社食サービスの導入を検討しているものの種類やメリットがよく分からないという人事・総務担当者向けの解説ページです。企業・従業員視点でのメリットのほか、福利厚生として社食サービスを利用するために必要な条件についても紹介します。
目次
社食サービスとは、主に従業員の健康管理を目的として企業が食事を補助するものです。さまざまなサービスが各ベンダーによって展開されています。一般的に、社内や近隣に設置された食堂で提供したり、弁当を配布することが多いですが、近年はデリバリー型や設置型といった新しい形態の社食サービスも登場しています。
社食サービスは福利厚生として提供できます。ただし条件が決まっているため、導入前に確認しましょう。以下、代表的な疑問点と回答を紹介します。
負担割合は一律ではなく、福利厚生費として計上する意図がなければ、企業が全額賄っても問題はありません。しかし、条件を満たせば福利厚生費として計上できるため、企業と従業員双方が負担する方法で提供するのが一般的でしょう。
企業側からすれば節税対策になり、従業員側からしても通常の価格の半額ほどで食事ができ、双方にメリットがあると言えます。
昼食代は、企業が全額負担してしまうと給与扱いになってしまうため、福利厚生費にはなりません。また、弁当などの現物支給をする際も同様に、企業が全額負担すると福利厚生費として計上できないので注意しましょう。
社食サービスを福利厚生として利用するためには、以下の条件を満たさなければなりません。
参考:国税庁「タックスアンサー(よくある税の質問)/ No.2594 食事を支給したとき」
例えば月20回、500円(=10,000円/1人)の弁当を届けてくれる社食サービスを利用した場合、企業が一人あたり3,500円を負担することで、従業員の毎日の昼食負担額を325円に抑えつつ、かかった費用を福利厚生費として計上できます。
ただし、支払いはいったん企業が賄って、後ほど従業員から本人負担分(上記例で言えば6,500円)を徴収もしくは天引きしましょう。食事代として、先に3,500円を従業員に支給してしまうと給与扱いになり課税されてしまいます。
また、企業の負担額が3,500円を超えてしまうと超過した差額分だけ課税されるのではなく、全額課税されてしまうため注意が必要です。
加えて福利厚生は「均等待遇」であることが基本なので、全従業員を対象にすることも大切です。
関連ページでは福利厚生に関するより詳しい内容を含め、社食サービスに関するさまざまな質問に回答しています。
関連ページ:【Q&A】社食サービスについてのよくある質問
社食サービスの種類はさまざまです。企業のニーズや従業員のライフスタイル、予算に応じて選ぶことをおすすめします。
社員食堂は、企業の敷地内に設置する食堂のことで、従業員が日常的に利用できます。健康的な食事を提供し、従業員の健康維持や生産性向上に貢献します。
また、社員同士のコミュニケーションの場としても機能します。運営方法は、直営方式、準直営方式、外部委託(アウトソーシング)方式に分類できます。
オフィス内に専用の冷蔵庫や冷凍庫を設置し、そこに食材や調理済みの食事を常備する形式のサービスです。従業員は好きな時に食事ができます。柔軟に利用できるため、設置スペースが確保できれば便利なサービスだと言えます。
注文時に指定した時間に合わせて、弁当やパン、おかずなどの食事が配達されるサービスです。メニューのバリエーションが豊富で、その日の気分に合わせて商品を選べます。社員食堂を持たない小規模な企業や、近隣に飲食店が少ない企業などにおすすめです。
会議室や休憩スペースといったオフィスの一画を利用して、従業員に食事を提供するサービスです。調理の手間はありませんが、配膳と食事ができる一定の空間がなければ導入は難しいでしょう。
提携している飲食店などの代金を、企業がチケットや電子マネーで補助するものです。コンビニでの購入にも利用できるサービスもあります。加盟店の数はサービスにより異なりますが、外回りなどでオフィスに戻れないときやリモートワーク、休日出勤の際にも利用可能なのが特徴です。
上記で紹介したサービス以外にも、自動販売機や無人型のコンビニタイプもあります。設置型同様に設置のためのスペースが必要ですが、時間を問わず自由に利用できるのが特徴です。
働き方に応じたニーズや設置スペース、コストに合わせて自社にぴったりのサービスを選びましょう。関連ページでは社食サービスの種類やトレンドについて、より詳しく解説しています。
関連ページ:【2023年版】最新の社食サービス事情を徹底解説
社食サービス導入のメリットは多岐にわたります。企業と従業員それぞれのメリットを紹介します。
社食サービスを導入することで企業が得られる主なメリットは以下の通りです。
社食サービスの導入によって、従業員は健康的でバラエティ豊かな食事を楽しむことができます。企業が体制を整備することで従業員の満足度が高まり、離職率の低下や生産性の向上につながります。
サステナブル・ラボ株式会社(東京・千代田)のレポートによると、東証プライム上場企業1,836社のうち約3分の1が社員食堂を設置しており、業界別では不動産・公益事業・通信の5割弱が社食を提供していることが明らかになっています。また、「社食の設置は福利厚生の充実に関する満足度に直結して」おり、「報酬への満足度との相関性や企業カルチャーの満足度との相関性も高い」との結果が導かれました。
さらに、金融・情報技術・コミュニケーションサービスなど、高度なスキルを持った人材が必要なセクターでは、社食を設置している企業としていない企業のROE(自己資本利益率)の差が最も高いことが判明し、社食サービスと従業員の生産性には相関性があることもうかがえます【上画像】。
健康経営とは、企業が従業員の健康をサポートし、その結果として経営の持続的な成長を目指す取り組みを指します。社食サービスを導入して従業員にバランスの良い食事を提供することで、生活習慣病の予防や体調管理につながります。また、健康的な食事によって病欠の減少や生産性の向上も期待できます。このように社食サービスの導入は、健康経営の推進に直結するメリットを多く得られます。
社食サービスは、企業の福利厚生の一つとして外部へのアピールポイントにもなります。特に健康やウェルネスに重点を置いたメニューを提供することで健康経営のイメージを強化できます。これにより、採用活動や自社ブランディングにもプラスの効果が期待できます。
社食サービスの導入には、税制上のメリットもあります。福利厚生として社食サービスを利用すれば、かかった費用を経費として計上できます。これにより企業の課税所得が減少し、節税につながるのです。社食サービスの導入は企業に経済的なプラスをもたらします。
社食サービスの導入は、従業員にとっても多くの利点があります。
社食サービスを導入し、バランスの取れた食事を提供することで、従業員の食生活改善や健康意識の向上が期待できます。外食やコンビニ弁当に頼ることが多い従業員にとって、健康的な食事を手軽に取れることは大きなメリットでしょう。生活習慣病の予防や体調管理にもつながります。
社食サービスを導入すれば、多くの場合、従業員が勤務時の食事にかけるコストを削減できます。福利厚生として提供すると、企業が最大月3,500円を負担するので従業員の食費負担が減り、生活へのサポートにもつながります。
社食サービスの提供スペースは、従業員同士の交流の場としても機能します。異なる部署や職種の人々が一緒に食事を取ることで自然なコミュニケーションが生まれやすくなるでしょう。チームワークの向上や新たなアイディアの発想につながる可能性もあります。リラックスした雰囲気が共有でき、従業員のストレス軽減にも寄与します。
社食サービスの導入は多くのメリットがある一方、デメリットや懸念点もあります。企業が社食サービスを導入する際にはこれらの点を十分に考慮し、適切な対策を講じることが重要です。
社食サービスの導入には、初期費用や運営コストがかかる場合があります。例えば、新たに社員食堂を設置する場合、施設の建設や設備導入、食材の調達など、多くのコストが発生します。また、日々の運営にも手間がかかり、専任のスタッフを配置するケースもあります。
社食サービスを導入しても、従業員が十分に利用しないケースも考えられます。従業員のニーズや好みを事前に把握していなかったり、働き方にそぐわない種類のサービスを選定してしまった場合にそうした失敗が生じがちです。ニーズの把握、サービスの質の定期的な確認、利用率を上げるための雰囲気作りや声かけも必要となるでしょう。
前述したように、社食サービスを福利厚生費として計上するためには一定の条件を満たす必要があります。これらの条件を満たさない場合、給与扱いとなり課税されてしまいます。
関連ページでは、社食サービスの選び方と導入のポイントについて詳しく紹介しています。ぜひ選定の参考にしてください。
従業員の健康とエンゲージメントの向上は企業の生産活動に大きな影響を与える要因です。自社に合った社食サービスを導入することで、これらを効果的にサポートできるでしょう。
課題別の導入事例は、関連ページでより詳しく紹介しています。
関連ページ:【課題別10選】こんなとき何がおすすめ? 社食サービス導入での対策例※こちらのページに掲載している情報は2023年10⽉時点のものです。
どんなサービスが人気? コストは? 選び方は?…など
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