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外部研修は役に立つ?新入社員研修を外部委託するメリット・デメリット

新入社員研修を社内で実施することが難しいときは、外部に委託する方法があります。とはいえ、質の担保や費用面の負担など、不安に思うこともあるでしょう。このページでは、新入社員研修を外部委託するメリットとデメリットを解説します。

新入社員研修を外部委託するメリット

新入社員研修の外部委託には、以下のメリットがあります。

人事部門の負担を軽減できる

外部委託をすることで、ゼロから研修を設計する必要がなくなり、人事部門の負担を軽減できます。特に中小企業の人事部門では、同じ社員が研修以外の業務と研修業務を掛け持ちしていることがほとんどです。人事部門に過度な負担が掛からないようにしたいときは、新入社員研修の外部委託が活用できます。

研修成果を客観的にチェックできる

多くの研修サービス会社は、アンケートやテストの結果を集計することで、研修の成果を計測するサービスを提供しています。研修をやりっぱなしにすることを防ぎ、新入社員のフォローアップや、次年度の新入社員研修の設計に生かすことができます。

教育に慣れた専門的な講師を確保できる

研修サービス会社の講師は、人にものを教えることに慣れており、効果を上げやすい研修のノウハウを持っています。一方、社内の人材に講師を依頼する場合、たとえ業務においては優秀であったとしても、教育することに慣れていないことが多いのが実情です。その場合、研修効果が上がらないだけでなく、優秀な人材に負担を掛けてしまうことにもなります。

また、ビジネスマナーやPCスキルなどについても、研修サービス会社は専門のノウハウを蓄積しています。慣習的に行っていることも多いこれらの項目については、社内のノウハウをまとめるだけで、膨大なコストが発生してしまう懸念があります。そういった場合に、外部サービスが役立ちます。

社外からの新鮮な視点が得られる

社外講師による新入社員研修は、自社内に欠けている視点を得ることができ、受講者にとっても運営側にとっても刺激になります。社内で研修を行うと、どうしても自社のケースに偏った話になりがちです。そうした状況を改善するためにも、外部サービスは役立ちます

新入社員研修を外部委託するデメリット

新入社員研修の外部委託には多くのメリットがありますが、以下のようなデメリットもあります。

コストが掛かる

社内で新入社員研修を行う場合に比べ、外部委託には多くのコストが掛かります。コストの詳細については、「いくらかかる?新入社員研修に必要な費用まとめ」をご覧ください。

自社の現状と研修内容が食い違う可能性がある

社外講師は自社の現場を知らないため、自社の現状から離れた、実践性の低い研修を行ってしまう恐れがあります。例えば、営業研修において、自社では対法人営業をしているにもかかわらず、そのことを把握していない講師が、対一般消費者営業の研修を行ってしまうことがあります。これでは実践に結びつきません。
また研修の内容が、自社の経営理念や業務プロセスと異なっている場合には、受講者が混乱してしまう可能性もあります。例えば、「歴史を大切にし、今やるべきことをコツコツとやる」という企業理念の会社で、新入社員が「イノベーションを推進し、古いものは刷新していく」という理念の研修サービスを受けると、仕事に向けた意気込みを削がれることにもなりかねません。
こうした食い違いは、研修会社を選ぶときに丁寧なすり合わせを行うことで、ある程度回避できます。詳細は「『なんとなく』で決めない! 新入社員研修サービスの失敗しない選び方」をご覧ください。

運営面での調整がしづらい

万が一の際に開催日時や会場などを調整したいとき、外部委託の研修では融通が利きません。社内研修であれば、受講者や運営の事情に応じて、ある程度柔軟に対応ができます。

外部委託による新入社員研修の形式

外部委託による新入社員研修には、いくつかの種類があります。以下でそれぞれの形式を見ていきましょう。

講師派遣

もっとも一般的に行われている方法です。チームワーク研修、リーダーシップ研修などさまざまなものがあり、業種や職種に縛られることはありません。社内では教えられない専門的な研修にも向いています。
流れとしては、講師や研修サービス会社と相談・打ち合わせを行ったのち、研修サービス会社から企画が提出されます。その内容に納得がいけば、研修内容を決定し、研修が実施されます。研修の狙い、押さえておきたい業界や会社の特徴、カスタマイズの内容などを、最初の「相談・打ち合わせ」の段階で話し合っておくことが大切です。

社外セミナー

社外のセミナーに新入社員を出席させる方法です。採用人数が少ない場合に向いています。
研修サービス会社が行っているもののほか、業界の合同研修や、金融機関主催の新入社員セミナー、商工会議所の新入社員セミナー、新聞社やその外郭団体主催のセミナーなどさまざまな種類があります。また、民間教育機関も新入社員セミナーを行っています。財団法人社会経済生産性本部、社団法人日本経済青年協議会、財団法人日本能率協会、社団法人日本経営協会などがその例です。
社外セミナーには、ビジネスマナーやPCスキルなど一般的な知識を、研修のプロから学べるメリットがあります。また業界合同の研修では、業界における課題や論点などの広い視野を学べるでしょう。ただし、自社の課題や業務の内容から離れてしまうことが多いため、社内研修と組み合わせて行うのが理想です。

通信教育

テキストを使い、新入社員が空き時間に学習する形式です。会場の確保が必要ないため、事務局の負担が軽くなり、費用も他の形式に比べて安く抑えられます。また、研修の質が標準化されているため、講師によって研修効果に差が現れないのもメリットです。
添削システムが充実しているものが多いため、ビジネスライティングなどにも活用可能です。また、資格取得を支援する問題演習が充実しているプログラムもあります。
通信教育の課題は、受講者のモチベーション維持にあります。研修担当者が適宜、進捗状況を確認して声掛けするなど、社内のフォローが欠かせません。そのほか、教材がテキストのみの場合は、文字や図だけではイメージが湧きにくかったり、知識の定着度が上がらなかったりすることもあります。また、分からないときにすぐに解決ができないのもデメリットです。受講者の読解力やイメージ力、整理力などに頼るところも大きくなります。

動画配信

受講者が空き時間を使い、動画を見て学習する形式です。E-ラーニングのように、問題演習と組み合わせたサービスも登場しています。
動画配信形式の研修は、時間や場所の制約がなく、繰り返し学習できるのがポイントです。また、文字だけのテキストに比べ、実践的な知識やスキルを身に付けやすい点もメリットといえます。例えば、接客研修をする場合、声のトーンや話す速度、表情などは、文字や図よりも、動画のほうが実感を持って学びやすいでしょう。
そのほか、通信教育と同様、研修の内容が標準化されていることや、事務局の負担が軽いことなども利点として挙げられます。
デメリットとしては、通信教育と同じく、受講者のモチベーション維持が難しいことがあります。E-ラーニングと組み合わせた動画配信サービスでは、進捗状況をデータとして確認できるものもあります。適宜チェックして、受講者への声掛けに活用しましょう。

自社の状況を踏まえたうえで外部委託の検討を

新入社員研修を外部委託することには、ご紹介したようにさまざまなメリット・デメリットがあります。メリットを生かせば効果の上がる方法ですが、検討が甘いと、デメリットのほうが際立ってしまうこともあります。予算や採用人数、取り入れたいカリキュラムなど、自社の状況を踏まえた上で、外部委託を検討しましょう。

【参考】
坂川山輝夫『新入社員研修に成功する100のツボ』(太陽出版、2006年)
日本科学技術連盟『講師派遣・出張研修 実施までの流れ』
産業能率大学 総合研究所『通信研修のメリットと活用方法』
BIZトレンド『改めて考える研修とは?』(株式会社イノベーション)
SMBCコンサルティング『研修実施までの流れ』
川嶋 美紀子『人事部チェック!注目研修ツール「研修動画」採用の8つのメリット』(サイバーユニバーシティ株式会社、2015年12月21日)

※こちらのページに掲載している情報は2017年12⽉時点のものです。


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