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「時間の無駄」とは言わせない! 身に付く研修を行うためのポイント

新入社員研修では、設計から運営、フォローアップまで計画的に行い、定着度の向上を図ることが重要です。教育内容が身に付かなければ、せっかくの予算や人的資源、時間が無駄になってしまいます。このページでは、受講者の身に付く新入社員研修を行うポイントを解説します。

受講者のレディネスを形成する

レディネスとは、「学習の準備が整った状態」のことです。組織の人材育成においては、「学ぶ必要性の認識」と定義できます。レディネスの形成のためには、下表のARCSモデルが用いられます。

Attention(注意) 受験者の興味や関心を引くようなテーマ・題材を選び、受講者の注意を引きつける。
Relevance(関連性) 自分の業務に関連のある内容や課題の解決に結びつくような内容を取り上げ、受講者に当事者意識を持たせる。
Confidence(自信) 十分努力すれば達成が見込める程度にレベルを設定し、受講者を研修に前向きに取り組ませる。
Satisfaction(満足) 有用なインプットを与えるなどにより、研修の満足度を上げ、再度同様の研修を受けたいと思わせる。

以下で、新入社員研修におけるレディネスの形成方法について、それぞれ具体的に解説します。

Attention(注意):新入社員研修の目的・目標を分かりやすく伝える

新入社員研修には、以下の5つの目的があります。詳細は「新入社員研修とは?入社時に研修を行う目的と必要性」をご覧ください。

  • 学生から社会人へ意識を変革させる
  • 社会人に必要な知識や考え方を身に付ける
  • 企業・職場への理解を深める
  • 一般的なビジネススキルを身に付ける
  • 仕事に必要な専門性を身に付ける

以上を、研修の事前案内やオリエンテーションで、経営者などの言葉で伝えることが重要です。
また、「いつまでに、何をどの程度できるようになるか」というカリキュラムごとの目標を、明確に伝えましょう。カリキュラムごとの目標設定の方法については、「初めてでも慌てない! 新入社員研修スケジュールの作り方」をご参照ください。

そのほか、新入社員研修の案内も、内容が伝わるよう分かりやすく作成しましょう。その際、「新入社員研修を受けた先輩の声」など成功例を記載すると、研修の必要性が伝わりやすくなります。

Relevance(関連性):実践性のあるカリキュラムを組む

新入社員の現状を把握したり、社員にヒアリングしたりしながら、実用性の高いカリキュラムを組みましょう。カリキュラムの決め方については「初めてでも慌てない! 新入社員研修スケジュールの作り方」をご参照ください。

Confidence(自信):適切に目標を設定し、達成したら評価する

モチベーション維持のため、十分な努力によって達成できる程度に目標を設定しましょう。難易度が高すぎると、受講者が課題に取り組むこと自体を諦めてしまう可能性もあります。
この際、課題を細分化するのもひとつの手です。例えば、「電話応対ができるようになる」という大目標があるとすれば、その課題を細分化し、「正しい言い回しができるようになる」「メモを正確にとれるようになる」「自分から電話をかけ、用件を伝えられるようになる」などのステップを設定します。小目標を設定することで、ステップアップするごとに達成感を得られるでしょう。
また、各目標を達成したら、評価することも大切です。達成度の計測については後述します。

Satisfaction (満足):研修運営を工夫し、最後に振り返りをする

カリキュラム内容によって、効果的な運営方法を選び、満足度を高めましょう。例えば、外部委託する部分と内製化する部分の分け方、講師の選び方、形式などはよく検討しておきたいところです。詳細は、「新入社員研修についてよくある質問【運営編】」をご参照ください。
また、研修の最後に振り返りの時間を設けたり、到達度テストを実施したりすることで、達成感を与えることも重要です。達成度の計測については後述します。

課題やアンケートで定着度を高める

アンケートや振り返りシート、研修報告書を書かせたり、到達度テストを行ったりすることで、内容を復習させ、定着度を高めましょう。シートでは、研修で学んだことと今後の目標・実行計画を明記させます。この際、事前課題の結果と比較しながら行うことで、達成感を味わうことができます。
なお、モチベーションを維持させるため、アンケートや振り返りシートは必ず研修時間中に行うことが重要です。

メンターや上司がサポートする

上司やメンターは、新入社員が研修で学んだ内容を実務でアウトプットさせるようにしましょう。例えば、電話はできるだけ新入社員に取らせ、会話の流れや言葉遣いなど、研修で学んだことを実践させます。課題が見つかった場合は、適宜、声掛けをして改善を促しましょう。
この際、OJTとの組み合わせも効果的です。OJTは、「業務が発生した際に、その都度対応方法やポイントを伝える」ことだと認識されがちですが、それでは効果が上がりません。計画的かつ継続的にアドバイスを行うことで、本来の効果が得られます。OJTは、新入研修の内容と関連付けて計画し、実施するとよいでしょう。

フォローアップ研修を行う

新入社員研修から半年後を目安に、フォローアップ研修を行いましょう。新入社員研修の内容を復習するとともに、学習したことが実践できているかを振り返り、実践を継続するための具体的な施策を検討します。新入社員研修で学んだ知識・スキルの定着度を上げるとともに、新たな知識・スキルを提供することで、ステップアップにつなげられます。仕事や職場についての悩みを抱える時期でもあるので、問題解決の手法について学ぶことも効果的です。
また、入社から時間が経ち、モチベーションが下がってきていることもあるため、モチベーションを向上させる研修を行うのも良いでしょう。

準備とフォローアップの徹底が研修の定着度を上げる

新入社員研修で学んだことを定着させるには、目的・目標の設定から運営方法、フォローアップまで、全領域にわたってさまざまなポイントがあります。受講者の課題認識や主体性、満足度、そして達成感が定着度のカギです。新入社員が学習内容を活かし、即戦力としてはもちろん、長期的な戦力としても活躍できるよう、内容が身に付く新入社員研修を設計・運営しましょう。

【参考】
眞崎大輔監修、トーマツイノベーション編著『人材育成ハンドブック いま知っておくべき100のテーマ』(ダイヤモンド社、2017年)
坂川山輝夫『新入社員研修に成功する100のツボ』(太陽出版、2006年)
原田由美子『入社半年、新人は今どんな気持ちなの?――新入社員のフォローを頼まれたら』(ITmedia エンタープライズ、2009年10月07日)

※こちらのページに掲載している情報は2017年12⽉時点のものです。


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