もっとも身に付く方法はどれ? 新入社員研修の実施形式まとめ

新入社員研修は、カリキュラムや実施人数によって、それぞれ効果的な実施形式があります。講義やレポート、ゲーム、ワークショップなど、研修の形式はさまざまです。
このページでは、新入社員研修の実施形式について、メリット、デメリット、効果的に行うためのポイント、必要な準備の4つの観点で解説します。

講義

講義者と参加者の一対多で、知識や考え方を体系的に伝達するときに使われます。学生と社会人の意識の違いを教えたり、企業や業界の説明をしたりするときに効果的です。また、討議で出た意見や問題提起をまとめて紹介する場合にも向いています。

講義のメリット

多くの知識をまとめて伝達できます。参加者が大人数だったり、会場の制約上、小グループに分けて編成できなかったりする場合にも利用できます。また、進行のコントロールがしやすい点もメリットといえるでしょう。

講義のデメリット

知識の伝達が一方通行になり、受講者が受け身になりがちな点がデメリットです。また、一対多の知識伝達であるため、理解にばらつきが生じる懸念もあります。

講義を効果的に行うための方法

座学形式の研修を効果的に進めるには、受講者が主体的に取り組むような工夫が不可欠です。例えば、講義中に挙手をさせる、クイズ形式を取り入れるなどしてみましょう。
また、座席の工夫も効果的です。ときどき席替えを行ったり、配置を教室型でなく、グループ型にしたりするなどしてみるとよいでしょう。
そのほか、受講者の集中力が保てるよう、スライドを工夫することも効果的です。講義の時間によって、スライドの枚数を以下のように調節してみましょう。

講義時間 時間当たりの予定枚数 スライド枚数の見積もり
8分未満 1分につき1枚 8枚未満
8~30分 3分につき1枚 4~10枚
30分~90分 3~5分につき1枚 6~30枚
90分超 8~10分につき1枚 10枚以上

サウル・カーライナー『研修プログラム開発の基本』(2013年)より作成

講義に必要な準備

形式にかかわらず、研修には以下の準備が必要となります。

  • 会場を手配する。ホワイトボード、プロジェクター、スクリーン、マイク、インターネット環境、コンセントなどの備品や、いす
  • 机の配置も併せてチェックしておきます。
  • 組織全体や受講者に研修スケジュール(日時
  • 内容など)を告知する。
  • 講師を手配する。詳細は「新入社員研修についてよくある質問【設計編】」の「新入社員研修の講師はどのように決めるのがよいですか?」をご参照ください。
  • テキストや資料を準備する。
  • 受講名簿を作成する。参加対象者の職種、所属、年齢、経験などをまとめます。
  • 名札、座席表を準備する。
  • 必要に応じて、宿泊施設や食事を用意する。

グループワーク、ワークショップ

受講者参加型の学習方法です。さまざまな種類があり、座学と組み合わせて行われることも多くあります。

グループワーク、ワークショップの種類

グループワークやワークショップには、以下のものがあります。

ケーススタディ

事例の考察を通じて、問題解決に役立つポイントを受講者が見つけ出す学習手法です。決められたテーマについて意見を交わし、結論を発表します。

ロールプレイング

受講者に役割を与え、実践させる方法です。お辞儀、電話応対、名刺交換の仕方などを講師が実演したのち、その内容を実際に身に付けさせる目的で行います。演技する人とその相手役、評価者の3人で行うのが理想的です。

ゲーム

チームワークの構築を学ぶ際に効果的な手法です。具体例としては、ペーパータワーやマネジメントゲームなどが挙げられます。ペーパータワーは、A4のコピー用紙30枚を使い、チームごとにできるだけ高いタワーを作るゲームです。マネジメントゲームは、プレイヤーが一定の資本金を持って会社の社長になり、複数のマーケットで仕入れ・生産・販売を行って、自己資本の増加を目指すゲームです。

ポスターセッション

成果を共有するときに行う手法です。まず、各グループが成果や考えを模造紙などに書き出したものを掲示し、発表ブースを作ります。説明担当者が順番にブースに残り、そのほかのメンバーは興味のあるグループの成果を見に行って、質問をしたり意見交換をしたりして回ります。アンケートなどを用意してフィードバックを得ることもあります。

グループワークのメリット

受講者参加型の研修であるため、受講者が主体的・能動的に取り組めることがメリットです。自分たちで導いた結論は受け入れやすいため、業務でも効果を発揮しやすくなります。
またグループワークの副次的なメリットとして、チームワークやコミュニケーションを学ぶこともできます。メンバーとしての責任感を持ちながら、他者の意見にも耳を傾けることで、視野を広げることもできるでしょう。何より、新入社員の親交が深まることは大きなメリットです。

グループワークのデメリット

運営や進行をコントロールしづらい点がデメリットです。また、知識を一方的に伝達できるわけではないため、習得できる内容が少なくなる傾向もあります。
特にゲームのワークショップでは、ゲームそのものが目的になり、ただの遊びになってしまうリスクがあります。

グループワークを効果的に行うための方法

研修の終わりにフィードバックの時間を設けることが重要です。効果的な振り返りを行うことで、グループワークが「やって楽しかった」だけで終わることなく、成果のあるものに仕上げられます。流れはスムーズだったか、グループの構成員それぞれが役割を果たせていたかなどを、グループの構成員全員で確認させましょう。互いによかった部分を取り入れられるとともに、他者の課題点を自分のこととしてとらえ、その対策を考えることによっても学びを得られます。ゲームを行う場合は、その意義と目的をはっきりさせ、意識させながら行うことが重要です。
また、グループ分けにも配慮しましょう。参加者全員が気兼ねなく発言できるよう、工夫することが重要です。詳しくは、「新入社員研修についてよくある質問【運営編】」の「新入社員研修のグループ分けで注意すべき点はありますか?」をご参照ください。

グループワークに必要な準備

会場や資料、講師の手配は座学と同様ですが、内容に応じて必要な道具や備品をそろえる必要があります。例えば、ポスターセッションであれば、道具としては模造紙が必要ですし、備品としてはポスターを貼るパーティションが必要となります。

課題提出

講義やグループワークの成果についてレポートを書いたり、学んだ知識やスキルについて問題演習をしたりする手法です。

課題提出の種類

課題提出を行う研修には、以下の種類があります。

問題演習

講義などで得た知識やスキルを確認するために行う演習です。席次や敬語の確認といったビジネスマナーのほか、決算書や契約書の読み取りといった専門スキルの確認にも使えます。

レポート提出

討議や講義の内容を復習したり、自ら調べたことをアウトプットしたりする演習です。また、PCソフトやビジネスライティング、プレゼンテーションのスキルをチェックする際にも使えます。IT研修では、プログラミングによる納品物の作成などが必須になります。

課題提出のメリット

受講者が知識やスキルをアウトプットすることで、学習内容を定着させられるメリットがあります。また、運営側が受講者の習熟度をチェックし、今後の教育に生かすこともできます。

課題提出のデメリット

課題そのものが目的になり、形骸化してしまうと、成果が上がりにくくなります。また、受講者が多い場合は、運営によるチェックや添削に手間がかかり、負担になりやすい点もデメリットです。

課題提出を効果的に行うための方法

受講者が課題をやりっぱなしにならないよう、適宜フォローアップを行うことが必要です。間違えたところを見直したり、適宜復習したりするよう促しましょう。また、課題が形骸化しないよう、細かなフィードバックを行うことが大切です。

課題提出に必要な準備

スケジュール決定後、受講者に、課題のテーマや期限などの要件を周知します。併せて、提出された課題を整理するフォルダや、提出者が一目で分かる一覧表の作成など、課題を集める準備もしておきましょう。

E-ラーニング

受講者が、PCやタブレットなどのデバイスを用いて研修を受ける方法です。さまざまな知識の習得に用いられます。

E-ラーニングのメリット

会場の準備が不要で、まとまった時間がなくても実施できます。各自で何度も復習できる点もメリットといえるでしょう。講義と問題演習を組み合わせるなど、柔軟なカリキュラムを組むことも可能です。また、講師のフィードバックを行える双方向型のサービスも多くあります。

E-ラーニングのデメリット

自学自習になるため、モチベーションを保ちにくいのがデメリットです。実技を伴うカリキュラムには向きません。

E-ラーニングを効果的に行うための方法

丁寧なフィードバックを行い、モチベーションを維持させることがポイントになります。進捗状況を確認するとともに、受講者に適宜アドバイスすることも必要になるでしょう。システム上に掲示板を設けるなど、受講者同士がコミュニケーションを取り合える仕組みを作ると、受講者がモチベーションを保ちやすくなります。

E-ラーニングに必要な準備

E-ラーニングに用いるシステムを検討のうえ導入します。併せて、デバイスの準備など実施体制の整備を行います。その上で、組織や受講者に、テーマやスケジュールなどの要件を周知しましょう。

eラーニングを導入するメリット・デメリット|eラーニングトレンド

事例から学ぶ失敗しないeラーニング導入(4)|専門学校と経営:専門学校の経営者・広報・就職担当者の情報サイト

実地研修

工場や小売店などの現場を訪れ、業務を学ぶ研修です。接客や現場作業など、実務能力の向上を目的としています。

実地研修のメリット

現場の空気を体感できるのは大きなメリットです。また、知識やスキルを体で身に付け、定着させることができます。

実地研修のデメリット

新入社員を「お客様」として扱ってしまうと、受講者が生の現実に触れられず、受動的な「見学」になってしまう恐れがあります。また、現場への負担が大きいのもデメリットです。

実地研修を効果的に行うための方法

受講者に役割を与えることが大切です。例えば、小売店であれば「この棚はあなたの担当」といったかたちで、一定の責任を持たせましょう。もちろんサポートは必要になりますが、過度な配慮をしないことも重要です。

実地研修に必要な準備

できるだけ早い段階で、現場との調整を行いましょう。その後、組織や受講者に研修の要件を告知します。現場での作業になるため、「動きやすい服装」「汚れてもいい服装」など、服装の指定に配慮が必要です。

その他

ペアワークやパネルディスカッションなどの形式が用いられることもあります。

ペアワーク

チェックリストを用い、身だしなみを互いに確認するなどの方法が挙げられます。学んだ知識について当事者意識を持ちやすく、グループワークより進行のコントロールがしやすいメリットがあります。

パネルディスカッション

さまざまな意見や立場の先輩社員がパネリストとなって意見を述べたあと、討議を行い、最後に会場の質問に応じる手法です。テーマは、「新入社員時代の悩みにどう立ち向かったか」「やめたい気持ちをどう克服したか」「苦手な職務をどう克服したか」「馬の合わない上司・先輩とどう付き合ったか」など、新入社員にとって身近なものを設定します。パネリストは、入社1~3年目の人が適切です。

内容に適した実施形式で、新入社員研修の効果をアップ

新入社員研修の実施形式には、それぞれメリットとデメリットがあります。カリキュラムの内容や実施規模に応じて、適した形式を選ぶことが重要です。場合によっては、複数の形式を組み合わせるなど、柔軟な運営を行いましょう。最適な実施形式を選ぶことが、研修の効果をアップさせるカギです。

【参考】
眞崎大輔監修、トーマツイノベーション編著『人材育成ハンドブック いま知っておくべき100のテーマ』(ダイヤモンド社、2017年)
坂川山輝夫『新入社員研修に成功する100のツボ』(太陽出版、2006年)
サウル・カーライナー『研修プログラム開発の基本』(ヒューマンバリュー出版、2013年)
日本研修コーディネーター協会『研修事前準備チェックシート』
産業能率大学 総合研究所『研修運営実務のチェックリスト』
専門学校と経営『事例から学ぶ失敗しないeラーニング導入』(株式会社ビーアライブ)

※こちらのページに掲載している情報は2017年12⽉時点のものです。


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