企業の健康管理を推進するためには、従業員の健康状態を把握し、健康増進に向けた取り組みを実施することが重要です。そのためのツールとして、健康管理システムの導入を検討する企業も多くあります。
健康管理システムは、従業員の健康診断結果やストレスチェック結果を管理し、健康管理業務を効率化するシステムです。さまざまな機能や価格帯のシステムが提供されており、自社のニーズに合致したものを選定することが求められます。
このページでは、各健康管理システムの特徴や選定のポイントについて詳しく紹介します。システム選びの際の参考としてご活用ください。
目次
健康管理システムは、従業員の健康診断結果やストレスチェック結果などの健康情報を一元管理するシステムです。健康管理の効率化や、従業員の健康増進をサポートします。
健康管理システムには、大きく分けて3つの種類があります。
それぞれのタイプは、企業の目的やニーズに応じて選択できます。各タイプの機能や特徴についてのまとめは以下のとおりです。
健康リスク解消タイプ | ||
---|---|---|
健康リスク解消タイプ | 健康増進タイプ | |
主な機能 | 健康診断結果の管理、ストレスチェック結果の管理、産業医面談の管理、健康指導の実施 | 健康データの収集・分析、健康情報の提供、健康増進プログラムの提供 |
対象となる企業の特徴 | 労働安全衛生法に基づく健康診断やストレスチェックの対応が義務付けられている企業 | 健康意識の向上を目指す企業 |
データ収集・一元管理可能タイプ | ||||
---|---|---|---|---|
データ収集・一元管理可能タイプ | データ分析に長けているタイプ | 自動化タイプ | サーベイタイプ | |
主な機能 | 健康情報の入力やデータ分析、レポート作成 | AIや機械学習を活用した分析機能 | 健康診断の受診予約や結果の入力、ストレスチェックの実施・結果の分析 | 定期的にアンケートやパルスチェックを行う |
対象となる企業の特徴 | 健康診断やストレスチェックの実施状況や、従業員の健康状態の変化を把握したい企業 | 従業員の健康リスクを早期発見・予防・改善したい企業 | 健康診断やストレスチェックの事務作業を効率化したい企業 | 従業員の健康意識や健康状態を把握したい企業 |
コンディション管理特化タイプ | |||
---|---|---|---|
コンディション管理特化タイプ | 多機能タイプ | 専門特化型タイプ | |
主な機能 | 従業員の体調や睡眠、運動などのコンディション管理 | 健康診断やストレスチェックの実施・管理、コンディション管理、健康情報の提供 | 特定の分野の健康管理 |
対象となる企業の特徴 | 従業員のコンディション管理に重点を置きたい企業 | 健康管理に幅広く取り組みたい企業 | 特定の分野の健康管理に重点を置きたい企業(メンタルヘルス、労働災害、産業保健など) |
その他のタイプ | |
---|---|
主な機能 | 多言語機能、BPOサービスなど |
対象となる企業の特徴 | 海外拠点を持つ企業や、健康管理の業務をアウトソーシングしたい企業 |
関連ページ:健康管理システムの種類とは? 導入にかかる費用も解説
健康リスク解消タイプは、従業員の健康リスクを早期発見・予防・改善することを目的としたシステムです。主要な機能としては以下のとおりです。
このタイプは、労働安全衛生法に基づく健康診断やストレスチェックの対応が義務付けられている企業に適しています。また、健康リスクを早期発見・予防することで、労災や休職のリスクを低減し、企業の生産性向上に貢献できます。
健康増進タイプは、従業員の健康意識を高め、健康的な生活習慣を身につけてもらうことを目的としています。また、健康増進プログラムを活用することで、従業員の健康レベルを向上させ、健康管理を推進できます。
主な機能は、以下のとおりです。
データ収集・一元管理可能タイプは、健康診断やストレスチェックなどのデータを一元管理できるシステムです。健康情報の入力やデータ分析、レポート作成などの機能を備えており、健康診断やストレスチェックの実施状況や、従業員の健康状態の変化を把握するのに役立ちます。
このタイプのシステムは、以下のような企業に適しています。
データ分析に長けているタイプは、収集したデータを分析し、従業員の健康リスクを早期発見・予防・改善するために活用できるシステムです。AIや機械学習を活用した分析機能が備わっているものが多く、従業員の健康状態をより深く理解できます。
このタイプのシステムは、以下のような企業に適しています。
自動化タイプは、健康診断の受診予約や結果の入力、ストレスチェックの実施・結果の分析などを自動化できるシステムです。事務作業の効率化や、従業員の負担軽減に役立ちます。
このタイプのシステムは、以下のような企業に適しています。
サーベイタイプは、従業員の健康意識や健康状態を把握するために、定期的にアンケートやパルスチェックを行うシステムです。従業員の健康に対する考えやニーズを把握し、健康増進施策に役立てることができます。
このタイプのシステムは、以下のような企業に適しています。
コンディション管理特化タイプは、従業員の体調や睡眠、運動などのコンディションを管理することに特化したシステムです。体調の変動を可視化する機能や、健康的な生活習慣のサポート機能などが備わっています。
このタイプのシステムは、以下のような企業に適しています。
多機能タイプは、健康診断やストレスチェックの実施・管理、コンディション管理、健康情報の提供など、多岐にわたる機能を備えたシステムです。企業の規模や状況に合わせて、必要な機能を組み合わせて利用できます。
このタイプのシステムは、以下のような企業に適しています。
専門特化型タイプは、特定の分野に特化した健康管理を目的とするシステムです。例えば、メンタルヘルスや労働災害、産業保健などの分野に焦点を当てたシステムがあります。
このタイプのシステムは、以下のような企業に適しています。
健康管理システムには、上記のような主要なタイプ以外にもさまざまなタイプがあります。例えば、多言語対応のシステムや、健康管理業務を外部に委託したい企業向けのBPOサービスなどがあります。
健康管理システムを導入する際のステップは、以下のとおりです。これらのステップを踏むことで、導入をスムーズに進めることができます。
自社の健康管理業務を洗い出し、現状の課題を特定します。健康診断やストレスチェックの実施、産業医面談、健康指導など、具体的な業務内容を把握しましょう。
現状の課題を整理したら、その原因を探ります。業務の効率化が課題であれば、システム導入以外にも解決策があるかもしれません。また、課題の原因が複数ある場合は、優先順位をつけて対応策を検討しましょう。
課題の原因を整理した後は、システム導入でどのようにこれらの課題を解決できるかを検討します。例えば、業務効率化を目的とする場合、データの入力や集計を自動化する機能が求められます。
課題解決のポイントを特定したら、システムを選ぶ際の基準や理由を明確にします。システムの機能、価格、導入後のサポート体制などを比較し、自社に最適なシステムを選びましょう。
システム導入に際しては、その費用対効果を詳細に検討する必要があります。導入コスト、運用コスト、そして導入によって得られる効果を総合的に評価し、十分な費用対効果が期待できるシステムを選択することが重要です。
すべてのステップが完了したら、これらのステップをまとめた資料を作成します。この資料は、導入計画の策定や、導入後の運用に役立ちます。
健康管理システムは、導入する目的によって選ぶべきシステムが異なります。健康管理システムを選ぶ際には、自社の目的や課題を明確にすることが重要です。目的や課題に合ったシステムを選ぶことで、健康管理の効率化や従業員の健康増進につながります。
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紙やエクセルを使用して健康管理を行っている場合、システムの導入により業務の効率やデータの正確性が向上します。データのアップロードから分析までをサポートするサービスを選定すると良いでしょう。
健康管理システムの導入コストは、提供される機能やサービス内容により異なります。初期費用や継続的なコストがかかるため、コストを抑える場合は、クラウド型や機能がシンプルなシステムがおすすめです。
産業医と人事部の連携を強化することで、両者が情報を共有しやすくなり、従業員の健康管理がより効果的になります。
産業医の面談や健康増進プログラムの管理が充実しているシステムがおすすめです。
社内での健康課題に対応するためには、健康診断の結果を分析する機能が充実しているシステムを選ぶと良いでしょう。従業員の健康状態を可視化し、健康診断の分析・レポート化を備えたシステムを導入することで、課題の解決に役立てることができます。
従業員の健康意識を高めることで、健康管理の成功につながります。システムを導入することで、健康情報の提供や健康増進プログラムへの参加を促進できます。
健康増進プログラムや健康情報の提供機能が充実したシステムを選ぶと良いでしょう。また、従業員が気軽に健康相談をできるようなシステムもおすすめです。
健康管理システムを導入する際には、自社に合ったシステムを選ぶことが重要です。ここでは、健康管理システムを選ぶ際のポイントをご紹介します。健康管理システムを導入する際には、以下のポイントを押さえることが重要です。
健康管理システムには、健康診断やストレスチェックの実施・管理、コンディション管理、健康情報の提供など、さまざまな機能を備えたシステムがあります。自社が求める機能が搭載されているかどうかを必ず確認しましょう。
自社に課題がある場合は、その課題を解決できる機能を備えたシステムを選びましょう。例えば、健康診断の受診率が低い場合は、受診率を向上させるための機能を備えたシステムがおすすめです。
健康管理システムを導入する目的の一つは、データの分析・活用を通じて、従業員の健康状態を把握し、健康管理を推進することです。そのため、データの分析・活用がしやすいシステムを選ぶことが重要です。
例えば、グラフや表を用いて健康診断のデータの可視化ができるシステムや、データに基づいて健康増進施策を立案できるシステムがおすすめです。
健康診断の情報を収集する際には、従業員の負担を軽減することも重要です。そのため、健康診断の情報を楽に収集できるシステムを選びましょう。
例えば、従業員が自宅からWeb上で健康診断結果を入力できるシステムや、健診機関から直接データを連携できるシステムがおすすめです。
健康管理システムの価格や機能は、従業員数によって異なります。そのため、自社の従業員数に合ったシステムを選びましょう。
従業員数が少ない場合は、機能のシンプルなシステムや、初期費用や月額費用が低いシステムを検討しましょう。また、従業員数が多いのであれば、大規模な企業向けのシステムや、データ分析やAIを活用した機能が充実したシステムがおすすめです。
健康管理システムを導入する際には、従業員の個人情報や健康情報が漏えいしないよう、セキュリティ対策が万全なシステムを選びましょう。
具体的には、以下のセキュリティ対策が備わっているかを確認しましょう。
また、システムの運用に際して、従業員のIDやパスワードを定期的に変更するなどの対策も講じましょう。
導入実績が豊富なシステムは、信頼性が高いと言えます。また、使い勝手やサポート体制も充実している傾向があります。導入実績を参考に、自社に適したシステムを選びましょう。
導入実績を確認する方法として、システム提供会社のウェブサイトや、導入企業の口コミなどを参考にすると良いでしょう。
健康管理システムには、基本機能に加えて、オプションで利用できる機能が用意されている場合があります。以下は一般的な健康管理システムのオプション機能の例ですが、サービスによって提供される機能が異なります。
自社が必要とする機能がオプションで提供されているかを確認しましょう。一方で、必要のない機能も多く存在するため、自社の課題と照らし合わせて選ぶことが大切です。
健康管理システムは、人事や給与などの他システムとの連携が可能であれば、より効果的に活用ができます。健康診断結果を人事評価や採用活動に活用するための連携や、勤務状況とのデータ連携による健康リスクの深い分析など、連携の範囲や方法を確認しましょう。
健康管理システムは、ITに不慣れな従業員がいることも考慮し、操作性・利便性に優れたシステムを選びましょう。
具体的には、以下の点を確認しましょう。
健康増進のためのサポート機能が搭載されていると、従業員の健康意識の向上や健康行動の改善につながります。
具体的には、以下の機能が搭載されているかを確認しましょう。
産業医面談や健康相談の管理機能が搭載されていると、面談の予約や結果の確認がスムーズに行えます。
具体的には、以下の機能が搭載されているかを確認しましょう。
システムの導入後も、サポートが必要な場面が考えられます。そのため、サポート体制が整っているシステムを選びましょう。
具体的には、以下の点を確認しましょう。
導入コストや月額費用と、提供される機能やサービスのバランスを考慮し、最適なコストパフォーマンスのシステムを選ぶことが大切です。
具体的には、以下の点を確認しましょう。
健康管理に関する法律は、頻繁に改正されています。そのため、健康管理に関わる法律の改正に、システムが迅速に対応できるかを確認しましょう。特に、法改正に伴う機能追加や仕様変更の対応力は、長期的な運用を考えると重要です。
具体的には、以下の点を確認しましょう。
健康管理システムの導入を検討する際、以下の点に注意することが求められます。
健康管理システムの導入には、初期投資や継続的なコストが発生します。しかし、具体的な効果やリターンは、導入してみないとわかりません。そのため、費用対効果が見えにくいという点に注意が必要です。
費用対効果を見える化するために、以下の点に留意すると良いでしょう。
健康管理システムの効果的な活用には、組織全体の取り組みが必要です。健康管理システムを導入しても、従業員一人ひとりが積極的に活用しなければ、効果は十分に発揮されません。そのため、経営層や従業員の理解と協力を得た上で、健康管理を推進していくことが大切です。
全社的な取り組みを進めるために、以下の点に留意すると良いでしょう。
健康管理システムを導入しても、すぐに効果が出るわけではありません。運用効果の実感にはある程度の時間が必要です。また、システムの機能や運用方法を従業員に理解してもらうための教育も必要になります。
運用に時間がかかることを想定し、以下のような点に留意するとよいでしょう。
運用にはある程度の時間が必要となるため、導入計画を立てて、段階的に導入を進めましょう。
健康管理システムは、従業員の健康管理を効率化するための重要なツールです。しかし、企業が解決を必要とする健康課題に適合しないシステムでは、期待する成果を上げるのは難しいでしょう。そのため、最初のステップとして、自社の健康課題を正確に把握することが重要です。
市場にはさまざまな健康管理システムが提供されており、それぞれに独自の機能や特徴があります。各システムの特色や比較ポイントを理解し、自社の要件や課題に合わせて、最適なシステムを選択することで、効果的な健康管理が実現します。
従業員一人ひとりの健康を守り、より良い職場環境を作るために、健康課題を明確にし、適切なシステムの選定を心がけましょう。※こちらのページに掲載している情報は2023年10⽉時点のものです。
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