーや物理的な設備を購入する必要がないため、オンプレミス型に比べて初期費用を抑えられる大きなメリットがあります。
ただし、自社内での運用ができないため、機能の拡張やカスタマイズ性には制限があります。また、インターネット環境が必須であるため、環境が整っていない場所では利用が困難です。さらに、データをクラウド上に保存することにより、セキュリティ面でのリスクも存在します。
例)SmartHR、freee人事労務など
労務管理システムのサービス形態には、主に単品汎用型・機能拡張型の2種類があります。自社の業務環境やニーズに応じて、適切なサービス形態を選定しましょう。
単品汎用型 | 機能拡張型 | シリーズ連携型 | |
---|---|---|---|
機能 | 一つのシステムで多岐にわたる業務を統合できる | 特定のニーズに合わせて機能を柔軟に追加・削除できる | 特定のニーズに合わせて機能を柔軟に追加・削除できる |
連携性 | 外部連携が限定的 | 外部システムとの連携が容易 | 同じメーカーが提供する労務管理システムを連携させるため、連携がスムーズに実施できる |
おすすめの企業 | 一つのシステムで、業務を管理・効率化したい企業 | 機能を柔軟にカスタマイズしたい・コストを節約したい企業 | 一つのシステムで一元管理をしたい企業。データの連携ミスや重複が発生しやすい企業 |
単品汎用型は、労務管理に関連する多岐にわたる機能を一つのシステム内に統合したサービス形態です。労務管理に留まらず、給与計算や勤怠管理など、多岐にわたる機能を一つのプラットフォームで管理することができ、企業のバックオフィス業務を大幅に効率化できます。
単品汎用型は、企業の規模や業界に関係なく適用可能であり、人事および労務関連の業務プロセスの一元管理と効率化を求める企業におすすめです。
例)SmartHR、freee人事労務、COMPANY、HR Brain労務管理、クラウドハウス労務など
機能拡張型は、基本機能に加えて企業の特定のニーズに合わせた追加機能を組み込むことができるサービス形態です。
例えば、導入後に年末調整機能、給与明細発行機能、勤怠管理機能などを必要に応じて組み込むことができ、同時に不要な機能の排除もできます。これにより、企業は無駄な費用を節約でき、コスト効率を重視する企業にとって大きなメリットです。
また、外部システムとの連携にも優れており、既存のシステムとの連携が必要な企業にとって大きな利点です。
例)オフィスステーション労務、ジンジャー人事労務など
シリーズ連携型は、一つのメーカーから提供される複数の労務管理システムを一緒に使用する方式です。
従来の労務管理システムでは、入退社の手続き、勤怠管理、給与計算など、それぞれ別のシステムを導入する必要がありました。そのため、システム間の連携に多くの手間がかかり、データの入力ミスなどの問題が生じることがありました。
しかし、シリーズ連携型の場合、全てが同じメーカーのシステムで構築されているため、システム間の連携が効率的に行われます。この一元化により、データの入力ミスや重複の問題も大幅に減少します。
例)ジョブカン労務HR、マネーフォワードクラウド社会保険労務など
労務管理システムを導入する際、主に「パッケージ型」と「フルスクラッチ型」の2つの方法が存在します。それぞれの特徴を深く理解し、自社のニーズや予算に合わせて適切なタイプを選択しましょう。
パッケージ型は、完成済みの労務管理システムを自社の要件に合わせて選択、導入する方式です。比較的低コストで導入可能であり、早期に運用を開始できます。必要に応じて、後から業務プロセスに合わせてカスタマイズも可能です。
フルスクラッチ型は、自社のニーズに完全に対応した労務管理システムをゼロから開発、導入する方法です。完全にオリジナルのシステム構築が可能ですが、高額な費用と長期の導入期間が必要です。また、法改正などへの迅速な対応も重要です。
労務管理システムを導入する際の費用相場を理解するとともに、適切な予算設定が重要です。以下で、費用相場の概要や、導入時の重要なポイントについて詳しく説明します。
労務管理システムの費用は多岐にわたりますが、クラウド型の場合、初期費用は0〜100,000円、1ユーザー当たり月額300〜1,100円が相場とされます。
一部のシステムでは基本機能を無料で利用できるプランが提供されています。これは小規模企業やスタートアップに有効な選択肢ですが、有料プランに比べて機能が限定されるデメリットもあります。
労務管理システムの費用相場は以下の要因によって決まります。企業はこれらの要因を総合的に考慮する必要があります。また、複数のベンダーから提案を収集し、最適な選択をするために比較検討を行うこともおすすめです。
労務管理システムの料金設定は、提供するサービスや機能、利用者数、利用頻度などに応じて異なります。以下のような料金タイプが一般的です。
利用量に応じて料金が変動するプランです。この場合、実際に使用したサービスや機能に応じて支払う料金が決まります。利用量が変動しやすい企業に適しています。
企業は毎月同じ金額を支払い、利用量に関係なく一定の予算内でサービスを利用できます。予算管理に役立つプランです。
初期費用と月額従量課金を組み合わせたプランです。企業は最初に一定の初期費用を支払い、その後は月額料金を従量課金方式で支払います。
システムの利用料金を年間で一括して支払う方法を指します。年額払いを選ぶことで、月額払いに比べて割引が適用されることが多いです。
労務管理システムの利用料金は、サービスプロバイダーや製品によってさまざまです。以下の表は、実在するサービスの料金パターンを示しています。導入する際の参考としてご覧ください。
▼労務管理システム料金比較表(2023年9月調査)
企業 | 初期費用 | 月額料金 | システム | サービス形態 | 導入方法 | 無料プラン |
---|---|---|---|---|---|---|
A社 | 0円 | 0円(30人以下) | クラウド型 | 単品汎用型 | パッケージ型 | あり |
B社 | 0円 | 400円/ユーザー | クラウド型 | 機能拡張型 | パッケージ型 | あり |
C社 | 11万円〜 | 440円/ユーザー | クラウド型 | 機能拡張型 | パッケージ型 | なし |
D社 | プラン依存 | 300円/ユーザー | クラウド型 | 機能拡張型 | パッケージ型 | 無料トライアル |
労務管理システムの導入は、企業の労務業務効率化とコンプライアンス保持に重要なステップです。企業は自身のニーズと予算を考慮しながら、最適なシステムを選定する必要があります。導入前には、各システムの特徴と費用をしっかりと比較検討し、効果的な労務管理を実現しましょう。※こちらのページに掲載している情報は2023年9⽉時点のものです。
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