会計業務の省力化のため、会計ソフトを導入しようとする企業や個人事業主は多いでしょう。会計ソフトの利用シーンは事業規模によって異なりますが、導入により会計業務の効率化を図ることができます。ここでは、会計ソフトの種類と、会計ソフトを導入した場合のメリット・デメリットを解説します。
目次
会計ソフトとは、収支などの金銭の動きを管理・集計し、決算書などの書類を作成するためのソフトウエアです。機能の範囲はシステムによって異なりますが、会計業務における仕訳や集計の手間を減らし、さまざまな帳票類を作成・出力できます。会計に関する詳しい知識がなくても使用できるように設計されています。
会計ソフトには、提供方法で分けると、大きくクラウド型とインストール型、オンプレミス型の3つの種類があります。
クラウド型 | インストール型 | オンプレミス型 | |
---|---|---|---|
料金体系/費用 | 月額/年額 | 買い切り | 導入費+保守費用 |
カスタマイズ性 | △ | ○ | ◎ |
セキュリティ | △ | ○ | ◎ |
アップデート対応 | ○ | △ | △ |
利便性 | ◎ | △ | △ |
クラウド型とは、クラウド上のソフトをインターネットを通じて利用するタイプです。インターネット環境があればどこからでも使用できるため、複数人数で共有したい場合やリモートワークに適しています。初期費用が抑えられ、不満がある場合には解約できることもメリットです。
インストール型とは、製品を購入し、PCにインストールして使用するタイプです。初期費用はやや高めですが、ランニングコストが抑えられます。複雑な処理を素早く行うことができ、自社の使い方に合わせてカスタマイズできます。オフラインでも使用できるため、セキュリティ面で安心であることもメリットです。
オンプレミス型とは、自社内にサーバーを設置してアプリケーションを構築するタイプです。カスタマイズ性が高く、自社の使い方に合わせた運用ができ、セキュリティ面も強固です。ただし、開発に時間やコストがかかり、サーバーの管理も自社で行う必要があります。
会計ソフトを導入するメリットは、主に会計データの一元化による生産性の向上と、法令違反の防止の2点です。
会計ソフトを導入することで、会計について詳しい知識を持っていなくても会計業務が可能になります。また、自動仕訳など、担当者の手間を削減する機能も多いため、担当者の負担が大幅に軽減されます。
データが一元的に管理されるため、いつでも会計情報を参照し、必要なデータを引き出すことができます。特に分析機能がついているものであれば自動的にデータを分析してくれるため、自社の課題や傾向を把握でき、経営の改善につなげられます。
計算や集計をシステムが自動で行うため、計算ミスなどの人為的なミスにより、意図せず虚偽の会計報告となってしまうことを防げます。また、書類の紛失などのミスも起こらなくなります。
データの改ざんや不正を防止する機能が備わっているシステムも多くあります。不正な会計による法令違反を防止できます。
法改正がされると会計ソフトも対応したものにアップデートされるため、最新版を使うようにすれば、法改正への対応が遅れて法令違反となるリスクを防げます。
作業の効率化や法令違反防止に役立つ会計ソフトですが、導入によって次のようなデメリットも生じます。
仕方のないことですが、会計ソフトを導入するには費用がかかります。無料の会計ソフトもありますが、機能が制限されている場合があるので、よく確認しましょう。
会計ソフトを使う担当者は、操作に慣れる必要があります。操作に慣れるまでは入力に時間がかかったり、ミスが発生したりしやすくなる恐れがあります。
セキュリティ対策が不十分な会計ソフトを選んでしまうと、外部からの不正アクセスにより情報が漏えいしたり、データが改ざんされたりするリスクがあります。また、クラウド型の会計ソフトの場合、アカウント情報を適切に管理していないと、外部からの不正アクセスや、内部関係者による書き換えなどが起こる可能性があります。
会計ソフトの利用シーンや最終的に何を目的とするかは、事業規模によって異なります。
それぞれの事業規模別に具体的に解説していきます。
家庭の収支計算や、副業・フリーランスで課税対象とならない範囲の仕事をしている人の会計管理などは、お金の出入りを管理するのが目的なので、家計簿アプリなど、出納帳の機能を持つもので十分なケースが多いでしょう。
個人事業主などの場合は、確定申告のために会計ソフトを利用します。青色申告か白色申告か、自分の申告方法に対応したソフトで、明細を読み込んで書類を自動作成するなどの省力化が図れます。
小規模企業の場合は、決算書の作成のために会計ソフトを利用します。取引情報を集計し、決算書の作成までソフト上で行えます。
中規模の企業では、給与管理システムや、小売業ならレジなど、使用している他のシステムと連携する機能が必要となってきます。自社が契約している顧問税理士が対応しているかも重要です。
大規模企業では、子会社など関連会社との連結決算が必要になってくる場合が多いでしょう。上場企業であれば四半期決算を開示する必要があるため、会計ソフトもそれに対応している必要があります。
事業規模別に利用シーンが異なることを見てきました。特に個人事業主と企業との間には、確定申告と決算書という、「ゴール」の違いが存在します。
よくある比較サイトとして、「会計ソフト○選」などのタイトルで多数の会計ソフトを紹介しているものの中には、これらの違いを区別せず、個人事業主向けの確定申告ソフトから大企業向けの会計ソフトまで、十把ひとからげに列挙しているものがあります。
複数の領域をカバーしている会計ソフトもありますが、対象規模が明記されていない場合などはそもそも比較を始められません。個人事業主の方は確定申告ができるソフトを探さなければならず、大企業で会計ソフトの乗り換えなどを考えている担当者の方は十分な機能を備えた会計ソフトを探さなければなりません。
その意味で、こうした対象事業者の規模を無視した比較サイトは、残念ながらあまり参考にならないか、目当てのソフトを見つけるまでに時間を要してしまいます。
会計ソフトを導入することで、担当者の負担を減らし、経営の改善につながるデータを可視化できます。また、計算ミスなどの人為的なミスを減らすことができ、法令遵守の役にも立ちます。このページで紹介した情報を参考に、自社の規模や用途に適した会計ソフトを導入し、業務改善につなげてください。※こちらのページに掲載している情報は2023年9⽉時点のものです。
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